初心者がまず始める投資といえば、つみたてNISAやiDeCoを活用したインデックス積立投資だと思います。
毎月の余剰資金を使ってコツコツと投資することができ、なおかつ非課税の恩恵も受けることができるということから、とても人気です。
また優良ファンドへ長期間投資することによって、過去のデータから見ると利益が出せる可能性が非常に高いということから「貯蓄から投資へ」に一役かっていることは間違いないでしょう。
ですが積立投資も一長一短、万人にとって完璧な投資手法ではありません。
インデックス投資は複利の効果を活かして、利益を最大限のばすことができるのが特徴です。
ですがその利益を得ることができるのは売却時のみ、日々の生活で投資の効果を実感するのは難しいかもしれません。
また、いざ売却するときも値段が気になり、精神的なストレスになってしまう場合もあるかもしれません。
長年積立してきた資産を取り崩すというのは、想像よりもハードルが高いものだと考えます。
うまく取り崩すことができれば問題ない話なのですが
とはよくいったもので、いざ実際に売却しようとすると二の足を踏んでしまう可能性も高いのではないでしょうか。
それを解決するのが高配当株投資です。
高配当株とはその名の通り、保有しておくことで定期的に配当金を受け取ることができる株を指します。
インデックス投資だと難しい日々のキャッシュフローを、拡大させる投資手法です。
定期的に配当金を受け取ることによって投資していることの実感、ちょっとした喜びを味わうこともできるでしょう。
例えば月5千円程度でも配当金が入ってこれば趣味としてのお金に充てたり、飲み会代や光熱費の足しにすることができ、投資が楽しくなるのではないでしょうか。
配当金を受け取ることによって少しでも精神的な余裕を持つことができるともいわれています。
このように、お金が自動的に入ってくるため、投資によって日々の生活が良くなっていることを実感しやすいのが高配当株投資の特徴です。
目次
米国高配当株投資
多くの方がS&P500や全米株式に連動するファンドへ投資をされていることと思います。
米国株投資は積立投資に限った話ではなく、高配当株投資にも存在します。
米国企業の特徴として、日本ではない超長期に渡る「連続増配記録」があります。
60年以上も増配を続ける企業が多数あることは圧巻です。
日本人に人気のある米国高配当株投資
米国高配当株投資として日本人にも人気の銘柄としては
・ コカ・コーラ
・ ジョンソン&ジョンソン
・ プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
などが挙げられますが、どれも日本人の生活に溶け込んだなじみの深い会社になっています。
また、米国の個別企業に投資するのではなく、投資信託のように分散された高配当株へ投資することも可能です。
それが米国高配当ETFです。
個別企業への投資はその名の通り1社への投資となりますが、ETFの場合は複数社へまとめて分散投資するのでそれだけリスクを軽減させることができます。
経費率が安く高配当ETFとして人気の銘柄として
・ VYM
・ HDV
・ SPYD
の3つがあります。
それぞれ組入銘柄数やセクターの違いはありますが、初心者が高配当ETFへ投資するならまずは確認しておきたいETFとなります。
税金には注意しよう
米国高配当株投資の注意点として理解しておくべき事項に「税金」があります。
通常、日本の株式や投資信託で得た配当には約20%の税金がかかることとなりますが、米国株の場合はさらに10%課税され、日米合計で約30%持っていかれる点には注意が必要です。
日本と米国で二重に課税されることになるので、確定申告で「外国税額控除」を行えば一定額取り戻すこともできますが、やはり手間がかかります。
また、売却益だけでなく、配当金もドルで受け取ることになります。
日本円として使うためには、受け取ったドルの配当金を円転する(円に交換する)必要がある点にも注意が必要です。
もちろんその時の為替レート次第で円での受け取り金額が変動します。
そういったわずらわしい手続きを避けたい場合は、日本の高配当株に投資する方が安心かもしれません。
日本高配当株投資
日本の会社の中にも、高配当を出す企業はちゃんと存在します。
米国企業と比較するとその連続増配記録は長くはないですが、それでも株主還元を意識し、しっかりと配当を出し続けている優良企業が数多くあります。
日本の会社ということもあって、情報を得やすいのも利点です。
良いニュースも悪いニュースも耳にしやすく、即投資判断に活かせるのが自国企業へ投資するメリットでしょう。
当然ですが、配当金は円のまま受け取ることになります。
米国株と違って為替の影響を考える必要はありませんので、より初心者向きといえるかもしれません。
日本の人気高配当企業
日本の人気高配当企業として
・ 花王
・ 積水ハウス
・ 日本電信電話(NTT)
・ KDDI
などがよく取り上げられていますが、他にも数多く存在しています。
米国株へ投資されている人ほど、米国株至上主義に陥りやすいです。
調べてみると
と感じるのではないでしょうか。
高配当株投資の注意点
高配当株はその安定した値動きも特徴です。
多くの銘柄が暴落するような市場環境でも、比較的安定した値動きをしていることが多いです。
もちろん全く下がらない訳ではないですが、その値動きには安心さえ感じることもしばしばです。
高配当株投資を始める際、配当利回りに目が行きやすいのですが、事業の安定性にも注目する必要があります。
配当利回りが高いとその分、多くの配当金を受け取ることができますが、それはあくまでも会社の業績が安定しての話です。
無理した配当であればそのうち減配され、株価も下落してしまうことが目に見えています。
業績の安定している企業であればまだしも、株価、配当金ともに保証されているものではありません。
株価の下落リスクや配当金が下がってしまう減配リスクがあることには、注意が必要です。
また、インデックス投資と比較すると収益性は落ちることになります。
将来の利益を先取りしていると考えればわかりやすいでしょう。
複利の効果を活かせないので、資産の最大化を目指すならやはりインデックス投資です。
高配当株投資は資産の最大化ではなく、キャッシュフローの拡大を目指す投資だと考えてください。
数十年先を目指した資産はインデックス投資で準備し、日々の生活資金の足しに高配当株投資を活用する。
こんな二刀流ができれば心強いものでしょう。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)