確定拠出年金は、企業や従業員などが毎月拠出した掛金と運用益によって将来の年金の受取額が決まる私的年金制度で「企業型」と「個人型」の二つに区分されています。
そのうち、「個人型」は、個人型確定拠出年金のことで、愛称は「iDeCo」(イデコ)と呼ばれています。
この年金は、加入者本人が決めた掛金額を積み立て、自分で選んだ金融商品の運用を行い、運用の結果に応じた給付を受けられる制度です。
一方、「企業型」は、企業型確定拠出年金のことで、「企業型DC」とも呼ばれています。
この年金は、企業が基本的に退職金制度として導入しており、企業が掛金を毎月拠出し、従業員が年金資産の運用を行う年金制度です。
iDeCoは、昨年から加入できる人の範囲の拡大や受給開始時期の延長といった規定が一部改定されており、また、拠出限度額についても、2024年12月より部分的に改定される予定です。
さらに、積立可能な年齢も現在の65歳未満から70歳未満まで延長することも現在検討されています。
まずは、この制度の特徴について、いくつかの項目を確認していきます。

iDeCoの主な特徴と改正点について
【利用可能な年齢】
積立可能な年齢は、原則20歳以上65歳未満まで
【受給開始の時期】
60歳から75歳までの15年間
【加入対象者】
国民年金に加入し、保険料を継続的に支払っていることが基本的な条件です。
具体的にどんな人が対象となるのか
・ 自営業者・個人事業主・フリーランスなどが加入者となる「国民年金第1号被保険者」
・ 会社員や公務員などの給与所得者が加入者となる「国民年金第2号被保険者」
但し、加入者については、次のすべての条件を満たす必要があります。
1. 企業型DC及びiDeCoの掛金は毎月の拠出であること
2. iDeCoの掛金額は企業型DCの事業主の掛金額と合算して各月の限度額を超えないこと
3. 企業型DCに従業員本人が加入および掛金を拠出していないこと
・会社員や公務員などと結婚して専業主婦(夫)となった人が加入者となる「国民年金第3号被保険者」で、第2号被保険者の被扶養配偶者を指します。
・国民年金任意加入被保険者
これは、たとえば
・60歳までに保険料の納付済期間が40年を満たしていない人で年金の満額受給を希望する60歳以上65歳未満の人
・国民年金の受給資格を満たしていない65歳以上70歳未満の人
・海外に居住する20歳以上65歳未満の日本人
などが対象となります。
【拠出限度額の現行および改正】
この制度においては、月5,000円から掛金の積立が可能ですが、上限額は加入者自身が自由に決められません。
拠出限度額の上限は、加入対象者や企業年金の加入状況等によっても異なり、細かな上限額が以下のとおり設定されています。
更に、国民年金第2号被保険者の限度額については下表のとおり、2024年12月より部分的に改定されます。
1. 国民年金第1号被保険者および国民年金任意加入被保険者
月額6万8,000円 この上限額は「iDeCo」+「※国民年金基金」の合算額です。
ただし、国民年金基金の掛金については、お宝年金と呼ばれる国民年金の付加年金保険料(月額400円)を納付している場合、国民年金基金と※付加年金は併用できないので、どちらか一つの年金と合わせて月額6万8,000円まで可能です。
※国民年金基金とは、国民年金(老齢基礎年金)の一部として、主に自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者が任意で加入する公的年金のことで、老後資金において、国民年金の不足分を補う役割を持っています。
国民年金基金は、厚生労働大臣の許可を受けて設立された公的な法人で、また組織としては、住所地や職種を問わず加入可能な「全国国民年金基金」と自営業などの従事者で構成される「職能型国民年金基金」(職種別)の2つがあります。
この年金の主な特徴は、「掛金全額が所得控除(社会保険料控除)の対象、年金受給額が公的年金等控除の対象、また年金積立金の運用はお任せ」などです。これらは厚生年金と同じです。
年金給付の主な仕組みについては、2種類の終身年金と受給期間が定まっている5種類の確定年金があり、それらのタイプを組合せて選択します。
2. 国民年金第2号被保険者
このカテゴリーは、下表のとおり細かな拠出限度額が定められています。
たとえば、企業型DCや※確定給付型企業年金等の企業年金の加入および掛金の拠出などの形態によって毎月拠出する掛金の上限額がそれぞれ1万2,000円~2万3,000円と決まっています。
このうち、2024年12月から現在掛金の上限額が月額1万2,000円となっている項目については、企業型DCのみに加入している場合と同様の2万円に引き上げられます。
※確定給付型企業年金(以下DB)とは、事業主が従業員と将来の給付額の算定方法等の給付内容が予め決められている企業年金のことで、英語の略称はDB(Defined Benefit Plan)「給付建て年金」と呼ばれています。
この年金は、その運用方法によって、「基金型」と「規約型」の二つの制度があります。
「基金型」は、企業とは別の基金を設立し、基金が年金資産の管理や給付行う制度です。
「規約型」は、企業の年金規約に基づき、信託銀行や生命保険会社等と契約を結び、外部に年金資産の管理や給付などを任せる年金制度です。
「(1) 企業が企業型DCと※DB等の他制度いずれにも加入していない場合」、および「(2) 企業が企業型DCのみ加入している場合」については、変更ありません。
※DB等の他制度は、DBの他、厚生年金基金、私立学校教職員共済制度、公務員の退職等年金給付などを含みます。
(3) 企業が企業型DC+DB等の他制度に加入している場合
現行の制度では、2.75万円から企業型DCの事業主掛金額を控除した残高のうち、最大1.2万円の範囲内で、iDeCoの掛金が拠出可能です。
したがって、下表のとおり企業型DCの事業主掛金額が1.55万円を超えると、iDeCoの掛金が減額されます。
一方、改定では、5.5万円から企業型DCの事業主掛金額(企業型DCの事業主掛金額+DB等の他制度掛金相当額)を控除した残高のうち、最大2.0万円の範囲内で、iDeCoの掛金が拠出可能です。
したがって、下表のとおり事業主掛金額が3.5万円を超えると、iDeCoの掛金が減額されます。

