在宅勤務や働き方改革の影響により、2020年から副業を始められたもいるかと思います。
サラリーマンの方(年末調整済)で、本業以外の所得が20万円以下なら原則申告しなくて大丈夫ですが、所得金額が20万円を超える場合は確定申告手続きが必要です。
税務署は副業収入を把握する情報網を持っているので、申告しないと突然調査担当者が自宅に訪れるかもしれませんのでご注意ください。

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会社は税務署へ所得に関する情報を流している
会社員やパート・アルバイトとして働いている人は、会社から源泉徴収票が発行され、源泉徴収票は1年間の収入や支払った社会保険料などが記載された書類です。
従来は確定申告書に源泉徴収税額を添付していましたが、平成31年4月1日以後に所得税の申告書からは、給与所得の源泉徴収票の添付は不要になりました。
確定申告書に添付が不要になったのは、源泉徴収票は法定調書として会社から税務署へ提出されているため、申告書に添付されていなくても税務署は収入状況を確認できる仕組みの存在があります。
したがって申告しなければ、税務署は副業の存在を把握できない理屈は成立しません。
副業の収入が手渡しなら税務署にバレないのか?
給与所得の源泉徴収票や報酬などに対する源泉徴収税額は、事業者が税務署に書類を提出しているため、情報は税務署に流れていると認識してください。
一方、事業者が源泉徴収していない場合や、源泉徴収票を税務署に提出していなければ税務署に副業がバレないと思うかもしれませんが、その考え方は安直です。
給料や報酬を手渡しで受け取っている場合でも、事業者は従業員に給料(報酬)を支払っている事実を隠すことはできません。
そのため税務署は事業者を調査することで、誰がどのくらいお金を得ているか確認できますし、各従業員が収入を適切に申告していなければ、税務調査により申告漏れを指摘します。
なお税務調査を受けたことがない人は、今日時点で税務調査を受けていないだけで、明日調査担当者が自宅に来る可能性もありますのでお気を付けください。

ブームとなっている業種は税務調査が行われやすい
仮想通貨の利益を申告していなかったとして、税務調査を受けた人や、風俗店やキャバクラ店が摘発されるニュースをよく見かけるようになりました。
ブームとなっている業種では1年で億万長者になる人もいますが、一気に所得が増えた人は確定申告の経験が乏しい人が多いため、申告ミスや申告しないケースが多発しています。
税務署は自主的に正しく申告を促す牽制効果と、税務調査による実績を上げやすい側面から、話題になっている業種に対して積極的に税務調査を実施する傾向にあります。
個人的な意見になりますが、緊急事態宣言時に流行したオンラインキャバクラや転売などで収入を得た人に対しては厳しい目が目が向けられるかと思いますので、一層の適切な申告を心掛けてください。
申告しないと税金を納めすぎのままになる可能性
源泉徴収は、給料や報酬を支払う事業者が事前に税金を徴収し、納付する制度です。
年間の納税額が30万円の人が、源泉徴収として先に10万円納めている場合、確定申告により残りの20万円を支払います。
一方、源泉徴収で10万円納めていても、実際に納付すべき所得税が3万円なら、差額の7万円は納め過ぎなので、還付申告することで納め過ぎた税金が戻ってきます。
納税申告者には申告義務がありますが、還付申告者には申告義務はないので、還付手続きを行うかは納税者の任意です。
還付申告しないと納め過ぎた税金は戻ってきませんので、副業収入がある人は確定申告書を作成し、納税額を確認することをオススメします。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)