貯蓄型保険の中でも人気の「終身保険」は、一生涯の保障を確保しながら貯蓄ができる保険とあり、利率が下がった今でもその人気の高さは健在です。
今回は、貯蓄型「終身保険」の特徴と保険料負担が難しくなってしまった場合の対応策について解説していきます。
目次
貯蓄型保険の主な種類

貯蓄型保険でメジャーなのが、
・ 養老保険
・ 終身保険
の3つです。
貯蓄型の終身保険の特徴
この3つの貯蓄型保険の中でも「終身保険」が人気なのですが、その理由は年金保険や養老保険にはない特徴を持っているという点にあります。
貯蓄機能のみの保険であり、保障機能がない
【養老保険】
期間限定の貯蓄型保険であり、満期後は保障がなくなる
これに対して、「終身保険」はその名の通り死亡保障が一生涯続きます。
死亡時、もしくは自らの意思で解約するまでその保障は継続します。そして、解約返戻金は払込終了後も増え続けます。
「使い切るまでに死亡してしまった場合には、死亡保険金を遺族に遺せる」
これら2点の特徴から貯蓄型保険の中でも絶大な人気を誇っていました。
しかし、難点はその保険料の高さです。
収支のバランスが安定している間は問題ありませんが、今の時代、どうなるかは分かりません。
「30才から60才まで」といった形で長期で保険料を払い込む契約をされている方も多いのではないでしょうか。
終身雇用も崩壊し、年功序列で収入が上がるわけではない今の時代においては、長期的な保険料負担が家計を大きく圧迫することも考えられます。
保険料の負担が困難になった際の対応策
そこで、ここからは、終身保険の保険料負担が難しくなってしまった場合の対応策について解説していきます。
対応策1. マイナス覚悟で解約する
終身保険の解約に二の足をふむ方が多い理由に「途中解約すると元本割れしてしまう」というものが挙げられます。
という思いから解約を躊躇する方をたくさん見てきました。
確かに元本割れするのでそのまま継続するに越したことはありません。しかし、終身保険の保険料を払うために今の生活を犠牲にするというのも考えものです。
一般的な節約レベルで払えるのであれば払うべきですが、必要最低限の生活レベルは確保すべきです。
借り入れしてまで払うなどというのはもってのほかです。まずは生活を立て直し、安定してから改めて将来の貯蓄を再開するという勇気も必要です。
特にこの5年以内に加入した方については、積立利率の低い終身保険であることがほとんどです。
無理して続けるだけのメリットは大きくありませんので、今のマイナスを受け入れて、改めて再開されることをおすすめします。
差し迫って現金が必要な状況である場合には、解約返戻金が手元に返ってくることも解約のメリットと考えることができます。
確かに元本割れの状況ですが「今の現金」が必要な場合には、そのようなことは気にしてられません。
対応策2. 減額(部分解約)して継続する
保険は、保障を途中で減額することが可能です。
たとえば、
といったことが可能です。
減額した場合には、その減額割合に応じて保険料も安くなります。半分解約であれば、保険料も単純に半分になります。
また、解約返戻金も解約分に応じて戻ってきます。半分解約であれば、解約時点で貯まっている解約返金の半分が戻ってきます。
その使い道は「全解約」同様に自由です。
減額することによって老後までに貯まる金額はもちろん少なくはなりますが、なくなるわけではありません。
保険料負担が軽くなれば支払えるという状況の方におすすめの方法です。

対応策3. 払済終身保険に変更する
最後が、払い済みへ変更する方法です。
これまでの保険料負担によって
です。
今後の保険料負担が一切なくなるうえに保障を継続させられます。
保険料という元本投入がなくなる分、増え幅は鈍化しますが、解約返戻金も増え続けていきます。
メリットは、
・ 保障額は小さくなるが保険を継続させることができる
・ 解約返戻金も増え続けていく
ことで、対してデメリットは、
・ 保障額も老後に貯まる金額ももちろん少なくなる
という点ですが、使い方によっては解約や減額と比べてもメリットのある方法です。
・ 解約返戻金が欲しいわけではなく、現在の保険料負担がなくなれば問題ない
・ 過去の利率の高い終身保険(特に外貨建終身保険)に加入されている
という方にはおすすめの方法です。
「保険料が払えない=解約」ではないのが「終身保険」
「終身保険」は医療保険などと比べて保険料が高い場合がほとんどです。その分、保険料負担が重くのしかかる可能性も高くなります。
貯蓄機能がある分、「負担がしんどいから即解約」という方法だけではなく、冷静になってよりベターな選択肢を探す必要があります。
将来のために始めた「終身保険」ならなおさらです。ご自身のみで判断するのではなく、担当者の意見を聞くことも有効です。
なるべく損のない方法で、より今の状況にマッチした選択肢を模索することをおすすめします。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)