想定外の「トランプラリー相場」とどう付き合っていくべきか?(第1回)

2016年アメリカ大統領選挙で大方の予想を覆す形で、共和党のトランプ候補が民主党のクリントン候補を破り、第45代大統領に就任することが決定した。

トランプ氏は選挙期間中に、大胆な物言いや暴言を繰り返し発したことで、政策以前に大統領としての資質に問題があるなどの批判を受けていた。

また、不法移民に対する強制退去やメキシコとの国境に巨大な壁を建設するのなど常軌を逸した暴論や自国経済優先のための保護貿易政策への転換、さらには同盟国との安全保障政策の見直しにも言及していた。

よって、もしもトランプ大統領が誕生してしまえば、世界の秩序や政治経済は大混乱し、金融市場では株価は暴落、為替市場においてもリスク回避で円高になるだろうとの予想が大勢を占めていた。

予想外だった「トランプ・ラリー相場」

トランプ氏当選でまさかの株価爆上げ

ところが、大統領選の投開票日の翌日には、NYダウをはじめ主要国の株価指数は大幅に上昇した。

大統領選勝利宣言の演説において、トランプ氏の発言が常識的かつ穏当な内容だったこともあり、今のところ世界の金融市場は彼が公約に掲げている「大幅減税と財政出動をともなうインフラ投資」を期待した反応を示しているといえよう。

為替市場では、大統領選投開票日の11月8日(日本時間は11月9日)こそ、東京市場で一時1ドル101円台までドル安・円高が進み、日経平均株価は1,000円以上下落したが、翌日には一気にドル高・円安へ反転し、株価も1,000円近く急上昇し前日の下落幅をほぼ取り戻した。

NY市場ではトランプ次期政権の政策期待や長期金利上昇を背景に株価は上昇を続け、11月22日にダウ平均株価が節目の19,000ドルを超えたことを含め、主要3指数(ダウ・NASDAQ・S&P500)が史上最高値を連日で更新している。

トランプ大統領誕生という事態は、金融市場では英国のEU離脱を上回る大きなリスクイベントと考えられていたが、思わぬ形で「トランプ・ラリー相場」が、好ましい展開を生んでいる。

トランプ次期政権による大型減税と巨額のインフラ投資計画

米政府の債務拡大に対する懸念

米国長期金利(インフレ期待)の急上昇

米ドル買い&米国株高

円安&日本株高

過度なリスク選好相場

今はリスクオンになっている

ただし、冷静に考えてみれば、トランプ新政権はまだ誕生していない。正式な大統領就任は来年の2017年1月20日だ。

米新政権の政策はもちろんのこと、トランプ大統領を支える閣僚人事もいまだ人選の過程段階(首席補佐官を含め大統領側近人事は決まり、すでに政権移行チームは動き出しており、司法長官やCIA長官などの一部の閣僚起用は発表された)である。

あまりにも市場の期待が先走り過ぎた「過度なリスク選好相場」だといえないだろうか?

財源をどう確保するかが不透明な中、減税やインフラ投資を中心としたトランプ新政権の政策が公約通りに実施されるかどうかはいまだ不確かであろう。

今後も株式市場と為替市場において、株高とドル高円安の継続を期待し続けるのは安易かもしれない。

日本の投資家には恵みの雨

2016年は、前年までのアベノミクス相場から打って変わって、年初から円高進行と株価下落が長く続いた。

中国経済のバブル懸念や原油価格の下落継読、さらには英国のEU離脱決定もあり、日本の投資家にとっては大荒れの投資環境だったことだろう。

読者の皆さんを含め個人投資家の方で、大きな損失を抱えた方も少なくなかったと思われる。

よって、11月の米大統領選挙の番狂わせで『予想外のトランプ・ラリー相場』が始まったことは、恵みの雨になったかもしれない。

含み損失を解消するに至っていない

でも、トランプ・ラリーで投資損益が大きく改善されたとはいえ、多くの個人投資家は依然として含み損失を解消するに至っていないと想像される。

なぜなら、2015年10月~12月の期間は、円相場では1ドル120円前後の円安水準であったし、日経平均株価も1万9,000円~2万円で推移していたからだ。

この時期に日本株(大型株やTOPIXをベンチマークとした株式投信など)に投資を始めた投資家にとっては、相場が大きく回復したとはいっても、足もと(11月29日時点)の円相場1ドル112円台半ば、日経平均株価1万8,300円台の水準では、依然含み損失の状況である。

トランプ・ラリー相場との付き合い方

トランプラリー銘柄は?

さて、このトランプ・ラリー相場とどう付き合っていけばよいだろうか?

リスクの取れる個人投資家であれば、トランプ・ラリー相場の勢いに乗って来年4月頃までの短期~中期視点で投資リターンを狙ってみるのも一案だ

トランプ相場は、市場の期待先行による過熱相場には違いないだろうが、2017年1月の大統領就任そして、新政権発足後100日間くらいまでは、米国では株高相場が継続するという経験則があるので、好調な相場環境が続く可能性がある。

発足直後の新政権は一般的に高い支持率を示す傾向があり、新政権発足当初の100日間と国民・マスメディアの関係は、新婚期の夫婦になぞらえて「ハネムーン」と名付けられている。

なぜなら、米国では報道機関のみならず野党も、この100日間は新政権に対する批判を避ける紳士協定があり、マーケットも新政権の政策に期待して株高相場が続くと考えられるからだ。

トランプ相場と相性の良い投資対象は?

日本株の個別銘柄や具体的な金融商品を挙げるのは差し控えるが、業種という観点でいえば、メガバンクを含む金融業界や素材関連銘柄、建設機械業界の株価が日経平均株価よりパフォーマンスがよいことからも、当面は投資妙味があるといえるだろう

次回コラムにて、トランプ銘柄について詳しく説明をしたいと思う。(執筆者:完山 芳男)

次回はこちら

想定外の「トランプラリー相場」とどう付き合っていくべきか?(第2回)

この記事を書いた人

完山 芳男 完山 芳男»筆者の記事一覧 (77) http://www.greenmoneylife.com/

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表
米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。
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