不動産価格が上昇の一途をたどる一方で、収益物件の利回りは右肩下がりの状況が続いています

利回りだけを見ると以前ほどうま味が感じられないものの、不動産投資への関心の高さは衰えていません。

それには、昨年2月から続く日銀のマイナス金利政策が大きな影響を与えているようです。

マイナス金利政策とは

「緩やかな利上げが適切」との考え方を示したFRBのイエレン議長とは対照的に、日銀の黒田総裁はマイナス金利政策を続ける姿勢を崩していません。

日本の歴史的低金利は、まだしばらく続くと考えられます。

ここで、「マイナス金利」について簡単にご説明しましょう。

民間の金融機関がお金を日銀に預ける場合、預けられた金額に対して一定割合の利息が日銀から金融機関に支払われていました。

ところが、マイナス金利を導入することで、日銀にお金を預けると金融機関は一定割合の手数料を支払わなければならなくなってしまったのです。

マイナス金利になると

これまでは、日銀にお金を預けておけば、金融機関はいくらかでも利息を稼ぐことができました。しかし、マイナス金利導入後はそうはいきません。

その結果、金融機関はより融資に積極的に取り組むようになったのです。日銀にお金を預けていても金融機関は儲かりません。

融資して利子を得ることで収益を上げることが、金融機関には求められるようになったのです。

低金利が与える不動産投資への影響

不動産投資でよく用いられる概念として「(表面)利回り」がありますが、もうひとつ「イールドギャップ」というものをご存知でしょうか?

イールドギャップは、物件の表面利回りから借入金利を差し引いた値で表されます。つまり、表面利回り同様、数値が大きいほど優秀な収益物件ということになります。

5年前からほぼ横ばいの「イールドギャップ」

物件価格の上昇によって5年前からほぼ右肩下がりの表面利回り。それに対して、多少の上下はあるもののイールドギャップは5年前からほぼ横ばいです。

利回りの低下分を歴史的低金利が吸収しているため、利回りが低下してもイールドギャップは5年前とほぼ同じ水準を維持しているのです。

利回りは低下しつつも、不動産投資で上げられる収益は5年前と変わっていないとも言えるでしょう。

不動産投資には追い風

融資に対して前向きな金融機関が増えた分、むしろ不動産投資には追い風が吹いているとも考えられます。

住宅ローンでは0.4%台という金利も珍しくなくなりました。単純計算になりますが、3,000万円の融資を実行したとしても、金融機関は1年に12万円の利息しか稼げません

このことから、より高い利子を受け取ることができる事業性融資を受けてくれる大口の取引先の開拓に、金融機関が力を注ぐことも考えられます。

融資を引いて高額物件にチャレンジしたいと考えている投資家にとっては、今が好機なのかもしれません。(執筆者:内田 陽一)