進学への思いを後押ししてくれる奨学金制度。
日本学生支援機構の奨学金がメインとなっていますが、民間でも給付型の奨学金を実施している団体がたくさんあります。
今回は学費の負担を軽減してくれる民間の給付型奨学金についてご紹介していきます。
※掲載している情報は2022年8月現在※掲載時点で募集終了の制度もあるので注意ください(募集時期の参照として掲載)。
目次
注意してチェックするポイント
民間の給付型奨学金にはいろいろなものがありますが、申し込める学年(年齢)や対象となる学校が限定されていたり、採用後に研修などへの参加を義務付けていたり、申し込む前にしっかりチェックしておきたい内容があります。
- 申し込める学年や年齢
- 指定された学校の生徒のみが対象となる制度も多い
- 保護者や本人の経済状況の確認
- ほかの奨学金との併用の可否
- 奨学生採用後の義務(活動等)を把握しておく
提出する書類なども多いため、早めに動くようにしておくことも大切です。
各奨学金の内容を細かくチェックして、応募資格に当てはまるかどうかを把握しておくようにしましょう。
大学生・大学院生が対象の給付型奨学金
公益財団法人 日本証券奨学財団
2022年度の奨学生募集要項(募集は終了)
応募資格:
・本財団が指定する大学に在籍する学部2年生、修士・専門職学位課程1年生または博士課程1年生であって、本年4月1日現在において学部生22歳以下、修士・専門職学位課程生25歳以下、博士課程生28歳以下である者
・上記を満たし、指定大学(下記サイト参照)からの推薦を受けた者
・ほかの奨学金等(日本学生支援機構の貸与奨学金および所属大学・大学院による授業料免除、あるいは授業料免除に相当する奨学金を除く)を受給または応募(予定を含む)していない者
採用予定数:60名程度
給付期間:学部あるいは各課程の最短修業年限
公益財団法人 三菱UFJ信託奨学財団
応募資格:
・財団主催行事への出席を優先できる者
・当財団の指定する大学で、指定の学部、研究科に在籍している正規学生であること
・最短修業年限までの給費期間が1年以上見込まれる者
・日本人~出願する年の4月1日現在、4年制大学第2学年以上、大学院修士課程または博士課程に在学し大学生は原則として満23歳以下、大学院生は満33歳以下であること
・留学生~出願する年の4月1日現在、4年制大学第2学年以上、大学院修士課程または博士課程に在学し大学生は原則として満31歳以下、大学院生は満38歳以下であること
・健康で学業成績、人物ともに優れており、在学する学校長等の推薦する者
・将来、民間企業、官公庁、学校等に勤務して、産業・文化面で活動し社会に貢献しようと志す者、またはこれらの活動に関連する学術の研究を志す者
・学費の支弁が困難と認められる者(日本人の場合、父母の年収合計税込800万円未満。但し就学中の兄弟姉妹が本人を含め3人以上の場合、年収税込1,000万円未満を目処とする)※留学生には具体的な年収金額の制限なし
・採用後、三菱UFJ信託銀行(本店)に本人が普通預金口座を開設できる者
給付金額:
大学生~月額3万5千円
大学院生~月額5万5千円
留学生大学生~月額7万円
留学生大学院生~月額10万円
給費期間:奨学生として採用されたその年度の始期から、在学する学校の正規の最短修業年限の終期まで。大学院生の場合で、その課程が修士課程および博士課程に分かれている場合は各課程の修業年限となります。
参照:公益財団法人 三菱UFJ信託奨学財団
公益財団法人 コカ・コーラ教育・環境財団
2022年度奨学生募集要項(募集は終了)
【高校生向け(大学進学者)】
応募資格:
・学校教育法による日本国内の高等学校(国立・公立・私立の全日制・定時制・通信制のいずれでも可、中等教育学校の後期課程も可)に在学し、2022年3月卒業見込みの方
・2022年4月に学校教育法による日本国内の国立・公立・私立いずれかの大学(夜間学部およびそれに類する学部・学科・通信学部および短期大学を除く)に進学する者
・環境問題への取り組みとして環境、特に地球・環境資源関連領域に係る興味のある方
・経済的支援を必要とする方
・20歳以下であること
給付人数:20人
給付期間:大学の最短修業年限(6年制学部の場合は6年間支給)
【大学生向け(大学院進学者)】
応募資格:
