7月3日に国税庁から発表された平成29年分の路線価。全国平均で前年比0.4%の上昇と2年連続での上昇を記録し、路線価の上昇は地方にも広がっているようです。

今回は、路線価の上昇が不動産投資に与える影響について考えてみることにしましょう。

路線価とは…

毎年7月1日(今年は3日)に全国の国税局・税務署で公表される路線価。

路線や道路に面する宅地1㎡あたりの評価額のことで、

・ 相続税や贈与税の算出に用いられる「相続税路線価」

・ 固定資産税・都市計画税の算出に用いられる「固定資産税路線価」

の2種類があります。

一般的に、単に路線価と言う場合は相続税路線価を指し、相続税路線価は公示地価(適正な取引価格と見込まれる価格)の8割程度になるように決められます。

相続税対策への影響

相続税路線価を用いて算出される相続財産としての土地の評価額は、公示地価の8割程度と考えられます。

つまり、市場での取引価格から2割も差し引いた価格で評価されます。

また、固定資産税路線価が適用される建物の評価額に至っては、公示価格の40%~60%に過ぎないと言われており、土地にも増して実勢価格からかい離した評価をされる仕組みになっているのです。

(例)1億円の区分マンション(建物9,000万円・土地1,000万円)を購入

このマンションの相続税評価額を計算してみると、

9,000万円 × 60% + 1,000万円 × 80% = 6,200万円

ということになります。

つまり、1億円の現金を相続した場合と、1億円で購入したマンションを相続した場合を比べると、1億円で購入したマンションを相続した方が相続税を低く抑えられることになるのです。

相続後1億円で売却すれば、3,800万円が課税対象から控除されたということになり、現金よりも不動産で相続した方が得と言うことになるのです。

「路線価が上がると不動産の評価額も上がってしまいので、節税対策の効果が薄れるのでは?」

そう考える人もいるかもしれません。しかし、市場での取引価格も上昇するため、路線価の動向に関わらず不動産で相続するメリットは大きいと考えられます。

収益物件の利回り

路線価が上昇局面にあれば、利回り計算の要素となる不動産の購入価格も高騰してしまうことが予想されます。

不動産価格の価値が上がれば家賃相場も上昇し利回りは一定に保たれるという考え方もありますが、実際は利回りが2%台という新築収益物件も都心には出現しています。

そのような「低利回り」を招く理由

不動産の価格が上がったからと言って、賃料アップを入居者に求めることは難しいという現状があるようです。

東京都心部の中古物件に関しては値上がりも一服。平成24年からの4年間で、都心6区の中古マンション価格は40%以上も上昇したそうです。

全国に先駆けて不動産価格が高騰した都心エリアにおける不動産価格の停滞は、数年後の全国的なトレンドを映し出しているのかもしれませんね。(執筆者:内田 陽一)