「貯蓄と保障がセットになっている方がお得感がある」
「保険に加入するなら掛け捨てよりも戻ってくるタイプの方が良いのかな」
こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ですが今の時代、貯蓄型の保険や使わなかった掛け金が戻ってくるタイプの保険はおすすめできません。
貯蓄効率は悪くなりますし、掛け金が高い保険ばかりです。
本記事では貯蓄と保険は分けて考えるべき理由について解説していきます。

目次
貯蓄型保険での戻りは低利率
貯蓄型保険での戻りは低利率です。
インデックスファンドの方が期待値が高いです。
貯蓄型保険に加入される方の目的は
・ 保障もセットで確保したい
この2つを同時にかなえることだと思います。
ですがこの考え方が危険です。
セットにするとお得感がありますが、逆効果です。
【デメリット1】利率が低い上に経費が引かれる
まずは増やすという観点からです。
保険料として払ったお金が増える理由は保険会社が掛け金を運用しているからです。
その運用先が円建て保険だと日本国債、米ドル建て保険だと米国債になります。
国債運用というのは非常に低リスクですが、その分運用益も少ないです。
貯蓄型保険は10年以上の長期での積立ですが、その長期運用で得られるリターンも非常に少なくなってしまいます。
その上、保障分の経費もしっかり取られてしまいますので戻り率は限定的です。
銀行預金と比べると確かに増えますが、その期間、はやりのインデックスファンドで運用する方が期待値はダントツで高くなります。
・ 毎月掛け金を払うだけで運用してくれるから楽だ
・ 投資のことは何もわからないから保険の方が安心
なんて思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、インデックスファンドの積立も同じくほったらかしで大丈夫です。
投資の鉄則は長期的に継続することです。
例えば積立NISAで買い付けできるファンドは金融庁も認めた優良ファンドのみですので基本的にハズレはありません。
保険と同様にほったらかしにしておけば勝手に運用されていきます。
無駄な経費を引かれない分、保険よりも運用期待値が高いことは想像に難くないと思います。
【デメリット2】保障を確保するための掛け金が高い
保障の観点からも貯蓄型保険で得られる保障額は限定的です。
死亡保障を確保できる貯蓄型保険は「終身保険」ですが、掛け金が非常に高いです。
35歳男性で1,000万円の死亡保障を確保しようとすると円建て終身保険だと月額3万円を超えてきます。
子どもがいる家庭だと死亡保障1,000万円は少な過ぎるのでさらに保障を追加する必要があります。
であれば最初から費用対効果の高い掛け捨て死亡保障で必要な金額、必要な期間備える方が効果的です。
収入保障保険という掛け捨て死亡保障なら35歳男性で月額3,000円ほどで約3,000万円の保障を確保できます。
浮いた分の掛け金を期待値の高いインデックスファンドに回す方が貯蓄効率も保障も良くなりますのでぜひご検討ください。
保障と運用がセットの変額保険も要注意
最近人気の変額保険にも注意が必要です。
・ 円建て保険よりも安く保障を確保できる
・ 運用に投資信託を用いており、効率の高い貯蓄が期待できる
これらの点で人気ですが結局は保険です。
しっかりと経費が引かれます。
同じ期間、同じ金額を純粋にインデックスファンドの積立に回す方が期待値がはるかに高いことは通常の保険と同じです。
保険セールスの甘い文句に安易にのらない様、注意が必要です。

戻ってくるタイプの保険も安易な加入は危険
使わなかった掛け金が将来戻ってくるタイプの医療保険やがん保険も人気です。
ですがこのタイプの保険にも落とし穴があります。
しっかりとご理解された上で加入を検討するようにしてください。
【デメリット1】掛け金が高い上に戻ってくるのは主契約分のみ
将来戻ってくる分、毎月の掛け金が高く設定されています。
確かに使わなかった分は戻ってきますが、月の掛け金が高いのは考えものです。
そして戻ってくるのはあくまでも「主契約分の掛け金のみ」です。
通院特約や先進医療特約などの特約分は一切戻ってきませんので注意が必要です。
【デメリット2】戻ってきた後も払い続ける必要がある
掛け金が通常の保険よりも高く設定されていることは既に解説しましたが、その掛け金が戻ってきた後も払い続ける必要がある点にも注意が必要です。
多くの場合、戻ってくる年齢を60歳や65歳に設定しています。
頑張って掛け金を払い続け、やっとこさ戻ってきたら「終了」というわけにはいきません。
その後も保険を続けたいならば高く設定されている掛け金を払い続ける必要があります。
ですがその後は一切戻ってきません。
現役時代は収入が高いので払えたかもしれませんが、老後はそう簡単にはいかないことは安易に想像できるかと思います。
貯蓄は貯蓄、保険は保険で分けて考える方がお得
これまで解説してきた通り、貯蓄と保険をセットで考えると効率が悪くなってしまいます。
貯蓄は貯蓄用の商品で、保障は保障用の商品でまかなうのがセオリーだとお考えください。
さまざまな有益な情報にも手が届きやすい時代ですし、積立NISAといった優れた制度もあります。
保険も費用対効果の高い安価な商品がたくさん発売されています。
それぞれの目的にあった商品があるはずなので安易にひとまとめにするのは得策ではありません。
確かに投資も保険も初心者には難しいですが、将来に関わる大切なことです。
その時の判断が将来を決めることになるかもしれません。
「まとめた方が絶対にお得」と断言できない限りは分けて考えることを強くおすすめします。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)