・学校教育法による日本国内の国立・公立・私立いずれかの大学(夜間学部およびそれに類する学部・学科・通信学部および短期大学を除く)に在学し、2022年3月に卒業見込みの方
・2022年4月に学校教育法による日本国内の国立・公立・私立いずれかの大学院(夜間学部およびそれに類する学部・学科・通信学部および短期大学を除く)に進学する方
・環境問題への取り組みとして「飲料容器に使用される資源(ペットボトル、プラスチック、アルミ、鉄、びんなど)」「水」「温室効果ガス」「再生可能エネルギー」といった地球・環境資源に係る学問を学ぶ方
・経済的支援を必要とする方
・26歳以下であること
給付人数:10人
給付期間:大学院の正規の最短修業年限
参照:公益財団法人 コカ・コーラ教育・環境財団
公益財団法人 伊藤謝恩育英財団
2023年度奨学生募集要項(募集は終了)
応募資格:
・2022年4月1日現在、日本の高等学校の第3学年に在学し、2023年4月に当財団の指定大学へ入学することを目指す満19歳未満の者(留学経験がある者は満20歳未満)
・日本の高等専門学校(本科5年課程)の3年生で、2023年4月に当財団の指定大学へ入学することを目指す者
・自らの意思で未来を切り開く志と明るく前向きな姿勢を持つ者
・奨学生に対しては一般常識を身に付けるための指導を行うため、謙虚かつ誠実に指導を受け入れる姿勢を持つ者
・家計収入による応募の規制はありません
採用予定人数:40名
給付金額:
月額7万円
入学一時金30万円
給付期間:最長4年間
公益財団法人 森下仁丹奨学会
応募資格:
・志操堅実、学力優秀でありながら経済的理由により学業の継続が困難な大学生または大学院生(ただし留学生は除く)
・家計基準は日本学生支援機構第1種に準ずる
・修学の意志が固く、責任感が強く、学生生活全般を通じて態度、行動に良識があり、且つ修業後、社会に有為な人材と為り得る者
・大学の保健センター、または医師が発行した健康診断書により、修学に支障がないと認められる者
・学力基準は下記の通りだが、家計・人物評価を優先し総合的に判断する
学部学生1年生…高校3年間標準値4.0以上
学部学生2年生以上と大学院生…前年までに標準修得単位を修得済であり、且つ前年度までの通算GPA値が2.8以上
採用予定人数:2022年度は学部学生と大学院生を合わせて28名程度
給付期間:採用決定月(6月)より最短修業年限 ※毎年度末に継続可否の審査を行う
参照:公益財団法人 森下仁丹奨学会
公益財団法人 竹中育英会
【大学(学部)奨学生に対する奨学金】
応募資格:
・本会が指定した大学の2年次に在学し(但し4月入学生のみ)、学力優秀、向学心に富み健康であるが、経済的理由によって就学に支障がある者
・申請時(4月1日現在)、22歳以下の者
・在学する大学から推薦された者
給付期間:奨学生に採用されてから、在学する大学の正規の最短修業期間終了まで
【大学院進学者(学部奨学生からの進学者)に対する奨学金】
応募資格:
・大学(学部)で本会の奨学生であった者
・大学(院)を卒業(修了)し、指定校内の大学院(専門職大学院含む)へ引き続き進学し、大学院より推薦された者
給付期間:奨学生に採用されてから、大学院の最短修業期間終了まで
【大学院博士(博士後期)課程進学者に対する奨学金】
応募資格:
・本会が指定した大学院修士(博士前期)課程2年次に在学し、日本国籍を有し、創造力・行動力に富む英才で、将来、社会の様々な研究分野で世界をリードして活躍することが期待される者
・申請時(4月1日現在)、25歳以下の者
給付期間:奨学生に採用されてから、最短修業期間終了まで
※上記のほかにも「海外留学奨学生に対する奨学金」の募集も行っています。
参照:公益財団法人 竹中育英会
公益財団法人 樫山奨学財団
【大学学部学生奨学金】
応募資格:
・心身ともに健康で、成績優秀かつ経済的支援を必要とし、指定大学の4年間で修学できる学部の4月入学新入生で財団会合に参加できる学生
・在学校学長に推薦された者
・大学を卒業した後、再び入学した者は除く(外国人留学生はこの限りではない)
・医学部、歯学部、修業年限6年の学部および夜間の学部に在学する者は除く
採用人数:40人(2020年度)
給付期間:在学する大学の正規の最短修業年限まで
参照:公益財団法人 樫山奨学財団
一般財団法人 野﨑わかば会
2022年度募集要項(募集期間は終了)
