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2020年の「景気後退期」までにすべき資産運用 2つの後退期入りシグナルを歴史から学ぶ 

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2020年の「景気後退期」までにすべき資産運用 2つの後退期入りシグナルを歴史から学ぶ 

2019年に入り、米国が起点となる経済イベントがめじろ押しとなり、日本の株価も冴えない状況が続いています

世界経済の拡大を象徴していたFRBの強気姿勢は、米国利上げを停止しただけではなく、年内利下げを検討する環境となりました。

貿易では米国が中国のみならず、メキシコとの関税引上げを振りかざし、景気と株価はトランプ大統領のツイッターに右往左往するぐらい不安定となっています。

現時点では世界が景気後退に突入した訳ではなく、景気停滞期にあります

しかし昨年までの景気拡大期から転換したことは確かで、景気後退期に備える資産運用が必要です

ここでは米国の景気後退局面に陥った際に起きたことを学び、向こう1年間に準備しておくべき投資手法をご紹介します。

景気停滞期 にある日本

歴史に学ぶ、これまでの景気後退前に起きたこと

過去50年間で起きた景気後退期のうち、その直前に起きたシグナルはいくつかあります

そのうち2つに注目し、自身の資産をどう守り、どう増やすかを検証しましょう

シグナル1:逆イールド状態

景気が拡大すると物価が上昇するため、金利も上昇します。

逆に後退する時には、金利が下がります。

金利と言っても1年未満の短期金利(3か月物)と、10年規模の長期金利(10年物)の主に長短2種類の指標があります。

短期金利が低く長期金利が高い状態を「順イールド」と呼び、短期金利が長期金利より高い状態を「逆イールド」と呼びます

昨年までのように現状よりも将来的に景気が拡大すると想定される場合、利上げが実施され、短期金利よりも長期金利が高い状態となります(順イールド)。

しかし今年3月に入って訪れた状態は、利上げが停止され長期金利が急低下し短期金利よりも長期金利が低くなりました

過去50年に長短金利が逆転したのは8回あり、うち7回はその後に景気後退局面に陥っているので注目されています

なお過去に逆イールドが起きてから景気後退と判断されるまでの平均期間は約13か月、2020年4月には景気後退に入る可能性があるということです。

今は後退期に入るかもしれない停滞期にあると考えれば、冴えない株式相場も納得いただけるのではないでしょうか。

シグナル2:ISM製造業指数の50割れ

続いて注目される指数が、米国ISM製造業指数です。

これは米国供給管理協会(ISM:Institute for Supply Management)が、製造業約350社の仕入れ担当役員に実施するアンケート調査を元に、月初第1営業日に発表される経済指標です。

景気転換の先行指標と言われており50を超えていると景気拡大、50を切ると景気後退期に入ったと判断される重要指標です。

直近では5月に52.1と、2年7か月ぶりの低水準です。

もちろん米国は何もしない訳ではなく、金利利下げを検討することを発表し景気停滞を乗り切ろうとしています。

しかし仮にFRBが利下げを実行したとしても実体経済(企業の利益)がすぐに持ち直す可能性は低く、同指数の50割れが続くようであれば、株価にも悪い影響が表れるでしょう。

毎月初のISM製造業指数発表には、今後も目が離せません

景気後退期までにすべきこと

景気後退期までに できること

これら経済指標を見ても、今は景気後退を意識した一進一退の状況であることが分かります。

では過去のデータから景気後退期に入ると想定される2020年4月までにすべき対策を、考えてみましょう

株式:短期的な株価推移ではなく、中長期を見越した投資手法を取る

短期的には、米国利下げが年内1回以上実施されると想定されています。

そのため景気が回復すると見た機関投資家は、株式を買っています。

しかし、短期の投資家に惑わされて個人投資家が追随すると、高値を掴まされるのは個人投資家と決まっています。

まずは足元の株価上昇は短期的な動きだと認識して、慎重な投資手法を取ることをお勧めします

具体的には株式であれば半導体や機械などの景気敏感株は避け、鉄道・通信・製薬・人材派遣など景気変動に左右されにくい業種を選びましょう。


また連続増配銘柄も良いでしょう。

連続増配できるということは、収益の柱がしっかりしており、リーマンショックの時でも増配している過去の実績があるからです。


分散投資:債券投資導入や円ヘッジを検討する

また景気停滞、後退局面では、頑張っても株式投資で勝てないことがあります。

そのため、利幅は小さくても資産を守る(少しでも増やす)意味では、国債等の債券に資産をシフトすることも大事な手法です。

なお債券でも高格付けの国債がお勧めです。

利回りを確保するため低格付けの社債(または新興国国債)へ投資することを勧めてくる金融機関もありますが、満期までの途中解約が必要となった際に元本が戻ってこない可能性が高くなるためお勧めできません

また景気後退期になると円高株安が進むことも知られています。

よって海外投資を組み入れている投資信託であれば、円ヘッジ付を選択する(またはスイッチングする)など、慎重な投資手法を取りましょう

「負けない運用」を実践しよう

米国のみならず、日本でも景気停滞期に入っていることは認識されており、消費税増税に向けての経済対策も取られる見込みです。

しかし景気に波があることは正常なことであり、株式相場が低迷することも正常な経済活動なのです

その変化に投資家としてどう対処するかがポイントであり、投資手法は株式だけでも債券だけでもありません。

短期よりも中長期の目線で、一歩先を捉えた運用手法を選んで「負けない運用」を実践しましょう。(執筆者:中野 徹)

《中野 徹》
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中野 徹

中野 徹

1970年生まれ。大学卒業後、銀行・証券・保険と金融3業態全てにおいて勤務経験を持ち、実務経験を踏まえた客観的なアドバイスに強みを持つ。お金にまつわる専門知識を分かりやすく、販売側の都合を排除したポイントを解説していきます。趣味は料理とアメリカンフットボール観戦。 <保有資格>プライベートバンカー(シニア) 寄稿者にメッセージを送る

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