法人税や所得税などを脱税し、マルサから刑事告発される人は毎年100人以上います。
平成30年度に国税局査察部(通称マルサ)が告発した件数は121件ですので、3日に1件のペースで告発している計算です。
そんなマルサが行う脱税調査ですが、どのような人が対象となるかについてご説明します。
目次
刑事告発されるのはマルサの調査対象となる悪質な脱税犯のみ

脱税により逮捕される人は、不正行為や虚偽申告など、意図的に税金逃れをする人に限定されます。
そのため、一般の人が税務署から申告書の作成誤りなどの指摘を受けても、刑事告発されることはありません。
一方、意図的な脱税行為は、制度自体を否定する行為ですので、国税組織は刑事告発をして厳しく対処しています。
マルサが調査した2/3の対象者は刑事告発される
マルサは、脱税犯を刑事告発し、国全体の脱税行為を抑止させるために存在します。
そのため、マルサが調査を行う対象者は、悪質な脱税犯に限定されおり、一般の人がマルサから調査を受けることはありません。
また、平成30年にマルサが調査した件数は166件で、同年に処理した182件のうち告発件数は121件と、66.5%の調査対象者が刑事告発されています。
調査期間が1年を超えるケースもあるので、調査件数と処理件数は異なります。
なお、マルサ以外の税務調査であっても、脱税行為があれば重加算税の対象となりますので注意しましょう。
マルサが刑事告発した査察事件の一審判決の有罪率は100%

マルサの調査により刑事告発した査察事件は、ほぼ100%有罪となります。
マルサは100%有罪になると証拠を確認してから刑事告発するので、マルサの調査の手から逃れることはできません。
平成30年度に一審判決された事件は122件ありましたが、122件すべての事件で有罪判決が下されました。
税務調査を受けた99.9%の人は逮捕されることはない
マルサが担当した税務調査では逮捕者が出ますが、税務調査を受けた人の99.9%は逮捕されることはありません。
平成29事務年度に税務署が実地調査した件数は年間約18.6万件です。
・ 法人税…約10万件
・ 所得税…約7万件
・ 相続税…約1.2万件
・ 贈与税…約4千件
マルサが年間180件の調査で刑事告発したとしても、実地調査の全体件数の0.1%にしかすぎません。
しかしながら、適切な内容で申告しないと加算税・延滞税などの罰金を余分に支払うことになりますので、確定申告が必要な方は適正に手続きをしましょう。(執筆者:平井 拓)
参考資料:平成30年度査察の概要(国税庁)