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「住宅ローン控除」と「iDeCo」併用の節税効果を具体例で検証 最大限にするポイントも解説

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「住宅ローン控除」と「iDeCo」併用の節税効果を具体例で検証 最大限にするポイントも解説

住宅ローン控除は節税効果が大きいため、iDeCoを併用しても意味がないと思われている人もいます。

実際にどちらも節税効果が大きいがゆえに、場合によっては損をしてしまうこともあります。

しかし、これらの制度を併用しても節税効果をフルに受けることは可能です。

そのためにはそれぞれの制度をよく理解して、併用する際のポイントを押さえておく必要があります。

そこで今回は、住宅ローン控除とiDeCoを併用する際に損をしないための方法を具体例を用いて詳しくお伝えしていきます。

住宅ローン控除とiDeCoの節税の仕組みを理解しよう

住宅ローン控除とiDeCoの節税の仕組みを理解しよう

住宅ローン控除とiDeCoについては認知度が高いので知っている人が多いと思いますが、これらの制度を併用するためには改めて深く理解しておく必要があります。

まずはそれぞれの制度について振り返っていきましょう。

住宅ローン控除には「税額控除」が適用される

住宅ローン控除とは、条件を満たすと原則として年末の住宅ローン残高の1%が「税額控除」される制度です。

住宅ローン控除の概要

・ 年末の住宅ローン残高の1%が所得税額から税額控除

・ 税額控除の上限は年間40万円

・ 控除期間は10年間(※)

・ 床面積50平方メートル以上の物件

・ 合計所得金額が3,000万円以下の人だけが対象

(※)令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に入居した場合には、これ以外に控除期間が最大13年となるものがありますが、要件と控除額計算が少し複雑 です。

参照:

国土交通省:すまい給付金「住宅ローン減税制度の概要

国税庁「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

たとえば年末の住宅ローン残高が3,000万円ある人の場合、その1%である30万円が所得税から税額控除を受けることができます。

この住宅ローン控除は年末調整や確定申告をした後の1年間の所得税額から差し引かれます。

住宅ローン控除を受けることで所得税が0になる人もいるはずです。

「税額控除」は、自分の支払うべき税金から直接税金が差し引かれるため、節税効果が極めて大きい仕組み

といえます。

しかし、

iDeCoは「税額控除」ではなく、「所得控除」という仕組み

です。

何が違うのかを詳しく見ていきましょう。

iDeCoは「所得控除」が適用される

iDeCoは「所得控除」が適用される

iDeCoでは、1年間に掛けた全額が「所得控除」という形で節税効果を受けられます。

住宅ローンとは異なり、税額控除ではなく所得控除となることがポイントです。

所得控除とは、その人の事情に応じた一定額を所得金額から差し引くことができる仕組み

です。

iDeCoに対する年間支払額は「小規模企業共済等掛金控除」という項目で所得額から差し引かれます

所得控除には他にも生命保険料控除や扶養控除などがあります。

所得控除を分かりやすくするために、税金が計算される流れをざっくりと見てみましょう。

税金が計算される流れ(会社員の場合)

1. 給与の年収額に応じた給与所得控除額を計算する(※1)

2. 給与所得控除後の金額を計算する:給与所得 – 給与所得控除額

3. 所得控除の合計金額を計算する

4. 課税される所得を計算する:給与所得控除後の金額 – 所得控除の合計金額

5. 所得税を計算する:課税される所得 × 所得税率

6. 所得税額から税額控除を差し引く:5.の所得税額 – 税額控除(※2)

(※1)会社員の経費の代わりになるもの

参照:国税庁「給与所得控除

(※2)実際には先述の住宅ローン控除などの税額控除や復興特別所得税も加味されたうえで正式な所得税額を算出します。

税額欄の計算はやや複雑です。

参照:国税庁「確定申告書B(pdf)

iDeCoに拠出した年間の掛金全額は所得控除として所得額から差し引かれた結果、所得税が低くなります。

税率が低ければ税額控除よりも節税効果が小さくなりますが、会社員でもできる節税対策としては有効といえます。

それでは住宅ローン控除とiDeCoを併用した場合、どれくらいの節税効果があるのか、以下でシミュレーションをしてみましょう。

シミュレーションで節税効果を検証

シミュレーションの前提条件を以下のように設定します。

・ 年末の住宅ローン残高:2,000万円
・ 年収:550万円
・ 所得控除:基礎控除48万円(※)、社会保険料控除60万円と仮定
・ 住宅ローン控除のみを適用した場合

(※)令和2年分以降、基礎控除額の仕組みが変わります。

参照:国税庁「基礎控除

住宅ローン控除だけを利用した場合を考えてみましょう。

1. 給与所得控除額:550万円 × 20% + 54万円 = 164万円

2. 給与所得控除後の金額:550万円 – 164万円 = 386万円

3. 所得控除の金額:基礎控除48万円 + 社会保険料控除60万円 = 108万円

4. 課税所得:386万円 – 108万円 = 278万円

5. 所得税(※):278万円 × 10% – 9.75万円 = 18.05万円

(※)参照:国税庁「所得税の税率

住宅ローン控除を計算します

年末の住宅ローン残高が2,000万円であるため、20万円(2,000万円 × 1%)が所得税額から税額控除されます。

【住宅ローン控除後の所得税額】

19.05万円 – 20万円 = – 9,500円

税額控除後の金額がマイナスになるため、この年の所得税は0円です。

住宅ローン控除とiDeCoを併用した場合のシミュレーション

それでは住宅ローン控除とiDeCo(年間拠出金額20万円と仮定)を併用した場合を考えてみましょう。

1. 給与所得控除額:550万円 × 20% + 54万円 = 164万円

2. 給与所得控除後の金額:550万円 – 164万円 = 386万円

3. 所得控除後の金額:基礎控除48万円 + 社会保険料控除60万円 + 小規模企業共済等掛金控除20万円 = 128万円

4. 課税所得:386万円 – 128万円 = 258万円

5. 所得税:258万円 × 10% – 9.75万円 = 16.05万円

【住宅ローン控除後の所得税額】

16.05万円 – 20万円 = – 3.95万円

住宅ローン控除とiDeCoを併用しても、住宅ローン控除後の金額がマイナスとなり所得税は0円です。

これではiDeCoをやっても効果がないと思われることでしょう。

しかし、このような場合でも、節税効果をしっかりと得られます。

上限を超えないように気を付ける width=
住宅ローン控除で所得税から控除しきれない場合には、住民税から控除される

上記のように住宅ローン控除を受けて所得税から控除仕切れなかった場合には、住民税からも税額控除を受けられます

ただし、住民税の控除上限額は、

年間13.65万円(または所得税の課税所得金額等の7%)

であるためこの金額を超えないようにしましょう。

住民税からの控除は、特に手続きなどを行わなくても年末調整や確定申告を行っていれば自動的に受けられます

つまり、住宅ローン控除とiDeCoを併用しても意味がないことはなく、控除上限額の範囲内であればしっかりと節税効果があるのです。

(執筆者:福森 俊希 監修:税理士 鈴木まゆ子

《福森 俊希》
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福森 俊希

大学時代にFP2級と、日商簿記2級を取得。家庭の事情で一旦大手自動車部品メーカーで勤務後、FPに転身。現在はFPとして対面で相談を受ける傍ら、Webライティングで金融知識の提供も行っております。 寄稿者にメッセージを送る

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