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増え続ける「自己破産件数」 経済的破たんを避けるためにできる3つの対策

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増え続ける「自己破産件数」 経済的破たんを避けるためにできる3つの対策

全国で自己破産を申し立てる人の数が4年連続で増加しています。

現在の私たちを取り巻く社会状況を考えれば、今後さらに増え続ける可能性も十分にあります。

まだ借金に苦しむほどではなくても、キャッシュフローが回りにくくなってきた方も少なくはないのではないでしょうか

もはや、経済的破たんは他人事とはいえないのかもしれません。

そこで今回は、自己破産の申立件数のデータに基づいて、自己破産件数の増加の原因や経済的破たんを避けるための対策を考えていきたいと思います。

自己破産

自己破産件数が4年連続で増加

まずは、裁判所に自己破産を申し立てた個人の数を年ごとにみていきましょう。

以下の表は、裁判所が公表している司法統計の中にある年度別の「破産新受事件数 受理区分別 全地方裁判所」のデータから集計したものです。

2018年までは年報から、2019年は月報(速報値)から集計しています。

自己破産件数データ

参考元:裁判所 司法統計

この表で見ると2019年の件数が前年より減っていますが、2019年の件数は現時点では速報値しか公表されていません

年報として公表されるときには件数がやや増えるため、2019年も前年より増加していると見てほぼ間違いありません

自己破産件数は貸出金の上限金利が高く、ヤミ金も多かった2003年にピークを迎え、その後は減少傾向にありました。

しかし、2016年から再び増加に転じていることがお分かりになるでしょう。

自己破産件数が増加した原因

2000年代の初め頃に多重債務が社会問題化して以降、貸出の上限金利の規制や、年収の3分の1までしか貸し付けできない「総量規制」が実施されるなどして、自己破産件数は減少し続けてきました

しかし、それでもなお、私たちを取り巻く社会状況は債務が増えやすい条件がたくさんあります。

以下、自己破産件数が増加した原因と考えられる事情をご説明します。

銀行カードローンの利用拡大と縮小

2010年に消費者金融の貸出に総量規制が適用された後、銀行カードローンの利用が急速に拡大しました。

銀行カードローンには総量規制が適用されない上に、消費者金融より金利も低く借入枠も大きいため、既に消費者金融からの借入がある人にとっても使いやすいものでした

しかし、2016年頃から銀行による過剰融資も社会問題化して、2017年には金融庁が各銀行に対して過剰融資を抑制するよう指導を行いました。

その後、多くの銀行は自主的に総量規制の範囲内での貸付を行うようになり、銀行カードローンの利用も縮小傾向に転じました。

しかし、銀行カードローンからの借入によって資金繰りをしていた人たちのキャッシュフローが破たんする結果を招いてしまいました

消費者金融やクレジットカードのサービスの向上

総量規制によって利用者1人あたりへの貸付額は減少したものの、消費者金融やクレジットカード各社は顧客が利用しやすいようにサービスを向上させています。

かつては店舗や無人契約機まで出向かなければ融資を受けられなかった消費者金融も、今ではスマホのみで利用できるようになっています

申し込みから融資までのスピードも、かつては「最短即日融資」と謳われていたものが今は「最短1時間で融資」と謳う消費者金融が増えています。

カードローンやクレジットカードを申し込むと高額ポイントが付与されるポイントサイトも多く、ポイント目的で契約する人も多いようです。

キャッシュレス化による影響

近年はキャッシュレス化が進んでおり、2019年10月の消費税増税に際して「キャッシュレス還元」も導入されたことから、キャッシュレス化に拍車がかかりました。

キャッシュレス決済を行うとキャッシュバックやクレジットカードのポイント付与などさまざまな特典がありますが、デメリットもあります。

キャッシュレス化によって家計の収支状況を正確に把握しなくなり、お金が足りなくなるとキャッシングしてしまう人も増えていると考えられます

その他の社会情勢の変化

現在の社会情勢を見ると、今後はさらに国民1人ひとりのキャッシュフローが悪化することが懸念されます。

消費税増税で可処分所得が減少した人や、働き方改革による残業規制で収入が減少する人も多いでしょう。

さらに、新型コロナウィルスの影響で収入が減り、キャッシュフローが破たんする人が急増するおそれが大いにあります

既に、新型コロナウィルスの影響で企業が自己破産を申請したという報道も出始めています。

個人としても、経済的破たんを避けるために対策をとることが急務といえるでしょう。

自己破産を避けるために個人ができる3つの対策

経済的破たんを避け、自己破産に至らないために個人ができる対策としては、

1. 「支出を減らす」
2. 「収入を増やす」
3. 「資産運用をする」

の3つがあります。

ありきたりの対策ではありますが、社会情勢が厳しい今だからこそ、この3つの対策に取り組むチャンスでもあります。

自己破産を避けるために個人ができる3つの対策

1. 支出を減らす方法

支出を減らすには、まずご自分の収支を正確に把握することです。

キャッシュレスを利用する方もしない方もできるだけ毎日、忙しくても最低週に1度は収支を確認しましょう

あとは、手放せるものは手放して節約することです。

増税や残業規制、新型コロナウィルスの影響などは自分のせいではないので「身の丈に合った支出をする」という意識は持ちにくいかもしれません。

しかし、今まで節約をあまり考えたことがなかった方にとっては、収支を厳しくチェックする良い機会ともいえます。

2. 収入を増やす方法

残業規制でプライベートの時間が増えたり、新型コロナウィルスへの感染防止のための小中学校一斉休校などで仕事を休まざるを得なくなった方もいらっしゃるでしょう。

今は幸いにしてインターネットを使うなどして在宅でも収入を得ることができる環境が整っています

この機会に少しでも副収入を得る方法を探してみるのも良いでしょう。

3. 資産運用する方法

資産運用をしても、短期トレードなどリスクが高い投資をしない限りは急にお金が増えるわけではありません。

リスクが高い運用法に手を出すと、負債を作ってしまうおそれもあります

それだけに、既に負債がある方は敬遠しがちですが、リスクの低い積立型の投資信託や外貨預金などは、やらないよりはやった方が明らかに得でしょう。

インターネット環境が整った今は、カードローンやクレジットカードばかりでなく、資産運用もスマホひとつでできるようになっています。

まずは100円や1,000といった少額から積み立てていくのも良いでしょう。

自己破産はもはや他人事ではない

この記事では「自己破産を避けよう」という方向でお話ししてきましたが、大きな負債を抱えてしまった場合は自己破産するのも悪いことではありません。

法律で定められた、再スタートを切るための正当な手段なので、一家離散や自ら命を絶つような最悪の事態に至る前に手を打つべきです。

多くの方は自己破産など考えたこともないと思いますが、今後は自己破産が他人事ではない時代がやってくるかもしれません。

この機会に、お金と真剣に向き合って自衛策を考えることをおすすめします。(執筆者:川端 克成)

《川端 克成》
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川端 克成

約15年間弁護士をしていましたが、人の悩みは法律だけでは解決できないことに悩み続けて、辞めてしまいました。現在はフリーライターとして活躍中です。読んで役に立ち、元気が出るライティングをモットーに、法律問題に限らず幅広いジャンルで執筆しています。これまでの人生では、ずいぶん遠回りをしてきました。高校卒業後は工場などで働いて二部大学に入り、大学卒業後も工場で働いて司法試験の勉強をしました。弁護士を辞めた後も工場で働きながらライティングの修行を重ねました。そんな人生経験にも基づいて、優しい心を執筆を通じてお伝えするのが理想です。 寄稿者にメッセージを送る

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