※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

介護保険の「世帯分離」 得する人と損する人の分岐点

シニア 介護
介護保険の「世帯分離」 得する人と損する人の分岐点

介護保険「世帯分離」

世帯分離とは

介護保険を利用している人で世帯分離を行うと、世帯分離を行わずに同居している人に比べて、介護保険の自己負担額を減らすことができます。

「世帯分離」とは、住民票に登録されている1つの世帯を、2つ以上の世帯に分けることです。

介護保険の「裏ワザ」と紹介されていることもありますが、生計が別であれば同居している家族でも一般的に行われている手続きですので、それほど不自然なものでもありません

また世帯分離は、一時的に特養や老人ホームに居住している場合でも、住民票に記載されている住所に変わらずに居住していることになるため、手続きは可能です。

では世帯分離で得する人や損する人はどんな人でしょうか。

 関連記事:介護保険と世帯分離の関係 住民票一つで負担額が異なる

世帯分離で得する人

介護保険の世帯分離で得する人

・ 一般的には世帯分離をした方が得です

・ 施設サービスを利用する人ほどメリットが大きくなります

・ 介護度の高い人ほどメリットが大きくなります

(1) 介護保険サービスを利用した際の自己負担限度額は所得により異なり、以下の通りとなっています。

一般的には、世帯分離を行って、高齢者のみの世帯とした方が収入は少なくなり自己負担限度額は小さくなります

介護保険の自己負担限度額

(2) 施設に入所して生活する介護サービス利用者には「特定入所者介護サービス費(補足給付)」という制度があり、第一段階から第三段階に該当すれば負担額が軽減されます。

特定入所者介護サービス費(補足給付)

特養の居住費を1か月(30日)に換算すると

第一段階 (食費300円+居住費320円)×30日=1万8,600円

第二段階 (食費390円+居住費420円)×30日=2万4,300円

第三段階 (食費650円+居住費820円)×30日=4万4,100円

第四段階 (食費1380円+居住費1150円)×30日=7万5,900円

第一段階と第四段階では1か月に5万7,300円も差があります。

(3) 介護保険には介護度に合わせてサービス限度額が設定されています。


介護度の高い人の場合は、利用限度額が大きいため、世帯分離によるメリットをより多く受けることができます

世帯分離で損する人

介護保険の世帯分離で損する人

・ 1世帯で2人以上介護保険サービスを利用する場合、割高になることがあります

・ 国民健康保険料が割高になる場合があります

世帯分離を行った場合の注意点

(1) 1世帯で2人以上が介護保険サービスを受けている場合は、世帯全体で合算し超過する部分について払い戻しを受けることができますが、世帯分離後は合算できなくなり、割高となる場合があります。

(2) 国民健康保険料の場合、世帯が別になるとそれぞれの世帯主が国民健康保険料を支払うことになるので、1人で支払っていた場合に比べ割高になることがあります。

会社の健康保険に扶養家族として加入していた場合は、組合の制度が利用できなくなります

役所で手続きを行う際には

「介護保険の自己負担を減らしたいので」

というと受付けてもらえないこともありますのでご注意ください。

世帯分離を行って得する人と損する人がいます。

手続きを検討する際にはメリットとデメリットを把握して進めましょう。(執筆者:相川 隆)

《相川 隆》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

相川 隆

相川 隆

1972年生まれ。大学卒業後、メガバンクに入行。法人融資、個人融資、資産運用、マーケティングなど幅広い業務経験を積む。1級ファイナンシャルプランナー。20年勤務ののち、医療業界に転職。経営企画室にてM&Aや新規病院開設、介護施設立ち上げなどに携わる。一方で本業と並行し、カフェ経営、コンサルティグ事業を主宰し、店舗経営、起業・税務・保険・ファイナンシャルプランニングを行う。趣味は料理。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集