男女の育児休業の取得率は依然として大きな差があるものの、初めて男性が10%の壁を超えました。
詳細としては、2020年度の男性育休取得率は12.65%と過去最高を記録しています。
男性の育児休業は女性と異なり、短期間での取得が一般的です。
しかし、育児休業は取得日によって社会保険料の免除に該当する場合としない場合があり、以前から問題となっていました。
そこで、2022年10月1日施行として、改正が行われることから改正内容を確認していきましょう。
目次
育児休業期間中の社会保険料免除の改正内容とは
端的にはその月の社会保険料の免除に該当するか否かはその月の末日に育児休業を取得しているか否かです。
よって、同じ1日であっても月末に取得する場合と月の中途(例えば15日)に取得する場合では後者は社会保険料免除の対象になりません。
出産日と仕事の都合を総合的に考えると月末を外した方が取りやすいというケースも想定されます。
そこで、改正内容として、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合もその月の社会保険料を免除することとなります。
また、賞与支給月において月末に取得することで給与と賞与併せて免除の対象となってますが、賞与に係る社会保険料については1か月超の育児休業を取得している場合に限り免除の対象となります。
これは、短期間の育児休業であればあるほど賞与に係る社会保険料免除を目的に月末育休を取得する誘引になっていたことがあり、改正されるものと考えます。
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育児休業期間中の社会保険料免除と年金の関係
国民年金で規定する免除制度(例えば1/4免除制度)は一部年金額にも反映しますが、反映しない部分も存在します。
国民年金の免除制度を詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
しかし、厚生年金保険法で規定する育児休業期間中と産前産後休業期間中の免除については保険料を支払っている期間と同等の期間として扱われ、年金額の減額はありません。
なお、産前産後休業期間中の社会保険料免除は「産前産後休業」取得可能者であることから、女性に限定されます。
産前産後休業・育児休業期間中は給与が支払われているか否かは問われません(支払われていても支払われていなくても免除の対象)。
社会保険料(健康保険・厚生年金)は会社と被保険者(役員や労働者)で折半して納めています。
そして、育児休業・産前産後休業期間中の社会保険料免除は会社も被保険者も双方免除となることから、その恩恵は非常に大きいと言えます。
育児休業について懐疑的な会社であっても同制度を活用(育児業期間中については給与の支払いは義務付けられていない点を含めるとさらにそのメリットは大きい)することで経営的にもプラスの面はあると言えるでしょう。
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経営者と厚生年金の社会保険料免除
例えば
というご質問があります。
結論としては産前産後休業期間中の社会保険料免除のみ対象となります。
「育児休業」については育児介護休業法で定める「育児休業」であり、そもそも対象が「労働者」であることから、使用従属関係になり代表取締役は対象となりません。
反対に「産前産後休業」については役員や労働者などの(健康保険法上、厚生年金保険法上では)規制がなく、代表取締役であっても対象になるということです。
会社に在籍している間だからこそ使える制度
病気や負傷によって休職する期間については健康保険、厚生年金ともに免除の制度はありません。
また、健康保険の任意継続被保険者になった場合も免除制度そのものがありません。
育児休業期間中の免除制度はいわば会社に在籍している間だからこそ使える制度と言えます。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)