病気になったりケガをしたりした時、あるいは死に直面するような経験をした時、保険はとても心強いものです。
しかしそういった事はないほうが良く、健康に過ごせていると、なんとなくお金をムダにしているような気持ちにさえなるのも保険です。
せめて保険料が安ければと思い探すと、近頃はとても多くの安い保険が販売されていますので、これなら入ってもいいという気持ちになりがちです。
しかし仮にその保障内容が悪いと、本当に必要になった時にそれが判明します。
いくら安いからといっても、これでは本当にお金のムダです。
そこでここでは、安い保険とそうでない保険を比べる時の着眼点と、安い保険がどんな人にオススメなのかをまとめます。
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目次
民間の保険に入らない理由
民間の保険に入らない人が挙げる理由として、
・ 自分が大病を患うなんて想像できないから
・ 同じお金を払うなら健康作りに使いたいから
という事がありますが、健康で過ごす事を望むのは誰も同じです。
しかしこれは不確かで賭けのようなもの、危なっかしささえ感じます。
民間の保険に入らなくていい理由として保険を売る側が唯一認めるとすれば、何があっても困らないだけの余裕資金がある事です。
前述の3つの理由で民間の保険には入らないという人の本音の1つに、お金に余裕がないからという事はないでしょうか。
民間の保険は加入の必要なしと言われがちな理由
一方、近頃は民間の医療保険に加入する必要はないと言う専門家もいます。
その理由には、以下のものがあると言えます。
(1) 健康志向の高まり
近年、健康志向がとても高まっています。
煙草に関しては全面的に禁煙の施設やお店も増えましたし、ランニングやウォーキングをする人たちが1つの日常的風景にさえなっていると感じます。
また保険会社にも、保険契約者の一日の歩数をポイント化しそれに応じたサービスを提供したり、BMIや血圧の数値、喫煙の有無によって保険料を割り引くという動きがあります。
(2) 公的医療保険制度による高額療養費制度の充実
私達が受ける治療の多くは、公的医療保険の対象のものだと思います。
従って私達が医療機関の窓口で支払う医療費は、実際の費用の3割~1割で(年齢と所得による)、残りの7割~9割は公的医療保険から医療機関に支払われます。
さらに、私達が窓口で支払う医療費が一定の金額を超えた場合は、超えた分が戻ってくる「高額療養費制度」もあります(一定の金額というのも年齢と所得による)。
しかも有難い事に、事前に申請し「限度額適用認定書」の交付を受ければ、私達が医療機関の窓口で限度額以上を負担する必要もありません。
後で戻ってくるとはいえ、立て替えが厳しい高額の場合もありますので、医療費が高額になりそうな場合はぜひ、限度額適用認定書の申請を行ってください。
(3) マイナス金利政策導入以降の保険料の値上がり
マイナス金利政策の影響は預貯金に利息がほとんど付かないだけでなく、保険料の値上げも招いています。
これは保険料に対して保障が小さくなったという、保険としての価値の低下を意味します。
また預貯金が増えないのと同様、掛け捨てではない(例えば終身保険のように解約返戻金が貯まる貯蓄性のある)保険や年金保険のお得感もめっきり減ってしまいました。
保険と健康
治療中の病気やケガがあったり、完治はしたもののまだそれほど日が経過していなかったりという人でも、加入できる保険ができました。
しかし健康な人が加入するより、以下のようなマイナス面があります。
・ 小さい保障にしか入れない
・ 希望通りの保険に入れなかったり、付けられない特約もある
・ 健康な人と同じ保障額、同じ保険料で加入できるが、加入後2~5年間は保障が半額などになる
つまり、病気やケガをして保険の必要性や有難さを感じた時には、希望する保険に入れなくなる可能性があるというのも保険だというです。
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安い保険がオススメの人
さて、以上の内容を踏まえ、それでも保険に入ろうかどうしようか迷っている人、あるいは保険に入る必要はないとキッパリと言い切れない人は、
という人なのかもしれません。
そしてさらに、病気やケガで働けなくなっても路頭に迷う人がいないという人は、保険料の安い保険をオススメします。
保険料が安い保険とそうでない保険、保険料を左右するもの
医療保険には各社に特徴があるばかりでなく、組み合わせる特約の数や種類まで大変幅があり複雑です。
また、最も身近な保険というと医療保険になるかと考えますので、医療保険について説明します。
保険料が安く人気のある保険を販売している保険会社として、以下を挙げます。
・ オリックス生命
・ ライフネット生命
・ メディケア生命
・ チューリッヒ生命
・ アクサダイレクト生命
