ライフプランニングを希望される方の多くは、「将来的に家計がどうなるのか?」が知りたくて依頼します。
ライフステージの変化(結婚、出産、離婚、住宅購入、転職等)で「先がどうなるのかご不安」なタイミングで相談します。
そういった意味で言うと、1番の不安原因は
に集約されることが多くあるように思います。
今回はざっくりですが、老後の年金額を把握するのに便利な計算式をお話します。
目次
老齢年金額を考える

「老後年金がいくら」と言いますが基本、老後の年金額とは老齢基礎年金額と老齢厚生年金額の合計のことをいいます。
ここでは、ざっくり把握ですので特別加算額や加給年金、振替加算等は無視します。
1. 老齢基礎年金額とは、国民年金の加入期間や保険料納付期間等に応じて計算される老齢年金額のこと
2. 老齢厚生年金額とは、被用者年金の加入期間や保険料納付額等に応じて計算される老齢年金額のこと
厚生年金加入中は同時に国民年金にも加入しているという考え方です。
老齢基礎年金額のざっくり計算式
老齢基礎年金額のざっくり計算式は、
※全額免除や一部免除等は無視します。
※78万1,700円が面倒であれば78万円や80万円で計算しても結構です。
老齢厚生年金額のざっくり計算式
生涯勤続年収の約0.55%ということです。
平成15年3月以前の勤続期間がある場合は、年収から賞与分を引いた額に0.007125(約0.71%)ですが、年間賞与が2~3か月分程度であれば全期間上記の式で計算しても大差ありません。
具体的に計算してみましょう
年金定期便が手元にある方は、期間等を正確に把握できます。
(具体例)国民年金加入期間(厚生年金加入期間25年も含む)が37年で保険料を全額同期間納めていて、平均年収が500万円だったとします。
1. 78万1,700円 × 37年 × 12/480=約72万3,000円
2. 500万円 × 25年 × 0.005481 = 約68万5,000円
(1) +(2) =約72万3,000円 + 約68万5,000円=140万8,000円
65歳受給開始とすれば年間約140万円ほどの老齢年金が受け取れるということになります。
世帯で考えるのであれば配偶者の分も同様に計算して合算してください。
年金受給開始年齢別の損益分岐点計算
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という話についても計算式をご紹介します。
繰上げ受給は1か月繰上げる毎に0.5%づつ減額(2022年4月から0.4%に下がる)ということは、1年繰上げますと6%減額(2022年4月からは4.8%減額)、繰下げ受給は1か月繰下げる毎に0.7%づつ増額ということは1年繰下げると8.4%増額ということです。
繰上げ受給の計算式
100(%)/ 6(%)≒ 16.666…
2022年4月からは100/4.8=20.833…約20年10か月目
この計算は繰上げ期間が2年以上でも同じになりますので、受給開始年齢が
60歳からなら76歳8か月
61歳からなら77歳8か月
自身がこの年齢より長く生きると思われるなら繰上げ受給しないほうがいいということになります。
繰下げ受給の計算式
100(%)/ 8.4(%)≒ 11.904…
随時、受給開始年齢に足してください。
今度はこの年齢より長く生きると思われれば繰下げ受給したほうがいいことになります。
何もわからずに不安感を感じるよりは、目安でも分かって少し見通せるだけでだいぶ不安感は違うのではないでしょうか。
今回の概算計算式で、将来の年金受給額の目安や受給開始時期選択の目安にしてください。(執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司)