がんになったら大変です。
今までと同じように働けないかもしれません。
最新の治療を受けるなら莫大な費用を自己負担しないといけません。
2人に1人ががんになってしまう時代です。
がん保険をめぐる営業トークは挙げればキリがありません。

目次
勧められるがままにがん保険に加入してしまっては危険
あの手この手を使ってがん保険への加入を促され、実際に多くの方が加入しています。
確かにがんはとても怖い病気で日本人の死因1位であることは事実です。
だからといって勧められるがままにがん保険に加入してしまって大丈夫なのでしょうか。
実はがん保険にもさまざまな保障があり、内容によっては時代にそぐわないものもあります。
がん保険は医療保険よりも保障内容がややこしく、しっかりと確認しないと「思っていたものと違っていた!」なんてことになりかねません。
これは危険です。
心配な病気だからこそ保障内容を把握する必要がありますし、いざというときに使えない保険だとそれこそ家計にも大打撃です。
今回はがん保険の考え方、どんな保障に加入したら良いかについて解説したいと思います。
「診断一時金」を受け取れる保険がおすすめ
結論からですが、必ず加入しておきたい保障が先立つ一時金を受け取れる「診断一時金」です。
がん保険は医療保険よりも大事ですので前向きに加入検討しましょう。
まずがん保険はとても大事な保険です。
同じメディカル系の保険である医療保険よりも大事なのはいうまでもありません。
理由はがんの方がお金がかかる可能性が高いからです。
がん以外の病気で入院してしまったとしても長期化する可能性は低いですし、退院後職場復帰で収入への影響も大きくないことがほとんどです。
会社員など厚生年金に加入されている場合は傷病手当金を受け取ることも可能です。
数年単位で治療費がかかり続ける場合も
高額療養費制度などもありますので「入院=家計がピンチ!」ということは少ないでしょう。
例外は精神系の病気や65歳以上の脳関係での入院の場合は長期化などの懸念がありますが、全ての可能性を言い出したらキリがありません。
総じて考えるならば家計が破綻するほどのリスクは低いといえます。
ですががんの場合は話が違います。
手術や抗がん剤を使用したからといってすぐに完治するわけではありませんので治療が長期化する可能性が高くなってしまいます。
高額療養費があるといえど数年単位で治療費がかかり続けると軽視できません。
健康保険適用外の抗がん剤などを使用すると全額自己負担となってしまいます。
また、治療方法によっては副作用で以前と同じように仕事ができないかもしれません。
転職や配置転換、勤務時間削減などで収入が長期的に低下してしまうことも十分考えられます。
つまり治療費の増大と収入低下の可能性が他の病気に比べて高いのががんなのです。
保険本来の目的は簡単にいうと「有事の際の経済的補填」です。
経済的な損失が大きい有事に備えなければ意味がありません。
言い換えれば経済的損失が大きくない有事については保険に加入する必要はありません。
がんになってしまうと経済的損失が大きくなる可能性が高いのでしっかりと保険で保障を確保しておくべきだといえます。
医療保険には加入しなかったとしてもがん保険についてはしっかりと検討するべきです。
「専業主婦だからがん保険はいらない」はNG!