応募資格:日本全国の大学等の学生のうち、成績優秀かつ人物に優れ、経済的に学業の継続が困難と認められる者かつ本法人の目的に合致する者
採用人数:合計90名(本法人にて指定した大学等の学生が対象)
給付期間:原則として2022年4月1日から2023年3月31日までの1年間
参照:一般財団法人 野﨑わかば会
高校生以下も申し込める給付型奨学金
公益財団法人 明光教育研究所
第8回給付奨学金の募集(実施)内容(募集は終了)
応募資格:
・2022年4月時点で高校生、大学生、およびそれに準じた学齢(高等専門学校生や短期大学生等)となる生徒 ※小学生、中学生、大学院生、およびそれに準じた学齢(小中一貫校等)は対象外
・学力規準なし
〈次の条件のうち、いずれか1つ以上を満たしていることが必要〉
・ひとり親家庭の子どもである、または保護者の援助のない状態で生活している
・保護者が病気、怪我、介護等の事情により就労困難な状況にある
・施設(児童養護施設、自立援助ホーム等)に在籍している、または保護者のいない状態で生活している
・里親に養育されている、または以前里親に養育されており、現在は養育措置が解除された等の理由で保護者のいない状態で生活している
・両親以外の親族、親権者などに養育されている(祖父母や叔父叔母による養育等)
・保護者不在の状態で生活している(子どもだけで生活している場合等)
採用人数:77名程度(第8回(2022年度)は78名、大学生等68名・高校生等10名)
給付期間:基本1年間 ※進級・進学時の継続支給制度あり(年度ごとの手続き・再審査が必要)
参照:公益財団法人 明光教育研究所
似鳥国際奨学財団
2022年度下期 奨学金募集内容(募集は終了)
【日本人大学生対象】
応募資格:
・日本国籍を有する人(外国籍を有する場合は、在留資格が「永住者」または「定住者」の人は応募可能)
・学部4年制…23歳以下で日本国内の大学の学部課程の1~4年に正規生として在籍予定の人
・学部6年制…23歳以下で日本国内の大学の学部課程の1~6年に正規生として在籍予定の人(5~6年生のみ25歳以下まで応募可能)
・大学院生…25歳以下で日本国内の大学の修士課程の1~2年生の正規生として在籍予定の人
採用人数:最大100名(上期・下期合わせて)
給付期間:2022年10月~2023年9月(支給期間中に卒業する人は卒業月まで)
※2022年下期は最大10名の追加採用(IT人材)あり
【高校生対象】
応募資格:
・日本国籍を有する人(外国籍を有する場合は、在留資格が「永住者」または「定住者」の人は応募可能)
・高等学校…18歳以下で日本国内の高等学校(全日制)の1~3年生に在籍予定の人
・高等専門学校…18歳以下で日本国内の高等専門学校(本科)の1~5年生に在籍予定の人(4~5年のみ20歳以下まで応募可能)
採用人数:最大150名(上期・下期合わせて)
給付期間:2022年10月~2023年9月(支給期間中に卒業する人は卒業月まで)
【中学生対象】
応募資格:
・日本国籍を有する人(外国籍を有する場合は、在留資格が「永住者」または「定住者」の人は応募可能)
・ひとり親家庭(父子家庭、母子家庭など)
・15歳以下で日本国内の中学校の1~3年生に在籍予定の人
採用人数:最大100名(上期・下期合わせて)
給付期間:2022年10月~2023年9月(支給期間中に卒業する人は卒業月まで)
※上記のほかにも「外国人留学生対象」の給付型奨学金も実施されています。
参照:似鳥国際奨学財団
公益財団法人 青井奨学会
【大学奨学金(高校3年時予約・給付型)】
大学入学前の高校3年時に大学奨学生の募集・選考を行い、指定大学に入学された方に正式採用、奨学金を給付します。
応募資格:
・当財団指定高校3年生に在籍し、学校長の推薦がある者
・学業成績優秀で、進学意欲が高いながらも家庭の経済状況等で学費の援助が必要と認められる者(留年した者・満19歳以上の者は除く)
・当財団が指定する大学への進学を希望する者
給付金額:
・入学一時金30万円
・奨学金月額5万円
給付期間:入学する大学・学部の正規最短就学期間(4年制学部は4年間、医学部・薬学部などの6年制学部は6年間給付)
【高校奨学金(高校2年生時予約・給付型)】
当財団指定高校の2年生を対象とした奨学金。高校奨学生として採用された方は、大学奨学金(高校3年時予約・給付型)への応募が可能です。
応募資格:
・当財団指定高校2年生に在籍し、学校長の推薦がある者
