近年、株式投資に関心のある主婦の方が増えています。
と不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者は長年にわたって証券会社で働いていました。
本日は、実際に私のお客様に起きた悲劇を通して、「初心者が株を買う際に絶対に気を付けたいこと」をお伝えしたいと思います。

目次
「50万円が0円に」証券会社で実際にあった話
証券会社勤務時代のある日、主婦のAさんから株の買い注文が入りました。
Aさんはそれまで株の売買はしたことがありません。
買いたいと言われた株はベンチャー企業の株でした。
確かにチャートを見ると右肩上がりで勢いがありますが、メジャーな株ではないこともあり、選んだ理由をAさんに尋ねると、
ということでした。
購入後、Aさんに今後の投資意向を確認すると「初めての株で怖いから少し値上がりしたら利益確定するので、値上がりしたらすぐ教えて欲しい」と言われ、値上がりしたら連絡する約束をしました。
その後、保有する会社の株が値上がりしたので、Aさんに連絡し、売却して利益確定をするか尋ねると、
という判断で、株は売りませんでした。
その後、この銘柄は少しだけ値上がりしたところでジリジリと下がり、50万円で買った株は20万円ほどになってしまいました。
さらに悪いことに「下がっちゃって売れない」などと言っている間に、その会社は経営破綻で上場廃止になってしまい、Aさんが投資した50万円は最終的に0円になってしまいました。
株初心者が気をつけるべき4つのこと
Aさんのようにならないために何に気を付ければよかったのでしょうか。
まずは4つの注意点をお伝えします。
1. インターネットや雑誌の記事をうのみにしない
Aさんは真面目な方で、ネットや雑誌で株を調べて自分なりに勉強してから株を購入されたのだと思います。
しかし、株は理論で動くわけではありません。
また、インターネットや雑誌で話題になった株は
ということが多々あります。
インターネットや雑誌で情報を収集することは大切ですが、「値上がりするのね、じゃあ買おう」とうのみにしてはいけません。
・ 最近の高値はいくらなのか
・ 上がるとしたらどのくらいになるのか
・ どのような会社なのかを調べて「応援したいな」、「この会社好きだな」くらいの気持ちを持てた
というところで買うのが望ましいと言えます。

2. 長期保有したいのか短期売買したいのか投資スタンスを決めておく
Aさんは当初「値上がりしたらすぐに売りたい」と話していたのに、実際に株価が上がると「まだ値上がりするはず、まだ保有しておこう」と投資への気持ちが変わってしまいました。
人間の心理として、株価が上がると「まだ上がる、もっと高く売れるまで待とう」になり、今度株価が下がると「下がって売れない、高くなるまで待とう」となってしまいます。
株を買う前に
「長期保有で株主優待を楽しみたいから株価の変動は気にしない」
というように自分なりの株式投資の姿勢を決めておくとよいです。
3. 分散投資する
Aさんは1つの会社の株を買いましたが、なるべくさまざまな会社の株式を保有する分散投資をおすすめします。
インターネットや雑誌で情報を収集したら、いくつか気になる会社をピックアップしておきましょう。
そのようにすれば、1つの会社の株価が下がっても他の会社の株は値上がりしているということがあるのでリスクを分散できます。
できれば2~3つ気になる銘柄をリストアップするとよいです。
その際には、違う分野の銘柄を持つことをおすすめします。
さらに、
「この銘柄は値動きが大きいから短期保有にしよう」
というように保有期間も分散させるとなおよいと言えます。
4. 損切りできないまたは損切り貧乏
証券会社には「見切り千両、損切り万両」という言葉があります。
それほど損切りは大切なです。
Aさんのようにならないためにも「いくらまで下がったら売る」と決めておきましょう。
目安には
・ 10%株価が下がった時
というものがあります。
ただし、いくら損切りが大切と言っても、何度も繰り返し損切りをしては資産が目減りするばかりです。
損切りした際には、必ず株価の動きを見て同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。
株初心者が注意する点をおさらい
初心者が株を買う際に気を付ける点をおさらいしましょう。
・ 長期保有で配当や優待を楽しむのか、短期保有で値上がり益を重視するのかルールを決める
・ 分散投資する
・ 損切りするタイミングを決めておく
・ 配当や株主優待の権利落ち日を確認する
Aさんは悲劇に見舞われた後「今度はよく知った会社の株に分散投資するわ」と話して、息子さんの会社の株と旦那さんの会社の株を買いました。
2つの株は上がったり下がったりを繰り返しながら、今でも安定した配当を出しています。(執筆者:成瀬 なぎさ)