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異次元の少子化対策「児童手当」と「扶養控除」 子育て支援策として、恩恵が大きいのはどちらの制度?

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異次元の少子化対策「児童手当」と「扶養控除」 子育て支援策として、恩恵が大きいのはどちらの制度?

国は少子化対策として、児童手当の拡充などの支援を積極的に実施しようとしています。

児童手当と似たような制度で扶養控除がありますので、今回は双方の制度の仕組みと、子育て支援策として、より恩恵が大きいのはどちらの制度なのかを解説します。

「児童手当」と「扶養控除」

児童手当は額面上の金額がそのまま受け取れる

児童手当制度は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方を対象にした制度です。

支給額は児童の年齢によって変動し、一人当たりの月額は以下の通りです。

<児童手当の支給額>

児童の年齢児童手当の額(一人あたり月額)
3歳未満一律15,000円
3歳以上
小学校修了前
10,000円

(第3子以降は15,000円)

中学生一律10,000円

※一定以上の所得を有している場合、児童手当の額の減少や手当てを受けられないケースがあります。

児童手当は、子どもが誕生してから最大198万円(第3子以降は252万円)受け取ることができます。

異次元の少子化対策として、児童手当を現在の中学生から高校生まで拡大する案も出ていますので、法律が改正されれば今後はより長い期間、児童手当を受給できるようになるかもしれません。

扶養控除は対象者の所得によって節税効果が変わる

扶養控除は、納税者に扶養親族がいる場合に適用できる控除で、対象となる扶養親族の年齢等によって控除額が異なります

<所得税の扶養控除の額>

区分
(対象扶養親族の年齢)
控除額
一般の控除対象扶養親族
(下記に該当しない16歳以上の人)
38万円
特定扶養親族
(19歳以上23歳未満の人)
63万円
老人扶養親族
(70歳以上の人)
48万円
※58万円

※同居老親等に該当する場合

所得税は課税所得金額が多いほど税率が高くなる税金なので、所得税の適用税率によって扶養控除による節税効果は変わってきます

たとえば63万円の扶養控除を適用した場合、所得税の税率が5%であれば節税できる所得税は3.15万円ですが、税率45%の対象者については28.35万円の節税効果が得られます。

現在の扶養親族はその年12月31日現在の年齢が16歳以上の方を対象としているため、児童手当の対象となる子どもを扶養にしていたとしても、扶養控除を適用することはできません

扶養控除の方がメリットの最大値は大きい

扶養控除は、過去に年少扶養控除として16歳未満の子を扶養している場合にも適用することができました。

当時の年少扶養控除の控除額は38万円(住民税は33万円)でしたので、仮に制度が復活すれば、最大で所得税は17.1万円、住民税は3.3万円節税できる計算です。

児童手当の受給額は3歳未満の子がいるご家庭で年間18万円ですので、扶養控除の方が受けられる恩恵は大きいです。

一方で、児童手当を受給できる方の所得金額で計算した場合、扶養控除よりも児童手当の方が恩恵が大きくなることも想定されますので、一概にどちらの制度の方が優れているとは言えません。

児童手当拡大で扶養控除が廃止した場合の影響

児童手当の範囲を高校生まで拡大する話と並行して、新たに児童手当の対象となる方を扶養控除の対象から除外する案が出ています。

扶養控除は所得税や住民税だけでなく、社会保険料の計算にも影響してきますので、児童手当の適用範囲拡大に伴い、扶養控除が廃止することで増税になってしまう可能性が危惧されます。

報道されている内容はまだ仮の話であり、今後児童手当と扶養控除が併用できる案が出てくる可能性もゼロではないので、しばらくは国の政策の動向を注視してください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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