新型コロナウイルスの影響で、日々マスクが手放せません。
また、仕事などの関係でPCR検査を自費で受ける人や、インフルエンザの予防接種を検討している人は、それらの費用が「医療費控除」の対象になるのか疑問かと思います。
そこで本記事では、マスクの購入費用やPCR検査費用が「医療費控除」の対象になるのかを解説します。

目次
マスクの購入費用は「医療費控除」の対象外
「医療費控除」は、医師等による診療や治療のために支払った費用、または治療・療養のために必要な医薬品の購入費用などが対象であり、健康維持や予防目的のために支出した費用は「医療費控除」の対象外です。
マスクは風邪や新型コロナウイルスの感染を予防する目的で使用するため、マスクの購入費用を「医療費控除」の対象にはできません。
PCR検査費用はケースによって異なる
PCR検査費用は、検査を受ける理由や検査結果によって「医療費控除」の対象になるケースと、ならないケースに分かれます。
医師等の判断によって受けたPCR検査費用は、検査結果にかかわらず「医療費控除」の対象です。
一方で、新型コロナウイルスへの感染を確認するために自らの意思で受けたPCR検査費用は治療目的等の支出ではありませんので、原則「医療費控除」の対象外です。
しかし、自己判断により受けたPCR検査であっても検査の結果陽性と判断され、継続して治療を受ける場に合は検査費用を「医療費控除」に含めることが可能です。
オンライン診療に伴う費用

オンライン診療によって発生した費用は、医師等による診療や治療のために支払ったものであれば「医療費控除」の対象です。
また、処方された医薬品の購入費用についても、治療や療養に必要な医薬品であれば「医療費控除」の対象です。
医薬品を配送してもらう場合の配送料は「医療費控除」の対象外であるため、計算する際には費用を区分してください。
予防接種費用は「医療費控除」の対象外
インフルエンザなどの予防接種は感染予防のために行われので、予防接種に関する費用は「医療費控除」の対象外です。
また、健康診断や人間ドックの費用も原則的には「医療費控除」の対象にはなりません。
ただし、検査の結果、重大な疾病が確認されて継続的に治療を行った場合には、健康診断や人間ドックに関する費用は「医療費控除」の対象です。
「医療費控除」対象になるのは実費負担した支出のみ
「医療費控除」の対象となる金額は、実費負担した部分に限られます。
公費負担分や保険により補填された部分がある場合、その部分は「医療費控除」から除いて計算しなければなりません。
なお、「医療費控除」は基本的に10万円を超える費用が発生した場合に受けられる控除であり、控除を適用する際には確定申告手続きが必要です。
確定申告書に支出した領収書などを添付する必要はありませんが、5年間は保存義務があるため領収書などは捨てずに自宅で保管してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)