現在、年金と雇用保険で2種類、調整されるものがあります。

(1) 「老齢厚生年金と失業保険」が調整
(2) 「老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付」が調整

今回はその中でも、「老齢厚生年金と失業保険」との調整を取り上げたいと思います。

65歳を境に失業保険の内容が変わります

雇用保険に加入した人が65歳になる前に、自己都合などで退職した場合は失業保険(「基本手当」といいます)の給付を受けることができます。

一方、65歳以降に退職した場合、失業保険(「高年齢求職者給付金」といいます)の給付を受けることができます。

失業保険のイメージ図

それでは、同じ失業保険でも「基本手当」と「高年齢求職者給付金」は何が違うのでしょうか。

(1)「基本手当」

この手当は、失業中の生活保障として再就職するのを支援するために支給されるものです。雇用保険を掛けていた期間により基本手当の支給が90日分、120日分、150日分あります。

(2)「高年齢求職者給付金」

この手当も、立ち位置としては「基本手当」と同じですが、違いは雇用保険を掛けていた期間により高年齢求職者給付金の支給が30日分の一時金、50日分の一時金があります。

退職日により、この「基本手当」か「高年齢求職者給付金」かに区別され、65歳を境に支給日数が変わってしまいますので、退職する時期というのもしっかり考えることも大切です。

「老齢厚生年金」と「失業保険(基本手当)」との調整

65歳未満の人が退職し、失業保険(基本手当)を受けている間は、「特別支給の老齢厚生年金※1」と「繰上げ支給の老齢厚生年金(65歳未満に限る)」(この2つを便宜上「65歳前に支給される老齢厚生年金」といいます)は調整されてしまいます。

※1 65歳前の特別支給の老齢厚生年金については、2015年11月18日の記事「65歳前に支給される「特別支給の老齢厚生年金」を受給していますか?」をご参照ください。

「65歳前に支給される老齢厚生年金」を受給している人が、失業し基本手当を受けるようとする時は、求職の申し込みをした月の翌月から、基本手当の受給が終了した月まで「65歳前に支給される老齢厚生年金」は支給が停止されます。

「事後精算」制度

上記のとおり「老齢厚生年金」と「失業保険(基本手当)」との調整は、たとえ1日であったとしてもその月の「65歳前に支給される老齢厚生年金」は支給停止になってしまいます。

例えば、150日分の基本手当でも、支給停止期間が5ヵ月間であったり6ヵ月間であったりと、支給停止の月数が異なるという不合理なケースが起きる場合があります。それを修正するのが事後精算という制度です。

基本手当の受給が終わり、最初の年金が振込まれる時に、調整をされて支給がされます。


※ 「支給停止解除月数」が、1未満の端数がある場合は切り上げる

また、この「老齢厚生年金」と「失業保険(基本手当)」との調整は、65歳になった月の翌月以後は調整されず2つが併給されることになります。

この制度を理解しておくと、無駄なく給付が受けられます。(執筆者:高橋 豊)