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ドル・コスト平均法はあてにならない?

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「ドル・コスト平均法」。

 資産運用では、この「投資のタイミング分散」には、リスク低減効果があると言われていいます。

「ドル・コスト平均法」は「定時定額購入法」とも言われ、たとえば、毎月1万円ずつ、同じ運用商品を買い続ける運用のやり方です。

「積立投信」は、まさに、ドル・コスト平均法による運用です。
 確定拠出年金もそうですね。毎月同額の掛金で、継続的に同じ運用商品を買い続けます。

「リスク低減効果」といいましたが、この表現は便宜上使われているだけで、実際には、リスクを抑える効果はまったくありません。

 リスクは「何を買うか」によって決まります。「どう買うか」による影響を受けません。

 同じ資産を何度購入しても、その資産のリスクは変わりません。
 価格が大きくブレるものは、買い方と変えたところで、大きくブレるのです。

 ただ、この買い方によって「収益を上げる可能性を高める効果がある」とは言えますね。

 なぜなら、購入価格を平準化できるから。

 毎月1万円のお金で、ある会社の株を購入するとしましょう。
 株価と購入株数は次の通りです。

 5月:200円・・・・・50株。
 6月:400円・・・・・25株。
 7月:1000円・・・・10株。
 8月:500円・・・・・20株。
 株数の合計は、105株。

 投資資金の合計は、4ヶ月で4万円ですから、
 1株あたりの購入価格は、381円。

 もし、7月に、株価が1000円のときに4万円で一括購入した場合は、高値づかみをすることになり、大きな損失を被ってしまいます。

 定時定額投資を実践することで、平均購入価格は381円になりました。

「ドル・コスト平均法は、上昇局面では役に立つが、下落局面、下げ相場ではまったく効果がない!日本株式は約20年間、低迷してきた。ドル・コスト平均法はダメだ!」
 という論調が近年、幅をきかせているように思います。

 金融の専門家がそれを言い、また、それを鵜呑みにしてそのまま語る方々がいたりして、困ります。

 資産運用というのは、トクする人が現れる一方で同じだけソンする人が出るゼロサムゲームではありません。

 人間の営みは、昨日よりも今日、今日よりも明日の暮らしをより良くして行こうとする不断の取り組みで、その中で全体が豊かになっていく。
 つまり、資産運用はみんなが豊かになって、その果実を収益という形で手にすることです。

 資産運用をするには、この発想が根っこに必要。
 何とかして他人を出し抜いてやろうという発想だと、性格が悪くなります。

 確かに、日本株式は、この20年間低迷してきました。
 しかし「だからドル・コスト平均法はダメだ」ではなく、「だから、単一資産への集中投資ではなく、資産分散も併用するほうがいい」と言わなければなりません。

 日本株式だけでなく、その他の資産に分散して投資をし、さらに定時定額法を実践していたら、収益は確保できたはずですから。

 ドル・コスト平均法は、あてになるんです!!

「いまが買いどき、いまが売りどき」など、「資産運用は売買のタイミングがすべて、安いときに買って高いときに売るのが大事」という声に耳を傾けるのは構いませんが、それを安定的に実践するのは至難の業。
 ほとんどの人はそれができません。そう言っている本人だってできていないことを知っておいたほうがいいと思います。

《中村 宏》
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中村 宏

中村 宏

株式会社 ワーク・ワークス 代表取締役社長 山口県生まれ。大阪市立大学経済学部卒業後、 株式会社ベネッセコーポレーションに勤務。2003年にファイナンシャルプランナーとして独立し、 FPオフィス ワーク・ワークス を設立。「お客様の『お金の心配』を解消し、自信と希望にかえる!」をモットーに、個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を行っています。 個人相談件数は1,000件超。 無料のメールマガジン『生活マネー ミニ講座』(平日毎日)配信中。 登録はこちら → http://www.mag2.com/m/0000113875.html ・ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)) ・住宅ローンアドバイザー 寄稿者にメッセージを送る

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