・学業成績優秀で、進学意欲が高いながらも家庭の経済状況等で学費の援助が必要と認められる者
給付期間:15ヶ月間(高校2年の1月~高校3年の3月まで)
参照:公益財団法人 青井奨学会
公益財団法人 佐藤奨学会
応募資格:高等学校、高等専門学校、大学または大学院に在学し、学業・人物ともに優秀で、かつ健康であり、学資の支弁が困難と認められる者
採用人数:
2019年度…51名
2020年度…56名
2021年度…50名
給付金額:
高等学校奨学生→月額11,500円
高等専門学校奨学生→月額16,000円
大学奨学生→月額25,000円
大学院奨学生→月額30,500円
給付期間:正規の最短修業年限(2年次以降に支給を受ける場合は残りの修業期間)
参照:公益財団法人 佐藤奨学会
一般財団法人 中西奨学会
応募資格:
・学校教育法による学校において、人物、学力とも優秀で、かつ経済的理由により本会の奨学金の給付が必要であると認められた方
・指定校、指定学部に在籍している方
・下記の要件に当てはまる方は応募できません
「最短修業年限を超えて在学する方」
「選科生・聴講生等の別科生」
「同一世帯の生計維持者の前年度の収入金額が税込500万円を超える方(兄弟姉妹の人数など特別な事情がある場合は要相談)」
奨学生の種類と給付金額、給付期間
高等学校奨学生…【国公立】月額1万円 【私立】月額1万5千円 2年生より2年間
高等専門学校奨学生…【国公立】月額2万円 2年生より4年間
大学奨学生…【国公立】月額4万円 【私立】月額4万5千円 3年生より2年間
大学院奨学生…【国公立】月額4万円 【私立】月額4万5千円 修士1年生より2年間
参照:一般財団法人 中西奨学会
特定非営利活動法人 JBC高校生奨学金
【2022年度給付型奨学金(募集は終了)】
応募枠と採用人数:
「一般枠」:全国の高校生が対象(高等専門学校生を含む)…15名
「田村特別枠」:愛媛県宇和島市に在住、または在学の高校生…2名
「青木特別枠」:静岡県立沼津東高校に2022年度に入学した高校生…1名
「山田特別枠」:石川県立七尾東雲高校に2022年度に入学した高校生…1名
「ゼロイン特別枠」:新潟県に在住、または在学の高校生…1名
応募要件:
・家計の収入が年間300万円未満であること
・卒業後、就職などで収入が安定した後は「卒業生支援会員」として基金への寄付を希望
・学校長の推薦が必須
・課題作文あり
給付期間:2022年度から正規の卒業年度まで
参照:特定非営利活動法人 JBC高校生奨学金
社会人の学び直しを支援するユニークな応募枠がある給付型奨学金
公益財団法人 北野生涯教育振興会
【科目等履修生奨学金】
応募資格:
・大学、大学院の科目等履修生
・科目等履修生として1年間の受講(前期・後期を通して4単位以上)を予定
・就業中または就業経験がある方(大学生、大学院生、留学生の科目等履修は対象外)
採用人数:毎年15名程度
給付期間:1年
【ライフシフト奨学金】
応募資格:現時点で社会人として就労している方、もしくは過去に一定期間就労していた実績がある方が対象。企業、団体、機関、国または地方自治体などへの就労期間が3年以上、個人事業主として3年以上の実績がある方(いずれも通算可)。
応募対象者:大学2年生または大学院生修士課程1年(指定大学あり)
給付金額と期間:
大学2~4年生→月額5万円を3年間給付(大学院修士課程へ進学する場合は延長あり)
大学院生修士課程→月額6万円を2年間給付(大学院博士課程へ進学する場合は延長あり)※延長はそれぞれ通算5年間まで
【放送大学選科履修生奨学金】
応募資格:
・放送大学選科履修生、大学院修士選科生として1年間学ぶ者
・28歳以上、または職業に従事して3年以上経過(通算でも可)
採用人数:毎年15名程度
給付期間:1年
上記のほかにも「放送大学大学院修士全科生奨学金」「外国人奨学金」、彫刻芸術を志す学生・研究生を対象とした「彫刻奨学金」、音楽を極め芸術家を目指す学生を対象とした「音楽奨学金」などもあります。
参照:公益財団法人 北野生涯教育振興会
「学びたいけど授業料が払えない」
「進学の夢を諦めなきゃいけない」
そんな方にぜひ検討してもらいたい民間の給付型奨学金。
何よりも返済が不要であることが、ありがたいですよね。
学びへの熱い思いを支援してくれる制度が充実しています。(執筆者:藤 なつき)