「大事なのはわかるけど、その必要性について真剣に考えたことがない」
「健康に不安はないから保険はいらないかな」
お金のこと、特に保険のこととなるとなかなか周囲の人と相談しづらい風潮があるかと思います。
保険ってどんな人に必要でどんな人には不要なのでしょうか。
今回はこんな疑問にお答えします。

目次
保険が本当に必要な人は「経済的に余裕のない人」
結論からですが、保険が本当に必要な人は「経済的に余裕のない人」です。
言い換えれば経済的に余裕のある人は保険に加入する必要はありません。
「スポーツをやっていて体力には自信がある」
といったことは全く関係ありません。
経済的に余裕があるかないか、これが全てです。
以下、解説していきます。
最低限必要な緊急予備資金、これが貯まっていない人は保険が必要
どのくらいの経済的余裕があれば保険は不要なのか。
さまざまな説がありますが、万一時の生活防衛資金である緊急予備資金の貯まっていない方はいざという時の備えが十分ではありません。
入院してしまった場合、失業してしまった場合、大きな病気になってしまった場合等に困る可能性が高いです。
こういった方は少なくとも緊急予備資金がしっかり貯まるまでは保険に加入しておく必要があるでしょう。
緊急予備金とはいくら
では緊急予備金とはいくらなのか。
実際の金額は世帯によって変わりますが、「半年分の生活費」を目安に考えていただければと思います。
毎月の生活費が25万円の世帯であれば
25万円 × 6か月分=150万円
です。
万一時も半年分の生活費が蓄えとしてあれば、なんとかその間に生活を立て直すことができるではないかというのがその根拠です。
確かに、半年間無収入でも生活できる余裕があれば大抵のことは乗り切れそうです。
半年分の生活費が貯まっていない方はまずはここを目指して貯金する必要があります。
その間、入院や大病などの不足の事態に備えて保険に加入しておくことにより安心を買うことができます。
貯金がほとんどないにもかかわらず無保険の方もいらっしゃいますが、それはあまりにも危険です。
当たり前ですが未来のことは誰にもわかりません。
「何かあってもなんとかなるでしょ」
こんな感じで何の対策も取らずに後悔する人をたくさん見てきました。
余裕のない方ほど保険に加入し、万一時の備えをしておくべきなのは間違いありません。
緊急予備資金の蓄えがない方は医療、がん、死亡保険への加入を

緊急予備資金が貯まっていないからといってむやみやたらに保険に加入してしまうとそれこそ貯金ができません。
収支のバランスを考慮しつつ、必要最低限の保険を見極める必要があります。
ご自身で回答を出せる方は問題ありませんが、多くの方が悩むのが「実際にどの保険に加入したら良いのか」だと思います。
ここでは1つの例として緊急予備資金が貯まるまで加入しておきたい保険について解説します。
1. 医療保険
1つめは医療保険です。
緊急予備資金が貯まっている方は必要ない保険かもしれませんが、そうでない方は加入しておくことをお勧めします。
特に日給月給で仕事をされている方やフリーランスの方は入院=収入低下につながる場合が多いと思います。
入院費用を賄うためだけではなく、所得保障にもつながりますので加入しておく方が安心でしょう。
余談ですが、緊急予備資金が貯まっていなくても医療保険が不要と言える例もあります。
大企業にお勤めの方で健康保険が「組合健保」の場合は医療保険はほぼ不要です。
多くのサラリーマンが加入している一般的な「協会けんぽ」の場合
・ 医療費3割負担
・ 高額療養費制度(一般的な収入の場合は月単位の医療費の自己負担額が約8万円となる制度)
が使えますが、組合健保の場合はさらに医療費の自己負担額が少なくなります。
組合によって変わりますが、1番多いパターンが
月の医療費の自己負担限度額2万5,000円
となりますので、どんなに医療費がかかっても2万5,000円以上の負担はありません。
この金額であれば緊急予備資金が貯まっていなくても何とかなりそうです。
2. がん保険(三大疾病保険)
2つめは大きな病気になってしまった場合の保険です。
通常の病気やケガによる入院よりも治療費が高額になってしまう可能性が高い病気として挙げられるのが
・ 心臓
・ 脳
の3つです。
月単位では高額療養費制度が使えますが、治療が長期化してしまうとその治療費はあなどれません。
以前と同じように仕事ができなければ収入低下につながる危険性もあります。
十分な自己資金の準備がない場合は加入しておくべき保険と言えるでしょう。
治療費が高額になる可能性がある分、加入優先度は医療保険よりも高くなります。
3. 死亡保険
万一時の死亡保険、こちらは優先度が1番高い保険です。
遺された家族のための十分な蓄えがない場合は加入必須です。
緊急予備資金が貯まるまでは言うまでもないですが、貯まってからも扶養家族がいる間は加入しておく方が何かと安心です。
・ 子どもが独立している
・ 配偶者の収入のみで十分生活できる
これらを全て満たしていない場合は加入を強くお勧めします。
遺族年金のみで生活できる世帯は多くありません。
経済的余裕のない人ほど保険に加入するべき

経済的余裕のない人ほど万一時に困ってしまいます。
保険は万一の際に経済的にカバーするためのもの、つまり万一の際に余裕のない人が加入するべきものなのです。
「余裕ができてから保険に加入しようかな」
これは全く逆の発想です。
確かに余裕のない時の保険料負担は大きいです。
ですが最低限必要な保険として解説した3つについては加入しておくことを強くお勧めします。
保険料も決して高額ではありません。
30歳男性で一般的な保障内容
・ がん保険(三大疾病保険) → 2,000円~3,000円台
・ 死亡保険 → 3,000円台(喫煙の有無により変わります)
3つの保険全てに加入しても月1万円もかかりません。
女性の場合はさらに安くなります。
支出を見直すことにより十分工面できる金額ではないでしょうか。
しっかりとした備えを
しっかりとした備えをしておかないとそれこそ路頭に迷うことになりかねません。
賢く生きるためにも余裕のない時ほど保険に加入しておく必要があります。
大切な自分自身、家族を守るためにも保険の必要性について検討してみてください。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)