老後の重要な収入源である年金は25年以上保険料を納めていることが要件「でした」。
平成29年8月1日以降には、25年の部分が10年に短縮されています。
そこで今回は、10年で受給できる年金と25年納付するメリットにフォーカスをあてて解説していきます。
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目次
60歳到達間際の方
自営業で長らく保険料を滞納していて、かつ、60歳まで加入しても10年に満たない場合には、
という選択肢があります。
しかし、10年の加入のみでは年金は年額20万円弱程度であり、生活していくには十分とは言い難い金額です。
なお、男性であれば昭和36年4月1日以前生まれの方の場合、厚生年金への加入期間が1年以上あれば、65歳前からの年金(特別支給の老齢厚生年金)を受給できます。
そして、厚生年金への加入期間が1か月でもあれば65歳から支給される「老齢厚生年金」を受給できます。
注意点は
ということです。
加入期間が10年に短縮された年金
加入期間が10年に短縮された年金には、「老齢基礎年金」「寡婦年金」が挙げられます。
「寡婦年金」
なお、「寡婦年金」とは死亡した夫の妻に対して支給される年金で、次の要件を全て満たした場合に支給されるものです。
・ 夫の死亡当時、夫によって生計を維持していた妻
・ 夫との婚姻関係(事実婚含む)が10年以上
・ 65歳未満の妻
・ 死亡した夫が「障害基礎年金」の受給権者であったことがない
・ 死亡した夫が「老齢基礎年金」の支給を受けていないこと
なお、「寡婦年金」は非課税であり、受給額は亡くなった夫が受給できるはずであった「老齢基礎年金」の3/4です。
すなわち、加入期間が10年少々であった場合には当然のことながら「寡婦年金」の受給額も低額です。
「寡婦年金」は遺された妻が60歳から64歳までの間に受給できる有期的な年金であり、妻が繰り上げ請求をしてしまうと65歳に達したとみなされてしまうために受給権が消滅してしまいます。
「寡婦年金」と「遺族基礎年金」
また、「寡婦年金」と「遺族基礎年金」も同時に受けることができる場合には、「寡婦年金」と「遺族基礎年金」は選択受給の関係になります。
しかし、過去に「遺族基礎年金」を受けたことがあり、子供が成人したことで失権し、「寡婦年金」も受給できるというケースの場合には両方を受給できます。
なお、「寡婦」年金はあっても「寡夫」年金はありません。
年金の世界には、「妻には年齢要件が課されないものの、夫には年齢要件が課される」などの注意しなければならない部分があります。
「寡婦年金」と「死亡一時金」
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参考までに「死亡一時金」も「寡婦年金」と同時に受給できる場合には、選択受給です。
「死亡一時金」は「寡婦年金」とは異なり、遺された妻でも夫でも受給できます。
しかし、亡くなった方が国民年金の第1号被保険者としての期間が36か月以上から420か月まで区分が設けられていて、給付額は12万円から32万円と幅があります。
「死亡一時金」も非課税です。また、亡くなられた方が「老齢基礎年金」「障害基礎年金」を受けたことがないことも要件です。
加入期間が25年必要な年金
「遺族厚生年金」の長期要件が挙げられます。「遺族厚生年金」についての詳細についてはこちらをご覧ください。
長期要件にしか該当しない場合、保険料納付済期間等が25年であることという支給要件が課されます。
なお、「遺族厚生年金」の長期加入者の要件に該当した場合、「中高齢の寡婦加算」については240月以上の被保険者期間が必要です。
よって、配偶者が他界した場合でかつ「遺族厚生年金」の長期要件のみに該当した場合には、保険料2/3以上を納めていなければならないという要件を課している以上、保険料納付済期間等が25年なければ「遺族厚生年金」を受給できないという事態にも発展しかねません。
25年から10年の短縮によって恩恵を受ける層
平成29年8月の改正によって約64万人の方々が年金を受給できるようになったと言われています。
年金の加入期間は25年から10年に短縮されたものもありますが、短縮されていない年金もあるのです。
言うまでもなく、加入期間が長ければ長いほど年金額は増える方向に向かいますが、そもそも25年をクリアしなければ受給することすらできない年金もあるという点はおさえておきましょう。
特に、「遺族年金」は遺された家族にとっても重要な収入源です。
また、支給事由が「死亡」の給付は「老齢」とは異なり非課税である点も合わせると、遺された家族のために可能な限り保険料を納めておくことも重要だと考えられます。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)