民間レベルでは、PayPay・LINE Payなどのスマホ決済、Suica・楽天Edyなどの電子マネー、クレジットカードなどのキャッシュレス決済が普及しています。
一方、自治体レベルになると決して普及しているとはいえず、役場に足を運んでも各種料金はいまだ現金払い、よくて口座振替や振込といったところです。
しかし、世の中がキャッシュレス決済に向かっている中、自治体がその流れに取り残されるわけにはいきません。
今回は、キャッシュレス決済に積極的な自治体の事例を紹介するとともに、自治体がキャッシュレス決済に取り組む理由を考えたいと思います。
目次
【東京都渋谷区】キャッシュレス決済のレシートでプレゼントが当たるチャンス

2月29日までの期間中、渋谷区内でキャッシュレス決済した合計1,000円以上のレシートなどを撮影した上で、応募フォームから応募すると、合計1,000名以上にプレゼントが当たるキャンペーンを実施しています。
QRコード決済を利用した場合は、決済画面のスクリーンショットでもOKで、複数枚のレシートでの合算でも構いません。

プレゼントの内容と当選人数は、以下の通りです。
・ セルリアンタワー東急ホテルアフタヌーンティーセットペア招待券:40組80名
・ ひらまつ共通ランチチケット:20組40名
・ ハチ公ソースセット:150名
・ 笹塚ビール:50名
・ 猿田彦珈琲ギフトセット:150名
・ SHIBUYA・HACHIグッズ:200名
・ SHIBUYA SKY入場チケット:50組100名
・ サンロッカーズ渋谷ホームゲームチケット:40組80名
・ VR PARK TOKYOフリーパスチケット:50組100名
・ スイーツパラダイスバイキング:80組160名
自分へのごほうび的なプレゼントからみんなで楽しめそうなプレゼントまで、バリエーションに富んでいます。
対象店舗でのd払い利用でポイント10倍

また、2月29日までの期間中に渋谷区内の対象店舗にてd払いの支払いをすると、dポイントの還元率が10倍の5%にアップします。
対象店舗は、飲食店・薬局・書店・ヘアサロン・囲碁サロンなどバリエーション豊富ですので、ホームページでチェックしてください。
【群馬県富岡市】富岡製糸場の見学料金から市役所の窓口料金までキャッシュレス

群馬県富岡市では、
・ 市県民税
・ 固定資産税
・ 都市計画税
・ 軽自動車税
・ 国民健康保険税
・ 介護保険料
・ 後期高齢者医療保険料
・ 富岡製糸場見学料
・ 水道料金
などの支払いを、上記表のキャッシュレス決済で支払い可能です。
窓口手数料・富岡製糸場見学料は、スマホ決済だけでなくクレカや交通系ICでの支払いもできるのがうれしいです。
上信電鉄ではPayPayが利用可能に

自治体ではありませんが、高崎から富岡製糸場へ行くのに便利な上信電鉄では、6月30日までPayPayを試験的に導入しています。
改札でPayPayをタッチさせるのではなく、高崎駅の窓口で購入可能な切符やグッズなどの支払いにPayPayを利用可能です。
【大阪府泉佐野市】独自のポイントカード「さのぽ」を導入

ふるさと納税の返礼品にAmazonギフト券を用意するなど話題に事欠かない大阪府泉佐野市では、地域独自のポイントカード「さのぽ」を発行しています。
泉佐野市内の加盟店で110円(税込)利用するごとに1ポイント貯まり、「1ポイント=1円」として利用可能です(チャージも可能)。
・ 町会加入:5,000ポイント
・ 市内で家を建てて町会加入:最大30万ポイント
・ 清掃活動に参加:250ポイント
・ いずみさの検定に合格:最大5,000ポイントなど
ポイントを貯めるチャンスは買い物にとどまりません。
訪日外国人観光客もターゲットにしたナイトタイムエコノミー・キャッシュレス実証実験も実施

関西国際空港のお膝元でもある泉佐野市は、訪日外国人観光客も多く訪れます。
外国人観光客は夜までアクティブに遊ぶ傾向が強いことから、2019年2月9日・10日の2日間、泉佐野市では「さのぽ」を使った実証実験を行いました。
夜に楽しめるイベント会場では、チャージした「さのぽ」のみが支払い方法となります。
1,000円以上チャージすると200ポイントがプレゼントされる、という大盤振る舞いです。
【千葉県習志野市】2月4日よりキャッシュレス決済に対応

2020年2月4日より、千葉県習志野市では窓口で発行する証明書などの手数料を、以下のようなキャッシュレス決済で支払い可能となります。
・電子マネー(Suica・PASMOなどの交通系IC、楽天Edy・nanacoなどの電子マネー)
・タッチ決済(VISA・Mastercard)
・スマホ決済(アリペイ・WeChatPay)
タッチ決済や楽天Edy・nanacoなどが利用可能というのは、他の自治体ではなかなかありません。
自治体がキャッシュレスを促進する3つの理由
現在、自治体がキャッシュレス決済を促進しているのは、政府が旗振りをしているからだけではありません。
対内向き・対外向きに以下の3つの理由が考えられます。
(1) 各種料金の納付率を上げる
住民から徴収する各種料金の納付率を上げるのに、キャッシュレス決済は非常に効果的です。
現金納付の場合は手持ちの現金がないと納付できず、納付したとしても住民にメリットがありません。
キャッシュレス決済で納付すれば、手持ちの現金がなくても納付可能なだけでなく、キャッシュレス決済業者のポイントを住民はゲットできます。
(2) 地域経済を活性化する
地元商店街にとって、キャッシュレス決済は地域経済を活性化させる有効なツールでもあります。
「さのぽ」などはその好例で、加盟店は186店舗、カードホルダーは2万2,000名以上です(2019年7月現在)。
さのぽ導入により、新規顧客が増えたという声もあります。
(3) インバウンド需要の掘り起こし
日本人よりもキャッシュレス決済に抵抗のない訪日外国人観光客は、キャッシュレス決済促進の大きなカギとなります。
観光客にとっては、スピーディーかつスマートに会計ができ、お店側にとっては現金決済では見込めない高額決済も可能です。
キャッシュレス決済は自治体活性化の大きなカギ
自治体によっては、キャッシュレス決済を猛烈に促進しているところもあります。
そこには、内向きには各種納付率の向上や地域経済の活性化がありますし、外向きにはインバウンド需要の掘り起こしがあるでしょう。
世の中がキャッシュレス決済に舵を切っている状況で、自治体もキャッシュレス決済に本腰を入れる時期となっているようです。(執筆者:角野 達仁)