日本の公的な失業者に対するセーフティネットとして、失業手当や失業保険などと呼ばれる雇用保険の「基本手当」があります。
失業手当は、基本的には失業状態にある人が離職日以前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上(働いた日数が11日以上ある月を1か月とみなす。)ある場合にハローワークで求職の申し込みを行うことで受給できます。
しかし、自己都合退職の場合は給付制限期間が設けられているため、最低でも2か月間くらいは受給できません。
ただし、新型コロナウイルスの影響により自己都合離職された人は、正当な理由のある自己都合退職として給付制限が適用されない特例があります。
今回は、この自己都合離職でも受けられる失業手当のコロナ特例について詳しく解説していきます。
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目次
失業手当の給付制限期間
今までは自己都合退職の人が失業手当を受給するには、離職票提出日から7日間の待機期間の後にさらに3か月間の給付制限期間がありました。
この給付制限期間が法改正により、令和2年10月1日以降に離職された人で正当な理由がない自己都合により退職した場合は、5年間のうち2回までは給付制限期間が3か月から2か月に変更になりました。
しかし、それでも退職してから待機期間の7日間と給付制限期間の2か月間過ぎなければ、失業手当を受給できません。
特定受給資格者と特定理由離職者
失業手当の受給日数は、離職日の年齢や被保険者であった期間や離職理由などによって変わってきます。
特に、特定受給資格者や特定理由離職者と認められた場合は、受給日数が増えます。
特定受給資格者とは、会社の倒産または解雇などの会社都合によって退職を余儀なくされた人のことをいいます。
また、特定理由離職者とは、期間の定めのある労働契約を結んでいる人が契約の更新がされない場合や、やむを得ない理由によって退職した人のことをいいます。
特定受給資格者や特定理由離職者と認められた場合は、給付制限期間が7日間の待機期間だけですぐに失業手当を受給できます。
また、特定受給資格者と特定理由離職者は、雇用保険の被保険者期間が退職の日以前の1年間に6か月以上あれば受給資格を得られます。
自己都合退職の場合のコロナ特例
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自己都合退職の場合は給付制限期間が設けられているため、通常はすぐに失業手当を受給できません。
しかし、自己都合退職であったとしても2020年5月1日以降にコロナ関連の理由で離職した場合は、新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例として特定受給資格者として扱われるようになりました。
具体的には以下を満たした場合に、特定受給資格者として認められます。
・ 職場で感染者が発生したこと、本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有すること、妊娠中であること高齢であることを理由に、感染拡大や重症化防止のための自己都合離職
・ 新型コロナウイルス感染症の影響で子の養育が必要となったための自己都合離職
自己都合離職でも優遇
このように、新型コロナウイルス感染症のための自己都合退職の場合は、特定受給資格者として認められます。
すなわち、特定受給資格者として認められれば、給付制限期間が待機期間だけになり、給付日数も優遇される可能性があります。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)