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「サヤ取り」銘柄の選び方
株式サヤ取りでは、サヤの開閉によって利益を得ます。
それゆえに、
が欠かせません。
具体的には、株式サヤ取りでは「変動感覚」を養うことが大切です。
以前の記事で解説したように、
のです。
過去の終値データは「株式投資メモ」のサイトから取得します。

調査期間が短すぎるとサヤのリズムが分からないため、短いリズムを刻むペアでも最低6か月、そうでない場合には1年以上の動きを見る必要があります。
この調査を怠ってしまうと、適切なタイミングで仕掛けることもできません。
「サヤ取り」仕掛けの具体例
これだけでは分かりにくいでしょうから、具体例を示してみます。
筆者は、現在はサヤ取りをやっていませんが、本稿の執筆にあたって、
という視点で、サヤ取りに向いていそうなペアを1つ探してみました。
ここで紹介するのは、三井物産と参天製薬のペアです。
全くの異業種ですが、異業種間だからこそ大きなサヤが生まれることがあり、サヤ取りに適したペアが見つかるのです。
三井物産と参天製薬「2018年の動き」
まず、2018年の終値とサヤの開閉を調べます。
2018年における両銘柄の終値(日足)をグラフにすると、次のようになっています。

どちらの銘柄も1,500~2,100円の価格帯でうねりを見せており、サヤ取りに向きそうだと判断しました。
2018年のサヤを実際にグラフにしてみると、次のようになりました。

両銘柄のサヤは、極端な動きを見せることなく、上限は300円前後、下限は-200円前後で拡大と縮小を繰り返しています。
上限・下限のギリギリを狙いすぎると、仕掛けのタイミングを逃す可能性があるため、ある程度余裕を持たせるべきです。
仕掛けた後、サヤが不利に展開した場合には、増玉(その後の値動きで再び仕掛けること)で対処できるため、上限・下限ギリギリにこだわりすぎる必要はありません。
したがって、三井物産と参天製薬でサヤ取りする場合には、
・ サヤが-100円程度になったら、三井物産を買い、参天製薬を売り、サヤが0円前後に縮小したら利確
というように、縮小を取る仕掛けがよさそうです。
三井物産と参天製薬「2019年の動き」
さて、2018年の値動きによって縮小を取る戦略を立てました。
2019年、三井物産と参天製薬の値動きは次のようになりました。

2018年のようなボックス相場ではないものの、どちらか一方が異常な値動きをすることもなく、良いあんばいに寄り添いながら動いています。
2019年のサヤは、次のようになりました。

2018年の調査をもとに、縮小を取る仕掛けでサヤ取りするならば、
サヤが200円以上になったとき
3月:
サヤが200円に迫ったとき
8月:
サヤが-100円以上になったとき
9月:
サヤが-100円以上になったとき
11月:
サヤが-100円以上になったとき
12月:
サヤが-100円以上になったとき
というように複数のタイミングで仕掛けられることが分かります。
実際の値動きからお宝ペアを探してみる
今回は執筆にあたって探したため、それほど多くのペアを吟味したわけではありません。
もっとサヤの開閉が規則正しく、分かりやすいペアがあるはずです。
四季報などから「値上がりするお宝銘柄」を探し、失敗してきた人も多いはずです。
そのような人は、実際の値動きから「サヤ取りしやすいお宝ペア」を探してみてはいかがでしょうか。(執筆者:兼山 艮)