少子高齢化の進行や人手不足を背景とし政府は継続雇用年齢の70歳への引き上げへ検討しているなど、高齢者の雇用を継続しようという流れになっています。

その中で老齢厚生年金を受給しながら働いている方もいるのではないでしょうか。

・ 老齢厚生年金を受給しながら勤めていて、厚生年金保険に加入している場合

・ 70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所にお勤めになった場合

には、「老齢厚生年金の額」と「給与や賞与の額」に応じて、受給できる年金の一部または全額が支給停止となる場合があります

支給停止となる場合もあるんです

これを在職老齢年金といいますが、この在職老齢年金にも2種類あり

・ 60歳台後半以降(65歳以後)の在職老齢年金

・ 60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金

があります。

その中でも今回は「60歳台後半以降(65歳以後)の在職老齢年金」をピックアップしたいと思います。

「65歳以後の在職老齢年金」の計算方法

老齢厚生年金の額と給与や賞与の額により、受給できる年金の一部または全額が支給停止されます。

それでは、どのような場合に老齢厚生年金が支給停止されたり支給停止されなかったりするのでしょうか

順を追ってみていきたいと思います。

【確認事項1】「(a) 基本月額」+「(b) 総報酬月額相当額」の合計額を計算します

(a) 基本月額

加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額

計算例

Aさんの老齢厚生年金(報酬比例部分)の額が年間120万の場合は12か月で割り1か月あたりの老齢厚生年金(報酬比例部分)の額を計算します。

120万円 ÷ 12か月 = 10万円

この場合、基本月額は10万円です。

(b) 総報酬月額相当額

(その月の標準報酬月額※)+(その月以前1年間の標準賞与額※の合計)÷ 12

※70歳以上の方の場合には標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額となります。

計算例

Aさんは、会社から給与として毎月25万円(総支給額)、賞与が年間60万円支給されている場合

その月の標準報酬月額:25万円の支給額なので、標準報酬月額は26万円※となります。(※「標準報酬月額」の確認方法は、以下の関連記事を参照ください。)

その月以前1年間の標準賞与額※の合計 ÷ 12

賞与が年間60万円支給されているので、その月以前1年間の標準賞与額※の合計は60万円です。(※「標準賞与額」の確認方法は、以下の関連記事を参照ください。)

そこでここから12(1年 = 12か月)で割り1か月あたりの賞与額を割り出します。

60万円 ÷ 12 = 5万円

このAさんの場合、「(a) 基本月額」+「(b) 総報酬月額相当額」の合計額は

(a) 基本月額」: 10万円

(b) 総報酬月額相当額」: 26万円 + 5万円= 31万円

10万円 + 31万円 = 41万円です。

【確認事項2】 「(a) 基本月額」+「(b) 総報酬月額相当額」の合計額が46万円(基準額)以下かどうかを確認

※基準額は現在46万円となっています。(この記事作成時点)毎年4月に見直しがあり、変更される場合があります。

支給停止額については年金事務所にて計算してもらうと良いでしょう

パータンA

「(a) 基本月額」+「(b) 総報酬月額相当額」の合計額が46万円(基準額)以下の場合

→ 全額年金は支給されます。(支給停止なし)

パターンB

「(a) 基本月額」+「(b) 総報酬月額相当額」の合計額が46万円(基準額)を上回る場合

→ 年金の一部または全額が支給停止

※パターンBの場合の年金の支給停止額については年金事務所にて計算してもらうと良いでしょう。

なお、老齢厚生年金が支給停止されていたとしても、老齢基礎年金は全額支給です。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)