ご夫婦にがん保険の提案をすると
といったご意見を頂戴することがあります。
この考え方には注意が必要です。
専業主婦なので確かにがんになってしまっても即収入低下にはつながらないでしょう。
ですが間接的に家庭の収入低下につながる可能性が十分あります。
仮に入院が長期化してしまったり抗がん剤治療などで定期的に通院することになったとします。
子どもが小さい家庭の場合、ベビーシッターなどの手配が必要になるかもしれません。
この場合その費用がかかりますし、主人が子どもの面倒を見ることになった場合、以前と同様の仕事に就けなくなってしまう可能性もあります。
場合によっては給料が下がってしまうこともあるでしょう。
家庭としては収入低下となってしまいます。
また、治療費としてかかる金額は仕事に就いている、就いていないは関係ありません。
専業主婦だったとしても大きな治療費がかかってしまう可能性があることは忘れてはいけません。
夫婦のどちらががんになってしまっても大きなリスクがあります。
専業主婦だからといってがん保険はいらないといったことはありませんのでご注意ください。
がん保険で一番重要な保障は「診断一時金」
ここまでがん保険がいかに大切な保険であるかを解説してきました。
ではどんながん保険に加入したら良いのか。
それは「診断一時金」が付いているがん保険です。
理想としては「診断一時金」が主契約のがん保険の方が費用対効果が高くなります。
余分な保障を省くことができるからです。
がん保険にはさまざまな保障があります。
・ がん手術保障
・ がん通院保障
・ 抗がん剤治療保障
などです。
当然ですがこれらはその保障内容の事象が起きないと給付金を受け取ることができません。
入院しないとがん入院保障給付金は受け取れませんし、手術を受けないとがん手術保障給付金は受け取れません。
抗がん剤治療を開始しないと抗がん剤治療給付金は受け取れません。
つまり実際に治療などを開始した後にしか受け取ることができないのがこれらの保障です。
対して診断一時金はいつ受け取れるかというとその事象が起きた時、つまりがんと診断された時点で受け取ることが可能です。
実際の治療を開始する前に受け取ることができるのは先立つお金として非常に心強いです。
治療費としていくら使うことができるのか
また、受け取れる金額がはっきりしているのもメリットの1つです。
入院給付金は実際に入院した日数分受け取ることができます。
通院給付金も実際に通院した日数分受け取ることができます。
言い換えると治療を開始する時点では受け取れる給付金額がわからないということになります。
対して診断一時金は最初から決まった金額を受け取ることができます。
「診断一時金100万円」という保障に加入していた場合は、がんと診断された時点で100万円を受け取ることができます。
保険から受け取れる金額がはっきりとしていますので、治療費として使うことができる金額もはっきりとします。
がんになってしまった場合に金銭面で不安になるのが「治療費としていくら使うことができるのか」です。
治療を開始する前から受け取れる給付金額がわかっており、なおかつ治療開始前にその給付金を受け取ることができるのが診断一時金の最大のメリットです。
がんと戦う上でこれほど心強いものはありません。
診断一時金以外の保障は付帯しないのも選択肢の1つです。

プロの加入する保険
これまで解説してきた通りがん保険で1番重要な保障は診断一時金です。
この保障をメインとして他の保障を上乗せしていくのがセオリーとなります。
当然ですが保障を付ければ付けるほど掛け金は高くなります。
がん保険は重要だといっても掛け金が高くなってしまってはそれこそ家計を圧迫してしまいます。
このバランスが大事なのですが、私が加入しているがん保険は診断一時金のみの保障となっています。
入院給付金や手術給付金は付けておりません。
受け取れる金額がはっきりとしていない保障に掛け金を払うなら自身でしっかりと貯蓄する方が良いという考え方です。
全てを貯蓄などの資産から賄うことができればそれが1番ですが、難しい部分もあるので診断一時金のみ保険に加入しています。
診断一時金300万円受け取れるがん保険に月3,000円程度の掛け金で加入しています。
入院給付金や手術給付金がなくとも十分な治療費を賄うことができる保障内容です。
この診断一時金のみの保障で加入することができるのが先に解説した「主契約が診断一時金」のがん保険です。
診断一時金が特約扱いになっている場合はそれ単体で保険に加入することができません。
必ず主契約とセットで加入する必要があり、多くの保険会社のがん保険は主契約が入院給付金です。
入院給付金(主契約)+診断一時金(特約)
という形になりますのでその分掛け金が高くなってしまいます。
「主契約が診断一時金」のがん保険を扱っている保険会社の代表格が
・ ライフネット生命
です。
両社とも安価で一時金を備えることができる会社ですのでがん保険を検討されている方は確認されることをおすすめします。
賢くがんに備えるために必要なのが診断一時金
保険の掛け金は家計の観点からは支出です。
いかに掛け金(支出)を削減しつつ必要な保障を確保するのか。
難しいかもしれませんが、賢く保険に加入するために避けては通れない課題です。
がん保険においては先立つものを確保することができる「診断一時金」が大事だと考えます。
例えがんになってしまってもマネープランを壊すことなく治療に専念することができる助けとなるのが診断一時金なのです。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)