皆さんは、確定申告の準備はお済みでしょうか?
毎年この時期が来ると、気が重くなる人も多いはず。
不動産投資家に限らず個人事業主にとっては、毎年恒例のイベントですね。
とはいえ、すでに申告書の作成まで終わってしまった人や、中には既に提出してしまった人もいることでしょう。
そして、思いのほか納税額が多いと感じた人も少なくないのでは?
今回は、下記のコラムで取り上げた法人設立が節税につながる仕組みをおさらいするとともに、法人の種類ごとの特徴について詳しく解説いたします。
【不動産投資】法人化するメリットとそのタイミング ポイントは所得税の税率と譲渡所得税
【不動産投資】法人化するメリットとそのタイミング(2) 個人と法人の違いについて
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目次
法人(資産管理会社)を使うと節税できるのはなぜ?
はじめに、法人を利用した節税のスキームについて説明いたします。
個人に課せられる所得税は所得が高くなるにつれ税率も上がり、その税率は最高で45%(累進課税)にも及びます。
それに対して、法人税の税率は原則23.4%。
そして、一定の要件を満たせば、所得のうち800万円以下の部分に対しては15%の軽減税率が適用されるといった優遇措置まで用意されています。
法人を活用した節税対策では、この税率の差を利用することになります。
つまり、45%もの所得税率が課せられる4,000万円を超える所得がある人は、法人を設立して所得の一部を法人に移すことができれば、法人に移した所得に対する税率は23.2%に抑えることができます。
つまり、節税につながるというわけです。
資産管理会社の種類
不動産投資において家賃収入を管理するために設立する会社、それを資産管理会社と言います。
資産管理会社には次の3つの方式があります。
それぞれの特徴について説明いたしましょう。
1. 所有方式
アパートやマンションを法人名義で購入・経営するというものです。
不動産投資は個人で行うのが一般的ですが、それを法人名義で行うというもの。
購入した物件から得られる全ての家賃収入が法人のものとなります。
高い税率が課せられる個人の所得が減り、より低い税率が適用される法人の所得が増えるため、大きな節税効果が見込めます。
個人で購入したものを所有方式の法人名義にするには、移転登記が必要で費用も掛かります。
よって、法人名義で所有する場合は、新規に購入することをおすすめします。
2. サブリース方式
サブリース方式では、個人で購入したアパートやマンションを資産管理会社が一棟まるごと借り上げ、それに対する家賃を貸主である個人に支払います。
資産管理会社は、大家に支払う家賃より高い家賃を入居者から受け取ることで収益をあげます。
サブリース契約の相場である家賃収入の10-20%程度を法人に支払うことで、法人より高い税率が適用される個人の所得を減らすことができます。
3. 管理会社方式
個人で所有するアパートやマンションの管理を委託するという名目で、資産管理会社に管理費を支払うというもの。
資産管理会社に支払われるのは、管理費として一般的とされる家賃収入の5-10%程度です。
高い節税効果は期待できないものの、最も手軽に利用できるのがこの管理会社方式のメリットと言えます。
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最後に
このように、法人を設立することでさまざまな節税効果が期待できますが、法人を設立するには費用も掛かります。
節税対策に法人を設立るかどうかについては、登記費用なども含めて総合的に判断することが求められます。(執筆者:内田 陽一)