持続化給付金の不正受給の申請は、若者だけでなく新聞社の職員も行っていたなど、社会問題となりつつあります。
持続化給付金は10万円給付金と違い、国民全員がもらえるお金ではありません。
また不正受給が発覚すると、お金を返還するだけでなく罰金も支払うことになりますので、罰則規定の内容についてご説明します。

目次
持続化給付金の受給対象
持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受けている事業者に対し、法人は200万円、個人事業主は100万円を限度として支給されるお金です。
事業者が対象なので、サラリーマンや主婦、学生が給付金を受けられません。
また収入の下がった原因が新型コロナウイルスの影響に起因しない場合も、給付金の受給対象外ですのでご注意ください。
持続化給付金の不正受給による罰則内容
持続化給付金を不正受給した際の罰則は4点です。
(1) 年3%の延滞金
(2) 不正受給した金額の2割を加算して返還
(3) 屋号・雅号・氏名等の公表
(4) 悪質な不正受給者は刑事告発
【100万円を不正受給し、半年後に指摘を受けてお金を返還した場合】
・ 延滞金1.5万円
・ 不正受給金額の2割に相当する20万円
合計21.5万円を罰金として支払うことになります。
他人になりすまして不正受給をした人は、詐欺罪で逮捕されているケースもあります。
税務調査と比較した場合の罰則の重さ

税務調査により税金逃れの指摘を受けた人は、延滞税や重加算税の対象になることもあります。
所得税などの税金滞納による延滞税の利率は、年1.6%(令和2年)と持続化給付金の年3%に比べると利率は低いです。
しかし納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後の利率は年8.9%と、滞納期間が長くなると利率が一気に重くなります。
一重加算税は意図的に税金逃れをした納税者に対する罰則で、本税の35%(無申告の場合は本税40%)を罰金として支払います。
単純な比較はできませんが、税務調査による罰則と持続化給付金の罰則内容を比べると、持続化給付金の不正受給に対する罰則が突出して厳しいわけではありません。
ただ不正受給に対する罰則が軽いわけでもないため、不正にお金を取得することは考えないでください。
不正受給でお金を得るメリットは一切ない
持続化給付金の不正受給は、制度を創設した当初から一定数行われることを想定して規定されていたと考え、実際に積極的に摘発が行われています。
また不正受給した金額に2割相当額と延滞金を加算して返還する規定は、当初から周知されており、罰則内容を知らなかったでは済みません。
今後も国や地方自治体が新型コロナウイルス対策として、救済措置を講じる可能性もあります。
その際は自分が救済措置を受ける資格があるかを確認した上で、申請をしてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)