家族がいる方なら何かしらの死亡保険に加入されている方がほとんどだと思います。
・ 子どもが生まれたから
死亡保険に加入するキッカケとして1番多いのが家族が増えた時です。
自身に万一があってしまった場合の遺された家族のことを考えて入る保険。
それが死亡保険です。
自分のためではなく、家族のために入る性格が強い点で医療保険やがん保険などとの違いがあります。
ですがこの死亡保険、しっかりと考えて加入しないと損をしてしまうことになりかねません。
損をするだけならまだしも、いざという時に「保険金が足りない!」なんてことになってしまったら最悪です。
せっかく家族のことを考えて加入したのに、全く助けにならなかったなんてことは避けたいです。
そこで今回は死亡保険の組み方について解説したいと思います。

目次
メインで加入するのは収入保障保険
家族のために入る保険だからこそ、しっかりとした死亡保険に加入し、安心して生活していけるようにしたいものです。
メインで加入するのは収入保障保険で終身保険は基本的に不要です。
死亡保険と一口にいってもいくつか種類があります。
多くの方が加入している死亡保険はその保障期間によって2つに分けられます。
・ 定期保険
・ 終身保険
定期保険
定期保険とはその名の通り期間の定められた死亡保険です。
期間内に万一があった場合は保険金が支払われますし、存命で期間を満了した場合は保険は終了します。
期間満了後に万一があってしまっても保険金は支払われません。
終身保険
対して終身保険は身が終わるまで一生涯続けることができる死亡保険です。
人はいつか死にますから確実に死亡保険を受け取ることができる保険と言い換えることができます。
一見すると終身保険の方が良さそうに思えますが、安易に終身保険に加入するのは考えものです。
安易に終身保険には加入しない
安易に加入しない理由はその掛け金の高さです。
保険会社からの視点で見ると、確実に保険金を支払うことになるので、安い掛け金での提供はできません。
35歳男性、保険金額1,000万円の終身保険(60歳払込終了)に加入する場合
例えば35歳男性、保険金額1,000万円の終身保険(60歳払込終了)に加入する場合の掛け金は
・ 2万6,760円/月(オリックス生命終身保険ライズ)
とかなり高額です。
もちろん保険会社によって多少の掛け金の差はありますが、大方このくらいの掛け金が毎月必要になります。
子どもがいる場合は保険金額1,000万円だとかなり心許なくなります。
多いパターンで3,000万円ほどの保険金が必要となりますのでその場合は掛け金も3倍かかります。
定期保険だと掛け金はかなり安くなる
いくら家族のためとはいえ、これだけの掛け金を毎月支払い続けるのは至難の業だと思います。
対して定期保険だと掛け金はかなり安くなります。
35歳男性、保険金額1,000万円、保険期間60歳(60歳払込終了)に加入する場合の掛け金は
・ 3,040円/月(オリックス生命定期保険ファインセーブ)
とかなり安く加入することが可能です。
もちろん保険期間が満了した場合は保険金が一切受け取れないという特徴はありますが、この掛け金の差は大きいと思います。
大きな死亡保険が必要なのは子どもが小さい間のみ
終身保険ではなく、定期保険をおすすめする理由としてもう1点挙げられるのが「大きな死亡保障が必要なのは子どもが小さい間のみ」という点です。
終身保険だと一生涯、加入時と同額の死亡保障を確保できますが、そもそも一生涯において加入当時と同じ保険金が必要となることはありません。
扶養義務のある子どもが独立した後は必要な保障額が減ることは皆様ご理解いただけるかと思います。
高い掛け金を払って終身保険に加入しても、途中で不要になり解約することが目に見えています。
解約すると解約返戻金が返ってくるのが終身保険の特徴ですが、その利息もわずかです。
積立NISAなどの投資信託を活用した方が大きく増える見込みがあります。
それであれば「保険は必要な期間、必要な金額のみ確保する」と割り切って考える方が賢く加入することができるのではないでしょうか。
掛け金をなるべく安く抑え、他の必要資金に充てる方が充実した生活を送ることができると考える人が多いのも事実です。
毎月一定額の保険金を受け取ることができる「収入保障保険」ならさらに掛け金が割安に
大きな死亡保険金が必要な間のみ保障を確保する定期保険の方が掛け金が安いことは解説しましたが、保険金の受け取り方にもひと工夫を加えることによりさらに割安な掛け金で加入できます。
万一があってしまった場合、通常の定期保険だと1度に保険金が支払われます。
1,000万円だと1,000万円、3,000万円だと3,000万円を一括で受け取ることになります。
ですが1度に大きなお金が必要でしょうか。
お葬式代などは早期に必要となりますが、それでも100万円前後。
何千万円といった資金が早期に必要となることは少ないのではないでしょうか。
そこで保険金の受け取り方を「一括」から「分割」に変えたもの。
それが収入保障保険です。
加入当時に毎月の保険金を設定するのですが「毎月15万円」と設定した場合は万一時から保険期間満了まで毎月15万円を家族に遺すことができます。
「1度に入ってくるより、定期的に入ってくる方が家計も安定する」と人気です。
掛け金も定期保険の半額以下で加入できます。
【例】35歳男性、保険金額10万円、保険期間60歳(払込終了60歳)

例えば、35歳男性、保険金額10万円、保険期間60歳(払込終了60歳)の場合は
・ 2,600円/月(オリックス生命収入保障保険キープ)
となります。
この場合保険金額は3,000万円となります(60歳までの保険期間25年 × 10万円 × 12か月)が、前述したオリックス生命定期保険で保険金額3,000万円に加入する場合の掛け金
・ 8,550円/月(オリックス生命定期保険ファインセーブ)
と比べて3分の1以下の金額で加入することが可能です。
遺族年金で足りない分だけ収入保障保険で確保する
死亡保険に加入する際に確実に確認しておきたいのが受け取れる遺族年金額です。
この遺族年金では足りない分だけ保険でカバーするというのがセオリーであり、無駄なく保険に加入するコツとなります。
・ 厚生年金か国民年金か
・ 収入
・ 子どもの有無とその人数
などによって受け取れる遺族年金額は変わりますが、家族がいくらの遺族年金を受け取ることができるのかはしっかりと確認しておきましょう。
受け取れる遺族年金で足りない分だけ収入保障保険でカバーするというのが賢い入り方です。
例えば、厚生年金加入、配偶者と子ども1人、平均報酬月額35万円の夫に万一があってしまった場合、受け取れる遺族年金は月額約13万円となります。
夫以外の家族に必要な生活費が25万円だっとすると
「25万円-13万円=12万円」
が不足額となります。
この場合、保険金額12万円の収入保障保険に加入すれば万一時も家族の生活費は確保できるという考え方ができます。
この様に無駄なく保険金額を設定することにより安心して賢く死亡保険に加入できます。
無駄なく賢く死亡保険に加入しよう
医療保険やがん保険などと違い、家庭によって保険金額に差が出てくるのが死亡保険です。
家族のためにも、自身のためにもしっかりと確認し、無駄なく賢く死亡保険に加入されることをおすすめします。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)