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社会保険料の改定「月額変更届」 改定対象となる「賃金の変動」とはどんなケースか?要件別に解説します

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社会保険料の改定「月額変更届」 改定対象となる「賃金の変動」とはどんなケースか?要件別に解説します

社会保険加入者の保険料は、入社時の保険料で未来永劫据え置きということではなく、基本給や固定的な手当などの報酬額(固定的な賃金)に著しい変動があった場合は、社会保険料の見直しが行われます。

今回は社会保険料の見直しについて解説します。

社会保険料の見直しについて解説

月額変更届とは

月額変更届とは、前述の固定的な賃金に大きな変動があった場合に、社会保険料の見直しが行われる際に届出するものです。

企業によっては多くの手当が設けられている場合や、年の中で昇給が予定されている場合、昇給後は当然給与額が変わることなりますので、副次的に社会保険料も改定されることとなります。

月額変更届の契機となる固定的な賃金の変動とみなされるものは、次の通りです。

  • 昇給や降給

  • 給与体系の変更(時給から月給への変更等)

  • 日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更

  • 歩合給等の単価や歩合率の変更

  • 住宅手当、役職手当等の固定的な手当の追加、支給額の変更等

標準報酬月額とは

また、固定的な賃金に変動があっても、それが軽微な変更であれば、月額変更届の対象とはなりません。

社会保険には「標準報酬月額」という定義があり、これは社会保険加入者の月額換算した給与額を一定の区分の金額ごとに等級を設けており、その等級が2等級以上変動する場合が月額変更届の対象となります。

人事担当者によっては月額変更届とは呼ばず、随時改定と呼ばれることがありますが、意味としては同じです。

算定基礎届とは

毎年1回、4月から6月の給与をもとに、その年の9月からの標準報酬月額を決定する算定基礎届があります。

これは随時改定とは別概念で、社会保険適用事業所は毎年必ず行われるものです。

言い換えると固定的な賃金に変動がなくとも、社会保険料の見直しは毎年必ず1回はあるということです。

しかし、随時改定は算定基礎届のように毎年一定の時期に画一的に行われるものではなく、要件に当てはまった際に「随時」行われるとの理解になります。

よって、年に複数回起こることもあり得ます

算定基礎届では4月から6月の給与をもとにその年の9月からの標準報酬月額を決定する

給与の支払基礎日数

月額変更届の要件には、

3か月ともに支払基礎日数が17日(一定の要件を満たす短時間労働者は11日)以上である

という要件があります。

すなわち、いずれかの月が17日を下回っていると要件を満たさないということです。

例えば時給制のフルタイムで有給休暇を使い切ってしまい、欠勤が数日あり、17日を下回るといったケースは想定されます。

なお、有給休暇については働いてはいないものの、給与は全額支給されていることから出勤したものとみなす取り扱いです。

反対に欠勤の場合は働いていないだけでなく、給与の支払いもありませんので、17日の中に含めることはできませんので、ここが大きな違いです。

育児休業中の場合

育児休業中の場合は、法律上給与の支払い義務はありませんので、当該期間中は多くの企業で無給のケースが多いでしょう。

その場合、月額変更届の対象とはなりません。

しかし、育児休業復帰後は休業前と比べて働き方が大きく変わることが少なくありません。

よって、育児休業復帰後の月額変更届がありますので、それを活用することが望まれます。

また、育児休業復帰後の月額変更届は通常の月額変更届と異なり、申請するか否かは本人の選択に委ねられますので、届出しないという判断も問題ありません。

育児休業復帰後の月額変更届は、申請するか否かは本人の選択に委ねられる

給与を下方改定した場合も対象となる

月額変更届は、年度の途中でも社会保険料の見直しが行われることです。

これは給与が上昇改定した場合だけでなく、下方改定した場合も対象になり、被保険者自身の選択の余地はありません。

社会保険料は雇用保険料と比べても高額であることから、人事担当者だけでなく、被保険者自身も制度を知っておくことは有用です。

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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