葬儀会館でのお葬式が当たり前の昨今、お寺で葬儀を行う「寺葬」がにわかに注目されています。
かつて自宅で行われていた葬儀は、いまでは葬儀社が保有する葬儀会館や公営斎場で行われるのが一般的です。
葬儀はひと昔前までは地域共同体の人たちで行ういわゆる「行事」でしたが、高度経済成長期による都市化以降は祭壇の設営から料理の準備まですべてを葬儀社が行ってくれる「商品」、「サービス」となりました。
葬儀がビジネスとして行われるようになることで、喪主には多額な出費が求められます。
そうした中で、ここ最近ではお寺で葬儀を行う「寺葬」が注目されています。
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目次
「寺葬」のメリット
従来の葬儀よりも安い価格で心に残る葬儀ができる評判の「寺葬」のメリットを見ていきましょう。。
厳かな雰囲気の中で葬儀を行える
お寺とは宗教空間です。厳かな雰囲気の中で行われる葬儀には、自宅や会館にはない趣深さがあります。
仏さまに見守られながら執り行われるため、言葉にならない安心感があり、ずっと家族の心の中に残ると利用者の評判は上々です。
祭壇料や会館利用料が不要 葬儀を安く行える
お寺には本堂にご本尊が祀られ、周囲はきれいに荘厳されています。
つまり、わざわざ祭壇を設置する必要はなく、棺を安置さえすれば葬儀を行えます。
また、従来であれば10万円~20万円もかかってしまう会館利用料も不要であるため、一般的な葬儀よりも費用を安く抑えられます。
一般財団法人日本寺葬協会の調べでは、費用の目安として、
で、同業他社と比べて約半額で済むとしています(寺院へのお布施や庫裏使用料は別途必要)。
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お寺側にとってもメリット
寺葬はお寺側にとってもメリットがあります。
檀家離れが激しいと言われている昨今、葬儀をお寺で行うことで、1人でも多くの人たちとお寺との縁をつなぐことができるからです。
人生の中で死と最も深く向き合うこととなる葬儀をお寺で行うことでお寺は仏教の教えを説き、その後の長いつきあいのきっかけにできます。
利用上の注意点
お寺は葬儀専用に作られた建物ではないため、寺葬を行ううえでいくつかの注意点に気をつけましょう。
お寺の立地は山の上や住宅街の中など実にさまざまです。
駅やバス停から遠い場所にあったり、駐車場の台数が不十分など、お寺によってはアクセスが不十分ということも考えられることでしょう。
また、葬儀会館に比べて建物設備が行き届いていないこともあると言えます。
一方の葬儀会館は、葬儀を行いやすく、遺族の過ごしやすさを考えた設計がなされています。
しかし、お寺の本堂は葬儀を行うためだけに作られた建物ではありません。
階段が多い、参列人数に対して本堂や座敷が狭い、台所や仮眠室がないなど、葬儀会館にあってお寺にないものもたくさんあるため、人によっては不便を感じることもあることでしょう。
寺葬が令和時代の葬儀のスタンダードになるか
家族葬が多い昨今、葬儀会館ほどの過剰なサービスはいらないという声も多く聞かれます。
従来からあったお寺という場所を利用することで、費用を安く抑え、心に残るお葬式が可能です。
寺葬が令和時代の葬儀のスタンダードになるか、注目です。(執筆者:葬儀業界15年、1級葬祭ディレクター 五十嵐 信博)