(4) DB等の他制度のみ加入している場合
現行の制度では、DB等の他制度に拠出限度額は無く、最大1.2万円の範囲内で、iDeCoの掛金が拠出可能です。
一方、改定では、DB等の他制度の拠出額とiDeCoの掛金(月額2万円)との合計額が5.5万円の範囲内でiDeCoの掛金が拠出可能です。
したがって、下表のとおりDB等の他制度の掛金額が3.5万円を超えると、iDeCoの掛金(上限額2万円)が減額されます。

・ 国民年金第3号被保険者
月額2万3,000円
【税制上の措置】
運用期間中の運用益は非課税(NISAも同様)、また積立時の掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)など、税の優遇を受けます。
受給においては、公的年金等控除(年金受給の場合)、退職所得控除(一時金の場合)などの軽減措置が受けられます。
しかし、払出時において、年金または一時金として受給する場合は、掛金総額(元本)や運用益の合計額にたいして所得税(復興特別所得税を含む)と住民税が課税されます。
【投資対象商品】
銀行や証券会社などの運営管理機関が用意した預貯金、保険商品、投資信託などの金融商品から加入者本人が選んで運用を行います。
iDeCoは、自分で資産運用を行うので、特にリスクを伴う投資信託について、簡単な商品知識を身につけておくのがベストです。
加入者は、複数の金融商品(最低3つ以上)を選び、また金融商品の変更も運用の途中で可能です。
【給付金の種類と受給要件】
給付金の種類には、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金、脱退一時金があります。
老齢給付金は、5年以上20年以下の有期年金、終身年金、一時金(規約の規定による)が選択できます。
受給要件は、原則60歳からですが、この時点で通算加入期間が10年に満たない場合は、支給年齢が60歳から65歳までと段階的に延期されます。
【その他の主な特徴】
企業型DCの加入者が離職や転職した場合は、その年金資産をiDeCoに移換することができます。
iDeCoの加入者が離職や転職した場合は、その年金資産を企業型DCに移換することができます。これはポータビリティー制度と呼ばれています。
また、運用中の資産の引き出しについては、原則60歳までできません。

これらの改定に伴い、掛金の変更を希望する場合やiDeCoの掛金が年単位となっている人は、変更の手続きが必要となりますので、iDeCoの加入手続きをした金融機関等に確認ください。


