保険に加入したいと思うタイミング第1位は、「健康に不安があるとき」でしょう。
しかしながら、医療保険は一般的に健康な人でなければ加入できません。
「気づいていなかったことにすればいい?」
本当にそうでしょうか。
今回は、医療保険の告知について詳しく解説するとともに、健康状況が良好でなくても普通の保険に入れるケースを紹介します。
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目次
告知義務とは
生命保険に加入申し込みをするときは、「被保険者の健康状態・現在の状況」についての告知が必要です。
このことを告知義務といい、被保険者は必ず現状を伝えなくてはなりません。
このとき、口頭で伝えただけでは、告知にはなりません。
所定の「告知書」を提出して、初めて告知したことになります。
「告知書」は、以前は書面でした。
今も紙の告知書を扱うところもありますが、営業員が持っているPCやタブレットに入力することが増えてきました。
なぜ、告知が必要なのか
保険は、相互扶助という考えのもと成り立っています。
これは、簡単にいえば「お互いさま」という意味です。
例えば、100人の集団で、1人1万円ずつ出し合って「保険金」を積み立てていたとします。
誰かが亡くなってしまったときに、遺族が100万円を受け取る仕組みです。
もし、この積み立てに参加して、10年目に亡くなってしまった場合は、10万円で100万円を受け取ることができます。
100人全員が、同じ年代で同じように健康であれば、この仕組みはおおよそ公平だといえるでしょう。
しかしながら、ほとんどが70歳代で1人だけ20歳だったり、ほとんどが健康体なのに実はがんと診断された人が混じっていたりした場合、公平性が損なわれてしまいます。
これが、保険の仕組みです。
公平性を保つために、告知が必要なのです。
告知内容は、大きくわけて2種類
保険会社や加入する保険(保険金額・保障内容)によって、必要な項目が異なります。
おおむね次のような質問が用意されています。
個人情報に関する告知
名前や住所・連絡先のほかにも、勤務先の業種や本人の業務内容、年収などが問われます。
これは、保険金額が妥当かどうか、一般的にケガや病気のリスクが高い業種ではないかといったことを確認するために、重要な項目です。
健康状況に関する告知
ここでは主に、病歴の確認をおこないます。
過去の手術や治療、現在の体調によっては、公平性が損なわれる危険があるからです。
・ 現在・最近・過去に「入院・手術・検査・継続的な治療・投薬など」を受けたことがあるかどうか
・ 健康診断・人間ドックを受けて異常(要経過観察・要再検査・要精密検査・要治療)を指摘されたかどうか
・ 身体の障害の有無、女性の場合は妊娠について
なども問われます。
質問は「はい・いいえ」で回答し、「はい」の場合はさらに詳細な情報告知に進みます。
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違反をすると、保険会社は一方的に解除できる
もしも、事実を隠したり、事実と異なる告知をしたりした場合は、どうなるのでしょうか。
先に述べた通り、告知は「義務」です。
ありのままに告知をおこなわなかった場合は、「告知義務違反」として、契約上の重大な約束を破ったことになります。
そして、保険会社は、告知義務違反を理由に契約を一方的に解除することができるのです。
告知義務違反によって、解除された場合
【例】
・ 告知義務に該当する期間に、「胃潰瘍」で入院・手術を受けたが、それを故意に報告しないまま保険に加入
・ 保険契約成立後、「胃がん」と診断され、がん診断給付金や入院給付金などを請求
・ 診断書により「過去の胃潰瘍」が発覚
この場合の「がん診断給付金」「入院給付金」など、保険金・給付金は一切支払われません。
何のために毎月お金を積み立てていたのか、すべてが無駄になってしまうのです。
しかしながら、上記の例で「自動車事故による骨折での入院給付金請求」など、告知義務違反と関係のない内容での保険金・給付金請求ならば、受け取ることができます。
告知義務違反があっても、解除にならない場合
次のような場合は、告知義務違反が発覚しても契約解除できないことになっています。
時効によるもの
責任開始日から2年以上経過しての発覚は、契約解除をおこなうことができません。
ただし、保険金・給付金の支払事由が2年以内にあった場合は、解除対象になることがあります。
ほとんどの保険会社が、告知義務違反での解除ができる期間を「責任開始日より2年」としていますが、実は保険法では解除権の失効は5年です。
また、保険会社が告知義務違反を知ってから、1か月以上対応をおこなわなかった場合も解除できません。
教唆によるもの
営業員(生命保険募集人)が、うその告知を勧めたり、事実を隠そうとしたり、なんらかの教唆がおこなわれたことが明らかになった場合は、解除できません。
健康状態に不安があっても、一般的な保険に加入できる場合もある
当たり前のことですが、告知義務違反はおすすめできません。
では、健康に不安があるときは、どのような保険に加入すればいいのでしょうか。
持病のある人に向けた保険は、告知項目が簡易になっているものや、告知なしで加入できるとしているものもありますが、保障内容が制限されているため希望に添わないこともあるでしょう。
そのようなときは、どうすればいいのでしょうか。
一般的な総合保険でも、加入できるケースもある
病歴によっては、告知に加えて「健康診断書」の提出や「保険会社の指定する医師の診査」を受けることで、保険に加入できる場合もあります。
告知書だけではわかりにくい詳細を伝えることで、治療の完治や経過の良好さなどがわかるためです。
また、病歴と現在の健康状態によっては、特別な引き受け条件を設けて加入が認められる場合もあります。
引き受け条件とは
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告知や審査の結果によって、保険会社は「無条件:申し込み内容の通り引き受ける」と「謝絶:引き受け不可」のほかにも次のような決断をくだします。
公平性を保つために「ハンデ」を提示するのです。
部位不担保
持病や病歴にかかわる部位は、保障対象から外されるという条件です。
例えば、ぜんそくの持病がある場合で「気管支・肺」が不担保になったとします。
この契約では、胃潰瘍や盲腸、ケガでの入院給付金や手術給付金は申し込み内容通り支払われますが、肺炎になった場合は支払われません。
部位不担保は、保険期間を通じて有効なもの以外にも、年数が指定される場合があります。
特定疾病不担保
持病や病歴にかかわる「病名」が、保障対象から外されるという条件です。
過去にかかった病名と同じとは限りません。
保険料割増
保障内容は申し込みの通りですが、保険料がリスクに応じて割り増しされています。
保険金削減
保険料は申し込み通り、保障対象も申し込み通りですが、保険金額が削減されます。
保険期間を通じる場合と、一定期間のみの場合があります。
ありのままに伝えることが大切
普段「保険なんていらない」と思っていても、いざ病気にかかってしまうと「保険に入っていれば、治療費がおりるはず」と思ってしまう気持ちはわかります。
しかしながら、告知義務違反は決してゆるされることではありませんし、支払う代償が大きすぎます。
病歴や持病によっては、総合的な保険に加入できることもありますので、1度相談してみてはいかがでしょうか。(執筆者:仲村 希)