消費税8%への増税がいよいよ秒読み段階に入った。4月からの増税前に、日用品を買いだめしたり、冷蔵庫やエアコン等の耐久消費財を駆け込みで購入したりした読者は少なくないであろう。

 まだまだ先行き不透明な経済情勢の中、少しでも出費を抑えたい消費者の心理からすれば、合理的な行動として理解できる。まあ、それだけ、3%の消費税アップは、一般国民にとって経済的インパクトが大きいということなのだろう。

消費税率アップで金融商品の手数料・コストも上昇

 さて、あまり意識されていないことかもしれないが、消費税率アップは、様々な金融商品の手数料・コストの上昇にもつながる。たとえば、株式投資における売買手数料や、投資信託における購入手数料および信託報酬には、消費税がかかっており、4月以降は増税にともない税込み手数料が上がるのだ。

 主な手数料の具体例をみていこう。

●国内株式の委託売買手数料
0.903%(5%消費税込) + 3,234円
個別株式 約定金額100万円 野村証券での店舗取引のケース
消費増税後 12,522円 -消費増税前 12,264円= 258円

●公募株式投信(アクティブファンド)の購入手数料
3.15%(5%消費税込)
日本株式ファンド フィデリティ日本成長株ファンド 購入金額100万円のケース
消費増税後 32,400円 - 消費増税前 31,500円= 900円

●公募株式投信(アクティブファンド)の信託報酬
1.6065%(5%消費税込)
日本株式ファンド フィデリティ日本成長株ファンド 年間の平均運用残高100万円と仮定
消費増税後 16,524円 -消費増税前 16,065円= 459円

 投資金額が100万円の例であるため、一見したところでは、どの手数料も消費税率アップにともなうコスト増加額は1,000円未満の微々たるもので、大したことはないと思えるかもしれない。

 確かに、頻繁に売買をしないのであれば、株式の売買委託手数料や投資信託の購入手数料は、増税によるコスト増はほとんど気にならないかもしれないが、投資信託にかかる信託報酬は保有している限り継続的に発生する費用であるので、もし10年間保有すれば、単純計算(基準価額がほぼ増減しないという仮定)で、消費税率アップによる信託報酬のコスト増加額は4,590円となり、100万円の投資金額を考えると、決して無視はできない。

コストを抑えた投資信託を選ぶことが益々重要に

 そこで、筆者からのアドバイスは以下のとおりだ。

 すでに、保有中の投資信託には、販売手数料の消費税増税は関係ないが、4月以降に、投資信託で資産運用を始める人は、販売手数料のかからない投資信託すなわちノーロードファンドを中心に、投資するファンドを選んだ方が賢明であろう。

 最近のノーロードファンドは、市場平均や指数に連動するインデックスファンド以外にも、アクティブファンドを含め、多様なファンドを対象にしている。ただし、ノーロードファンドを取り扱う金融機関は、主に、ネット専業の証券会社(SBI証券や楽天証券など)である。

 信託報酬は、長期投資になればなる程、累積でコスト負担は大きくなり、消費税アップの影響は、新たな負担増になる。アクティブファンドやリスクの高い新興国向け、あるいはデリバティブ取引を含んだ複雑な商品性のファンドは、大きなリターンを得られる可能性はあるものの、相対的に高い信託報酬と、それにかかる消費税の増税を受け入れなければならない。

 換言すれば、運用の良し悪しにかかわらず、信託報酬とそれにかかる消費税は必ず負担するコストであり、運用成績を確実に押し下げる。

 今年1月より、NISA(少額投資非課税制度)がスタートしたが、年初より、新興国経済の低迷や、米国金融緩和政策の転換、そして、ウクライナ問題等の地政学リスクの顕在化で、投資環境は決して、順風満帆ではなく、国内外の経済・景気の先行きに不透明要因も少なくない。

 そのような中、各金融機関では、NISA向けに手数料を一部もしくは全部なくすことで、費用を抑えた投信信託を取り扱い始めている。尚、信託報酬を抑えたコスト重視の運用を行う上で、ETF(上場投資信託)は必ず、投資候補対象の中に入れたい。

 資産運用において、消費税増税の逆風に打ち勝つためにも、5年から10年といった長期投資を基本とするNISA制度の活用と合わせて、コストを抑えた投資信託を賢く選ぶことが、個人投資家にとってますます重要になってきたといえよう。(執筆者:完山 芳男)