日本の社会保険制度の一つとして、公的年金制度があります。
公的年金制度とは、老齢のため働けなくなったり、障害を負ってしまったり、家族を残して死亡してしまった場合に年金や一時金を給付する制度です。
日本の公的年金制度は国民皆年金制度で、20~60歳の日本に住んでいる方は国民年金に加入しなければなりません。
また、会社員などの国民年金の第2号被保険者は、厚生年金保険に加入する必要があります。
今回は、日本の公的年金制度である国民年金と厚生年金保険には、どのような目的でどのような種類の給付があるのかについて、詳しく解説していきます。
目次
国民年金の給付
国民年金の老齢、障害、遺族に対する給付は、以下の種類になります。
老齢基礎年金
受給資格期間(保険料納付済期間や保険料免除期間などを合算した期間)が10年以上ある場合に、原則65歳から受給できる老齢のための年金です。
障害基礎年金
国民年金の被保険者期間や、20歳前や60歳以上65歳未満の国民年金に加入していない期間の病気やけがが原因で、一定の障害状態にある場合に受給できる障害のための年金です。
一定の障害状態とは、障害等級1級と2級になります。
遺族基礎年金
国民年金の被保険者や、国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方、老齢基礎年金の受給権者であった方、老齢基礎年金の受給資格を満たした方が亡くなった場合に、一定の遺族が受給できる年金です。
一定の遺族とは、子のある配偶者 、または18歳到達年度の末日を経過していない子や、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者の子になります。
国民年金第1号被保険者の独自の給付として、以下の給付があります。
付加年金
国民年金の保険料に月額400円の付加保険料を上乗せすると、年金額を増やす(200円 × 付加保険料納付月数)ことができる制度です。
寡婦年金
第1号被保険者での保険料納付済期間と保険料免除期間が合算して10年以上ある夫が死亡した場合、夫により生計を維持していて、10年以上婚姻関係が継続していている妻に対して、60歳から65歳までの間支給される年金です。
死亡一時金
国民年金保険料を36か月以上期間納付していた第1号被保険者が、国民年金を受給する前に亡くなってしまった場合、遺族が受給できる一時金です。
脱退一時金
日本国籍を有しない人が被保険者資格を喪失して日本を出国した場合に、請求できる一時金です。
厚生年金の給付
厚生年金の老齢、障害、遺族に対する給付は、以下の種類になります。
老齢厚生年金
厚生年金の被保険者期間が1か月以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした場合に、原則として65歳から老齢基礎年金に上乗せして受給できる老齢のための年金です。
特別支給の老齢厚生年金
老齢厚生年金の受給開始年齢は基本的に65歳ですが、昭和36年4月1日以前生まれの男性と昭和41年4月1日以前生まれの女性は生年月日に応じて65歳前から老齢厚生年金を受給できます。
加給年金
厚生年金の被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時点(定額部分支給開始年齢に到達した時点)に生計を維持されている65歳未満の配偶者または18歳到達年度の末日までの間の子(1級・2級の障害状態にある場合は20歳未満の子)がいる場合、厚生年金に加算される年金です。
障害厚生年金
厚生年金に加入している間に初診日がある病気やけがが原因で一定の障害状態にある場合に、受給できる障害のための給付です。
一定の障害状態とは、障害等級1級、2級、3級になります。
障害手当金
厚生年金に加入している間に初診日がある病気やけがが原因で、障害等級1級と2級と3級に満たない軽度の障害状態になった場合に受給できる一時金です。
遺族厚生年金
厚生年金の被保険者や、被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡した方、老齢厚生年金の受給権者であった方、老齢厚生年金の受給資格を満たした方、1級・2級の障害厚生年金を受給できる方が死亡した場合、一定の遺族が受給できる年金です。
どのような給付があるか知っておこう
このように、国民年金と厚生年金の公的年金は、老齢、障害、遺族に対する給付を行っています。
どのような給付があるかを知っておくことは、大切なことです。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)