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【産前産後→育休】育児世帯における社会保険料の免除制度における2つの相違点とは?

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【産前産後→育休】育児世帯における社会保険料の免除制度における2つの相違点とは?

健康保険、厚生年金には保険料の免除制度があります。

長い職業生活の中で出産、育児によって、一時的に給与の支払いがなくなってしまうことは決して珍しいことではありません。

今回は、健康保険、厚生年金(以下、社会保険)の中で制度として設けられている保険料の免除制度について、2つの制度における相違点を解説します。

産前産後休業→育休 制度の中身は どう違う?

産前産後休業期間中の免除

まず、

  • 産前休業」は出産予定日以前6週間となり、
  • 「産後休業」出産日の翌日から8週間の期間

のことを指します。

「産前」は申し出によって就労義務が消滅し、「産後」については、少なくとも6週間は強制就業禁止期間となります。

両期間は給与の支払い義務がないために出産手当金以外は収入がなくなることから、社会保険料は免除されます。

もちろん、産休中に給与が支払われる企業であっても、免除されることには変わりありませんので、社会保険料が給与天引きされなくなることによって、もはや手取り額が増えるという「逆転現象」が起きることもあります。

なお、産前産後休業期間中の免除は「役員」であっても免除対象者となります。

本来、産前産後休業は「労働基準法上の労働者」が対象となりますが、社会保険料の免除の考え方は、「労働基準法上の産前産後休業」といった限定が付されていませんので、役員であっても、出産予定日以前42日(多胎妊娠は98日)、出産後56日の間で労務に従事しないという要件を満たせば対象となります。

誤解が多い部分であり、労働基準法上と社会保険諸法令では必ずしもリンクしていませんので、活用できる場合にはしっかりと活用したい制度です。

また、産前産後休業期間中の免除を活用しても、将来受け取る年金額が減額になることはありませんし、当該期間中は本人、被扶養者(例えば子供)の保険証も免除を受けていない期間と同様に使うことができますので、デメリットはありません。

もちろん、社会保険料は本人だけでなく、会社も半額を負担していますので、会社の経営的にも免除制度を活用するメリットは大きいと言えるでしょう。

育児休業期間中の免除

2022年10月以降、法律改正がありましたが、端的には育児休業期間中の社会保険料が免除されることですが、給与と賞与で免除の考え方が全くことなります。

まず、給与については、月末時点で育児休業期間中であることや、同じ月内で14日以上の育児休業を取得している場合が免除の対象です。

他方、賞与の場合は「1か月超」育児休業を取得していなければ免除の対象とはなりません

前述の産前産後休業期間中の免除との相違点として、役員は育児休業期間中の社会保険料免除制度を活用することはできません

これは「育児休業」を取得することが前提となっており、役員の場合は「労働者」ではないことから、育児休業の取得対象者には含まれないことから同制度の対象外となっています。

また、産前産後休業期間中の免除と同様な部分としては、同制度を活用しても、将来受け取る年金額が減額になることはありませんし、当該期間中は本人、被扶養者(例えば子供)の保険証も免除を受けていない期間と同様に使うことができますので、デメリットはありません。

もちろん、社会保険料は本人だけでなく、会社も半額を負担していますので、会社の経営的にも免除制度を活用するメリットは大きいと言えるでしょう。

育児休業

両制度の違いを押さえておこう

長い人生において、雇用の流動性(転職活動や起業)は促進されてきているものの、近年の出生数の下落状況を勘案すると、出産、育児は何度も訪れるものではありません。

ただし、いざ訪れた時には制度の活用よりも子供の世話等に注力すると思われるため、あらかじめ制度の違いをおさえておくことが望まれます。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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