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【読者の質問に回答】iDeCoと個人年金保険は、どちらがお得なのか?

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【読者の質問に回答】iDeCoと個人年金保険は、どちらがお得なのか?

2,000万円問題で注目のiDeCo

2,000万円問題で注目のiDeCo

老後資金が2,000万円不足すると記載された金融庁の報告書が、大きな話題になりました。

そのためこの報告書で紹介されているiDeCo、一般NISA、つみたてNISAを活用して、老後資金を貯めようとする方は、これから増えていくと予想されます。

この3つの中でiDeCoは、もっとも税制優遇の大きい制度ですが、他の制度と違って上限年齢があるため、掛金を拠出できるのは60歳までです。

新聞などの報道によると、これを65歳まで引き上げする案を、厚生労働省が検討しているようですが、まだ正式に決まったわけではないので、当面は60歳が上限です。

勤務先に企業年金がない会社員の場合iDeCoに拠出できる掛金の上限は、月に2万3,000円(年間で27万6,000円)です。

例えば50歳からiDeCoを始めて、この金額を60歳まで拠出した場合、合計額は276万円(27万6,000円×10年)になります。

また「年金終価係数」を使い、拠出した掛金を投資信託などで、10年間運用した場合の結果を試算すると、年利率が3%なら約316万円、5%なら約347万円になります。

このように運用がうまくいっても、老後資金としては心細い金額になってしまうのです。

そのため特に50歳以上の方については、iDeCoと個人年金保険のどちらがお得なのだろうかと、悩んでしまう場合があるかもしれませんが、次のような理由により、iDeCoを優先した方が良いと思います。

個人年金保険よりiDeCoの方が、将来の金利上昇についていける

生命保険会社は個人年金保険の加入者から徴収した保険料を、債券や株式などで運用して、将来に支払う年金を確保します。

このような運用を通じて得られる利益を予想し、その予想を元にして個人年金保険の加入者に約束した運用利回りを、「予定利率」と言うのです。

契約時に将来受け取れる年金額が決まっている、一般的な円建ての定額個人年金保険は、原則として契約時に決まった予定利率が、保険料払込期間を通じて適用されます。

将来に世の中の金利が下降した場合、これがメリットですが、逆に世の中の金利が上昇した場合には、デメリットに変わります

「お宝保険」

例えばバブル期に販売された予定利率が高い個人年金保険は、「お宝保険」と呼ばれております。

その理由はバブルが崩壊して、世の中の金利が大幅に下降したのに、個人年金保険の予定利率は固定だったため、バブル期の状態を維持できたからです。

今後の見通しについて考えてみると、マイナス金利政策などを導入した日銀の黒田総裁の任期が、2023年に終了する予定です。

そうなると世の中の金利は上昇する可能性があるので、一般的な円建ての定額個人年金保険に加入していると、デメリットが発生します。

なおiDeCoに加入して、その掛金を定期預金で運用している場合にも、同じような現象が発生しますが、定期預金の金利は固定ではなく、定期的に見直しされているため、個人年金保険よりiDeCoの方が、世の中の金利上昇に付いていけます。

外貨建て個人年金保険は投資性が強く、手数料の内訳がわかりにくい

外貨建て個人年金保険

一般的な円建ての定額個人年金保険は、マイナス金利政策の影響などにより、貯蓄性が低下しているため、現在は外貨建て個人年金保険の販売件数が増加しております。

ただ苦情件数も増加しており、その苦情の中でもっとも多いのは、

元本割れリスクについて適切な説明を受けなかった

というものです。

つまり外貨建て個人年金保険は、商品名の最後に保険と記載されておりますが、かなり投資性が強いのです。

それに対してiDeCoは、拠出した掛金のすべてを、元本確保型の定期預金で運用すれば、お金はあまり増えていきませんが、投資性を低くできます

外貨建て個人年金保険のもうひとつの問題は、どんな手数料がかかっているのかが、わかりにくい点です。

それに対してiDeCoは外貨建て個人年金保険より、どんな手数料がかかっているのかがわかりやすいため、手数料を比較したウェブサイトなどをよく見かけます。

このように手数料を比較しやすいと、顧客は手数料の低い方を選ぶ場合が多いので、金融機関同士の競争が激しくなります。

そのため現在は以前よりも低い手数料で、iDeCoを利用できるようになっており、これもiDeCoを優先した方が良い理由のひとつです。

年金調整や確定申告による節税額は、iDeCoの方が有利になる

iDeCoに拠出した掛金は、年金調整や確定申告の際に、「小規模企業共済等掛金控除」として所得から控除できるため、その分だけ所得税や住民税が安くなります。

例えば所得税の税率が20%、住民税の税率が10%という方が、月に2万3,000円(年間で27万6,000円)の掛金を拠出した場合、所得税は5万5,200円(27万6,000円×20%)、住民税は2万7,600円(27万6,000円×10%)くらい安くなります。

合計額は8万2,800円にもなりますから、かなりの節税効果を感じらます

一方で個人年金保険の保険料は所定の要件を満たすと、年金調整や確定申告の際に、「個人年金保険料控除」として所得から控除できるため、その分だけ所得税や住民税が安くなります

ただ所得税については、支払った保険料が年間で8万円を超えると、所得から控除できるのは一律で4万円です。

また住民税については、支払った保険料が年間で5万6,000円を超えると、所得から控除できるのは一律で2万8,000円です。

そのため上記と同じ税率の方が、同額の保険料を支払った場合、

・ 所得税は8,000円(4万円×20%)
・ 住民税は2,800円(2万8,000円×10%)

くらい安くなるため、合計額は1万800円になります。

このように上限額が設けられている影響により、節税額が大幅に違う点も、個人年金保険よりiDeCoを優先した方が良い理由のひとつです。

上限年齢がないNISAを活用して、60歳以降も積み立てを続ける

上限年齢がないNISAを活用

iDeCoは冒頭に記載したように、掛金を拠出できるのは60歳までですがが、拠出した掛金の運用は70歳まで続けられるため、運用が上手くいけば、さらに老後資金を増やせます。

また60歳になったら一般NISAに加入し、退職金などを原資にした年間120万円以内の積み立てを5年間続けて、さらに老後資金を増やすという方法もあります。

その他に所得が低いため、小規模企業共済等掛金控除による節税効果を期待できない専業主婦の配偶者が、つみたてNISAに加入し、年間40万円以内の積み立てを、例えば50歳から70歳までの、20年間に渡って続けるという方法も考えられるのです。

誤解されている方がいるようですが、この20年間というのは強制ではないので、途中で積み立てを止めて、受給を始めても良いのです。

なお一般NISAは2023年、つみたてNISAは2037年までという時限措置のため、制度の延長や恒久化が実施されなかった場合には、この通りにできない場合があります。

そのためお金に余裕がある方については、iDeCoと一般NISA、またはiDeCoとつみたてNISAというように、複数の制度を並行して進めても良いと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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