【マイナンバー】2017年9月末までに提出しなければ引き続きNISAの恩恵が受けられない件 本当に金融機関に提出しても大丈夫なのか?»マネーの達人

【マイナンバー】2017年9月末までに提出しなければ引き続きNISAの恩恵が受けられない件 本当に金融機関に提出しても大丈夫なのか?

投資家の皆さんの中には、取引口座を保有する証券会社から、マイナンバーの提出を求められてどうしようか躊躇している人は多いのではないだろうか。



ほどんどの証券会社では

「NISA口座を2018年以降も継続的に利用するためには、2017年9月末までにマイナンバーを提出して頂く必要があります」

といった通知をネット経由や書面でNISA口座保有者へ通知している。

意外と知られていないことだが、現行のNISA制度(少額投資非課税制度)は2014年~2017年が一つの区切りになっている。

つまり、2014年〜2017年の前半4年間が第一期間で、2018年~2023年の後半6年間が第二期間となっている。

したがって、2017年と2018年の間に区切りがあるため、マイナンバー関係の手続きをしておかないと、2018年に再度NISA口座の開設手続きが必要となるというわけだ。

2017年9月末までに証券会社へマイナンバーを提出することで、今保有しているNISA口座を2018年以降も継続することができ、再度NISA口座を開設する手続きは不要となる。

実は、筆者の相談依頼者の中でも、2017年7月末時点で「マイナンバー未提出」のNISA口座保有者は少なくない。

面談機会があるたびに、相談者からは「本当にマイナンバーを提出すべきですか?」と質問をされるので、その際は9月末の期限までに証券会社にマイナンバーを登録することを勧めている。


マイナンバーの提出に躊躇する理由とは

マイナンバーの提出に難色を示す人が多いことにははっきりとした理由がある。

国や税務当局に、証券口座内の残高や取引内容が全て把握されて、個人情報がみだりに知られてしまうことは気分の悪いことだろうし、ましてや何らかのやましい金融資産を保有している場合は、マイナンバーを手掛かりに税務当局に資産内容をつまびらかに捕捉されては堪らない、といった事情を持つ人もいるかもしれない。

もしも金融所得を隠すそうといった悪意を持った目的であれば、その気持ちに与することは出来ないが、個々の証券顧客が抱く不安や国への不信感は筆者も理解できなくはない。

NISA口座の保有者が抱いている不安は誤解に基づく部分が多いと思われる。


口座の残高などを新たに把握されるわけではない

証券取引口座にマイナンバーを登録しても「口座の残高などをあらたに把握されるわけではない」ことを認識していない人が多いのだ。

売却益や配当収入などから税金が源泉徴収されるタイプの取引口座(特定口座という)を選んでいる人であれば、証券会社が自身の代わりに所得金額を計算して納税を代行している。

つまり、株式や投資信託の取引による課税所得は現在でも多くの証券口座においてしっかりと把握されている

今回のマイナンバー登録の対象は、NISA口座の保有者のみであり登録は義務ではない。

とはいえ、非課税のNISA口座でさえマイナンバーがなかなか集まらないという状況は金融機関にとっては頭が痛いことだろう。

2017年5月の時点で、NISA口座におけるマイナンバーの登録は大手の野村証券で5割弱、大和証券で2割程度しか集まっていない状況であると日本経済新聞が報じていた。

期限まで残り1か月あまりとなった8月時点においても、マイナンバー収集の進捗状況は芳しくないと思われる。

一方で、2018年12月末までには、NISA口座開設に関係なく全ての証券顧客(登録金融機関である銀行で投資信託を購入・保有している人を含む)が金融機関にマイナンバーを提出することが義務付けられる

金融機関にとって、通常の証券口座へのマイナンバー登録の義務化について、全ての顧客を説得するのは至難の技になるだろうし、膨大な事務作業を強いられることになるだろう。


マイナンバー収集についての金融業界の動き

尚、NISA口座のマイナンバー収集については、金融業界をあげて大きな動きがみられている。

たとえば、日証協は専用のパンフレットを2017年4月に作成して配布を始めている。

また、「郵送によるマイナンバー提出が面倒」といった声に応え、三菱東京UFJ銀行や大和証券はスマートフォンのカメラで番号を撮影しその画像を送信すればマイナンバー登録の手続きが完了するアプリを用意するなど、金融業界の知恵を絞った試みは歓迎したい。

2014年1月に始まったNISAは順調に口座数を増やしており、2016年12月末時点で約1,070万口座に達したとみられている。

しかしながら、NISA利用者は2017年9月までにマイナンバーの登録が求められ、提出がなければ翌年から非課税投資の恩恵が受けられなくなる

このままでは、NISA口座が制度開始以来、初めての減少に転じかねない。

NISAは、政府が掲げる「貯蓄から投資へ」のスローガンに沿って、投資初心者を投資へ呼び込もうと業界をあげて普及にいそしんできた。口座数の減少はなんとか避けたいところだろう。

金融機関へマイナンバーを提出するのに抵抗感を持つ人に、筆者があらためてアドバイスするとしたら、公平な税務を目指すマイナンバー制度の趣旨を理解した上で「自身の資産状況というプライバシーが侵害されるといった過度な心配は無用である」とお伝えしたい。

来年以降もNISAの非課税投資枠を利用できる様、2017年9月末までにマイナンバーを登録しよう

ちなみに、税務当局は、申告漏れなどの疑いで税務調査に入る際、証券口座の内容を照会するケースはあるが、これは今現在でも行われていることなので、マイナンバーの登録によってあらたに得られる情報はない。




将来的にはマイナンバー登録は義務化される

近い将来、銀行の預金口座へのマイナンバー登録が義務化される日が来るだろう。

現時点では、銀行口座への登録義務付け(2018年から任意で登録が始まる)は決まっていないが、政府は国民生活への影響の大きさを考慮して2021年以降に義務化を再検討するとのことだ。

貯金口座を1億超も抱えている「ゆうちょ銀行」は、2018年の任意登録に向けてシステム整備を急いでいると報道されているが、マイナンバー登録義務化への対策が決まっていない銀行が大半と思われる。

しかし「税と社会保障の一体改革」のためにマイナンバーが導入された以上、遅かれ早かれ、銀行口座へのマイナンバー登録義務化は避けては通れない道だ。

NISA口座で明らかになった証券顧客の抵抗や不信感は、マイナンバー制度に対して国民の一定数が同意していない表れである。


最後に

全ての証券口座へのマイナンバー登録の義務付けまで残りあと1年と4か月である。

それまでに国民の理解を深める方策は見つかるだろうか。

証券会社や銀行をはじめとする金融業界だけではなく、政府がマイナンバーに対する国民の信頼と理解を深める努力と具体的な施策を講じるべきだ。

政治に対する不信感が高まっている安倍政権の抱える課題はあまりに大きい。(執筆者:完山 芳男)

この記事を書いた人

完山 芳男 完山 芳男»筆者の記事一覧 http://www.greenmoneylife.com/

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表
米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。

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