仮想通貨交換業者コインチェック社のNEM流出事件で、約580億円の流出額を補償すると会社側が発表した際には、「本当に補償しきれるのか?」という疑念の声が多く上がりました。

実際には2018年3月12日から、約460億円に額は下がったものの補償を実施しております

コインチェックを傘下におさめたマネックスグループ(証券コード:8698)が、4月26日の決算発表でコインチェックの決算も概算レベルで公表しました。(4月16日にコインチェック社がマネックスグループの完全子会社となったため、2018年3月期は概算として発表)

この決算内容で、約460億円を補償しきれるだけの業績が判明するとともに、驚きの高収益ぶりも判明してマネックスグループの株価が急騰しました。

コインチェック社が完全子会社となったマネックスグループ

≪画像元:マネックスグループ

驚きの決算内容

補償をしてもなお黒字

2018年3月期の概算 (単位:億円)

営業利益と税引前当期純利益の差額が約474億円となりますが、この大半が特別損失として計上したNEM流出に対する補償額です。

ここからわかることは、

・2017年4月~2018年3月の1年間で、NEM流出を補償できるだけの巨額利益を獲得できた

・補償してもなお黒字が残り、買収した会社もいきなり損失を抱えることがない

という点です。

補償をしてもなお黒字の決算内容はすごい

営業利益が前年比約75倍という驚異的な伸び率

2018年3月期の営業利益537億円は前年比約75倍(前年度は7億円台)であり、上場企業もそうそう達成できない驚異的な伸びを見せました。

売上高から「販売費および一般管理費」(販管費)と呼ばれる営業経費を差し引いて営業利益は計算されます。

各企業とも販管費で大きいのは人件費であり、近年は人手不足や社会保険の適用拡大で人件費負担が重くなる企業が多いです。

そう考えると、営業利益を驚異的に伸ばすのも難しい時勢です。

なお売上高に対する営業利益の割合(売上高営業利益率、もしくは単に営業利益率とも)が約86%と、これも驚異の高率でした。

ただし営業利益率に関しては、独特の計上方法が押し上げている面もあります。

コインチェック社は、販売所としていったん保有した仮想通貨を販売しています。

売上高は、仮想通貨の売却収入から売却原価を差し引いた純額で計上しているので、小売業などの粗利益(売上から対応する仕入原価を引いたもの)に近いところがあります。

仮想通貨の売却収入を売上高とすれば営業利益率は低下します。

販売所としていったん保有した仮想通貨を販売しているコインチェック社

事件後から厳しい利益率に

しかし、NEM流出事件の2・3月は営業利益率が25%にまで落ち込んでいることも公表しました。これは仮想通貨相場の急落で、儲けることが難しくなったことも要因です。

2018年3月期の営業利益537億円は前年比約75倍ですから、ある意味仮想通貨バブルによる臨時的な利益です。

今後は流出事件が起きた場合に、補償の原資が確保できない事態も予想されます

そのようなことが再発しないように、仮想通貨交換業者は金融庁側からの規制や自主的な規制で対策を進めています。

【新情報】確定申告における損害の取り扱い

以前執筆した記事、「仮想通貨流出の被害者が補償されたら所得税・住民税が課税される場合がある。

で、2018年4月17日に発表した国税庁見解に関する補足を致しました。雑損控除による税負担軽減は厳しいのでは?という結論です。(執筆者:石谷 彰彦)