目次
相続の疑問に、銀行員が答えます!
第5回 借入が残っていると、どうなるの? ~アパートローンや事業資金の場合
第6回 いまから準備できることはあるの? ~相続のときに困らないために
アパートローンと事業資金融資は同類

銀行では、アパートローンと事業資金融資は同類だと考えています。
アパート経営は、商店や会社と同じ事業です。
不動産賃貸業として確定申告が必要なのも、ほかの自営業と一緒です。
住宅ローンとはちがい、アパートローンや事業資金に保険はセットされていません。
保険で借金がチャラにはならないので、後継者が返していかなければなりません。
なぜ事業資金の融資に保険がセットされていないのでしょうか?
理由1:事業は自己責任なので、死んでもチャラにはならない
事業とは基本的に継続されます。
商店も、アパートオーナーでもそれぞれ「事業」は本人(経営者)が死んだら妻や子供、あるいは従業員から後継者が継いでいきます。
事業が終わる時というのは「経営が行き詰まった」などの理由で、自己責任であって経営者が死んだからといって自動的に終了するものではなく、事業資金の融資も後継者が引き継ぎます。
理由2:保険金が高い
費用の問題です。
アパートローンや事業資金にもセットの保険はありますが、住宅ローンに比べて保険料が高いので、ほとんど利用されません。
掛け捨てや、1年の自動更新が主流で、保険料は融資金額の0.4~1%程度です。
借入が1,000万円で1%つくなら、年間10万円の保険料を毎年払います。
これらは「事業者用団体信用生命保険」などと呼ばれています。

上記の保険料なら、一般的な生命保険のほうがいいと考えるのか、事業者用団体信用生命保険を利用する人は少数です。
理由3:アパートローンでは、保険をセットしない理由が他にもある
特にアパートローンの場合、相続対策の理由から生命保険をセットしません。
土地を数多く所有する資産家がアパートローンを借りていれば、本人が死亡した場合アパートローンは「借入=債務」となり、相続税を計算するとき有利です。
「保険料が高い」、「アパートローンを借りる人は高齢者が多い」などで、保険に加入できないという理由もありますが、債務を残すために保険をセットしないことが重要です。
オーナー死亡後でも、収入がある

サラリーマンが多い住宅ローンとちがって、アパートローンや事業資金は、継続するので後継者が返していかなければならない借入です。
アパートの場合、オーナー本人が死亡したとしても、アパートの建物はそのまま何も変わりませんし、入居者にも関係なく、今までと変わらずに家賃が入ってきます。
アパートローンや事業資金を引き継いだ後継者は借金と事業をいっぺんに引き継ぐので基本的には返していけます。
このことからアパートローンや事業資金に生命保険がセットせれていなくても、大きな問題ではありません。(執筆者:加藤 隆二)