資産の贈与を受けた側は、年間110万円を超えた場合に贈与税の申告納税義務が生じます。
ただ贈与税とはいいながら、課税の対象とならない贈与も存在します。しかも贈与税でなく、所得税が課税されることもあります。
贈与税と所得税の違いとして、贈与税は2~3月の国税申告納税で完結するのに対し、所得税は申告納税だけでは済まず後に住民税が課税され、地方自治体の公的保険に加入すると保険料の上昇にも及びます。
贈与税や相続税は、基本は個人間で財産が移ることに対する課税と考えると良いです。
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目次
法人からの贈与:一時所得
ふるさと納税の普及とともに返礼品が、一時所得にあたることが段々知られてきます。
これは返礼品が個人からでなく、地方自治体(法人)からの贈与にあたるからで、法人からの贈与は一時所得として所得税の課税対象になります。
一時所得の計算式は
収入 - 収入を得るために要した支出 - 50万円
で、年間50万円以内なら課税されません。所得税・住民税等の計算上は、上記の計算式に2分の1をかけます。
法人への贈与:譲渡所得
逆に法人へ資産を贈与した場合にも、所得税の課税対象になることもあります。個人へ贈与する側は課税されないのですが、相手が法人だと異なります。
資産を法人へ贈与すると、時価で譲渡したという扱いがされます。譲渡所得であり、一時所得ではありません。
総合課税と分離課税で計算式が異なる
譲渡所得の課税方式は、資産の種類によって超過累進税率の総合課税(一時所得と同じ)と、一定税率(所得税15.315%・住民税5%となることが多い)の分離課税に分かれます。土地・建物・株式は分離課税、その他は総合課税です。
総合課税の計算式は、一時所得と似ており
収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用 )- 50万円
で、所有期間5年超の資産を譲渡した場合は一時所得と同様に、税額計算する際に2分の1をかけます。
一方分離課税の計算式では50万円を差し引くことは無く、また税額計算する際の2分の1もありません。
収入金額は原則相続税評価額
ただお金もらわず贈与したのに、なにをもって収入金額とするのか?が問題です。これは原則として相続税評価額を用います。
関連記事でも触れていますが、分離課税の譲渡所得となるもののうち、土地や非上場株式(一般株式)では、評価額の算定には財産評価基本通達に基づく専門的な知識も必要となります。
住民税・保険料への影響
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贈与税と所得税では、申告納税後の影響が異なることにも留意しなければなりません。
2~3月の確定申告期間が終わると6月以降、年末調整や確定申告の結果を受けて住民税が決まり、健康保険・介護保険が自治体加入であれば保険料にまで影響します。
住民税の税率は10%、国民健康保険の所得割料率は10%超となれば、所得の2割超かかります。
一時所得・譲渡所得の金額が0円であれば影響しませんが、プラスであれば注意が必要です。
所得税の最低税率は5.105%のため、後から払う住民税や保険料のほうが4倍ぐらい多く払うこともありえます。(執筆者:石谷 彰彦)