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【年金制度】「在職老齢年金」でカットされる報酬に含まれるものを解説

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【年金制度】「在職老齢年金」でカットされる報酬に含まれるものを解説

70歳までの継続雇用努力義務化など長く働くことが前提の社会が到来しています。

また、エッセンシャルワーカーを除き、対面一択での働き方よりも対面とリモートをハイブリッドに使いこなした働き方が一般化しつつあります。

数年前はこのような働き方が一般化するとは多くの方が予想できなかったことでしょう。

一定以上の報酬を得て働く場合には在職老齢年金(報酬と年金額の合計額によっては年金がカットされる仕組み)により、年金が支給されないというケースがあります。

では「報酬」とはどこからどこまでの範囲が含まれるのかを確認していきましょう。

カットされる報酬に 含まれるもの

在職老齢年金とは何か

前提条件として老齢厚生年金を受けている方が厚生年金適用事業所に在職中であることが前提です。

そして、厚生年金の被保険者であり、報酬(賞与は月額換算)と年金月額の合計額に応じて老齢厚生年金(報酬比例部分)を全部または一部支給停止する制度のことです。

在職老齢年金と言わず「年金カット」と呼ばれることもあります。

しかし全てがカットされるわけではなく、例えば以下の年金は年金月額の合計にカウントされず、かつ、在職老齢年金によってカットもされません


在職老齢年金とは

・ 基礎年金

・ 老齢厚生年金(経過的加算部分)

・ iDeCo

などです。

上記の老齢厚生年金(経過的加算部分)とはどのような年金なのでしょうか。

本来、老齢基礎年金は、20歳から60歳までの保険料納付月数によって計算されます

当然、この期間には第2号被保険者として保険料を納付した厚生年金の被保険者期間も含まれます。

しかし、このままでは、20歳前の期間および60歳以後の期間は原則として「老齢基礎年金の年金額」には反映しません。

国民年金への加入は20歳から60歳までですが、厚生年金は上限として70歳まで加入できるので、老齢基礎年金に反映できない期間が出てくることがあります。

よって、経過的加算はその20歳前および60歳以後の基礎年金相当額分を、老齢基礎年金として支給できない代わりに厚生年金から老齢厚生年金として支給するものということです。

計算式は以下のとおりです。

厚生年金から老齢厚生年金として支給する

参照:日本年金機構

なぜ昭和36年4月以降との記載があるのか?との疑問が生じますが、国民年金法の施行年月日が昭和36年4月1日ということです。

経過的加算部分とは、20歳以上60歳未満の期間だけで老齢基礎年金が満額受給できない方が20歳未満60歳以後の厚生年金の被保険者期間がある場合は支給されるという理解です。

よって、形式的には老齢厚生年金ですが、実質的には老齢基礎年金です。

ゆえに高い報酬を受けている関係で(在職老齢年金により)全額支給停止されている場合でも老齢厚生年金(経過的加算部分)は支給されるということです。

在職老齢年金に含まれる報酬とはどこまでが対象となるのか

報酬とはどこまでが対象か?

厚生年金の適用事業所から受ける報酬、賞与を指します。

逆に厚生年金適用事業所でない事業所(例えば常時5人未満の個人事業主)や不動産投資で得た収入や株式配当は「本業」を超える収入であっても在職老齢年金に含まれる報酬にはあたりません

「どうせもらえない」なら手続きしなくても良いのか

老齢基礎年金と老齢厚生年金(経過的加算部分)は在職老齢年金としてカットされる年金の対象外となります。

しかし、手続きをしないと本来受給できるはずの年金が受給できなくなります。

また、年金は時効が5年であることから、5年経過後に気付いてしまうと時効消滅により受給できないということにもなりかねません。

在職老齢年金により老齢厚生年金が全額支給停止となってしまう場合でもそれは「報酬比例部分」のことであり「経過的加算部分」は在職老齢年金の対象となりません。

形式的には同じ「老齢厚生年金」であっても実質的には老齢基礎年金であることから、

年金の請求手続きは行うべき

です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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