・ 東京海上日動あんしん生命
比較の着眼点、保険料を左右するもの
保険料を左右するもののチェックをしましょう。
保障額
給付金の額をチェックしましょう。
各種給付金のもとになっているのは、入院1日に対していくら保障されるかという「入院日額」である事がほとんどです。
3,000円~1万円で設定するのが多いようです。
日帰り手術は入院日額の5倍が多いようですが、入院中の手術には5倍~20倍と幅があります。
入院給付金の支払い日数
通算では1,000日や1,095日が多いようですが、なかなかこれを消費する事はありません。
従ってそこではなく、1回の入院で最高何日分の給付金が受取れるかを確認しましょう。
15日や30日~200日以上と幅がありますし、入院1日目から給付されるか否かも確認しましょう。
「1回の入院」の定義にも保険会社特有のものがありますので、以下をご参照ください。
特約の有無や種類
保険は特約を付ける事によって保障の幅が広がり給付金も増えますが、当然、保険料も高くなります。
従って仕組み図や保険料内訳を見れば、保険料が高くなっている理由や安くするために検討すべき点が見つかります。
保険期間
保険料が安いと思ったら10年で保険が切れる、という事にもなり兼ねません。
保険期間が何年なのかをチェックしましょう。
保険料払込期間
保険期間が一生涯(終身)の場合、保険料を何才まで支払うかが設定できる保険がほとんどです。
老齢になってまで保険料を払うのはイヤという人は65才などに設定できますが、その分、1回の保険料は高くなります。
保険料シミュレーション
参考までに、29才男性の保険料シミュレーション結果をいくつか添付します。
オリックス生命
【基本プラン】
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ちなみに入院日額を1万円にすると月額保険料は2,653円、単純に倍額ではありませんでした。
基本プランで保険料払込期間を65才に
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基本プランにがんの保障をプラス
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東京海上日動あんしん生命
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保険料が安くない保険
前章で述べた事は同じ保険で保障内容を変えての比較、あるいはインターネット販売や「保険ショップ」「来店型保険代理店」と言われる乗合代理店(のりあいだいりてん)で販売している保険の比較でした。
こういった保険会社の保険は、そもそも保険料が安いです。
それに対し保険料の水準が全く異なる(高い)のは、日本生命や第一生命、明治安田生命、住友生命など国内の生命保険会社の保険です。
これらの保険会社では保険外交員が保険契約者を訪問し、新商品の案内から新規加入や見直しの勧誘、給付金請求などの各種手続きを行います。
このように専属代理店が扱う保険は、保険料払込期間や保険期間を1才単位、保障額を10万円単位で設定する事も可能です。
しかしこれらの保険は乗合代理店では扱っていませんので、保険ショップなどでまとめて比較する事はできません。
各社ともグループ会社はあります。
日本生命ならはなさく生命、第一生命ならネオファースト生命、住友生命ならメディケア生命などです。
そしてグループ会社が扱う保険は乗合代理店でも販売していますが、これらはあくまで乗合代理店用の保険であって専属代理店が扱う保険とは異なります。
保険料が安い保険とそうでない保険の比較は、こういう面もあります。
インターネットで加入する場合の留意点
近頃はインターネットでの加入も増えているようですが、インターネットでの加入で生じ得る制限を紹介します。
保険料の支払い方
保険料は月払いのみ、という保険会社があります。
従って他の払い方を希望する場合や、今は預貯金をしても利息がほとんど付かないので割引を活用すべく保険料を前納したい場合は、保険ショップなどでの手続きが必要です。
付けられない保障あり
インターネットによる加入では付けられない保障がある保険があります。
保障額の上限
店頭で加入するより少ない保障でしか加入できない保険があります。
わからないことはきちんと確認しよう
インターネットでの加入は、私達自身で保険の内容を正確に理解しないといけません。
しかしオフィシャルサイトでも全ての情報が掲載されているわけではありませんので、フリーダイヤルを活用し、必ず質問や確認をしてください。
とても親切に教えてくれますし、
「そういう意味なんだ」
という事もあります。
とはいえ、ある程度保険の知識がないと疑問すら湧きませんので、いろんな保険ショップに行って信頼できるFPを探すのと並行してもいいでしょう。(執筆者:金澤 けい子)