コロナ禍の収入減等で、家計の見直しをした人、あるいは考えている人は多いのではないでしょうか。

3年近く前のことですが、共働きでお互いの収入も貯蓄額も知らない家計のことを「ブラックボックス家計」と形容し、「ブラックボックス家計」ではお金が貯まりにくいことをある媒体で記事にしました。

非常に反響が大きく、該当する人が多いということを実感しました。

家計相談を通して感じてきたことでしたが、実際に貯蓄額が多いのは家計を1つにして「ガラス張り」にしている家計です。

「ブラックボックス家計」の原因と危険性

「ブラックボックス家計」の原因と危険性

「自分で稼いだお金は自分のもの」という意識が、家計がブラックボックス化してしまう要因です。

その意識は楽しく浪費をすることにつながる傾向にあります。

「次はあれを買おう!」、「ボーナスが出たらこれも買おう!」というわけです。

消費はもちろん悪いことではありません。

しかし、自由に使えるのは毎月の必要貯蓄額を取り分けた後のお金です。

計画なしに使っていれば、将来必ず後悔します。

「ダブルインカム」の場合には、「何かあってもとりあえずはどうにかなる」という安心感からも「お金を貯めなくてはいけない」という意識が希薄になります

個人的に貯蓄額の目標を立てていたとしても甘くなってしまいます。

さらに、「ブラックボックス家計」の方には、「なんとなく不安だ」という気持ちを抱いている人も多いようです。

将来の見通しが十分に立っていないので当然のことです。

相手が何にいくら使っているのかが分からないので、何かあると相手への不審につながりやすいです。

それが積もれば、あらぬ誤解を生んだり、信頼感を失うことにもなりかねません。

「ブラックボックス家計」はお金に対する自由度が高いように思いますが、このような状況を生み出しやすいので最悪の場合には夫婦関係も家計も破綻する恐れがあります。

「ガラス張り家計」だと貯蓄スピードが上がる

「ガラス張り家計」では貯蓄スピードが上がる

一方で、互いに収入や貯蓄額を把握している「ガラス張り家計」では、貯蓄のスピードが格段に上がります

一般的には結婚すると「収入は大きく増えても支出は2倍にはならない」からです。

独身の時よりも余裕が生まれるはずです。

その余裕を「貯蓄していくか」、「無計画に支出してしまうか」で大きな差が生まれます

「ブラックボックス家計」家庭からの相談

さて、コロナ禍下のステイホーム中にも、Zoomでの家計相談をいくつかお受けしました。

そのほとんどがご夫婦揃ってというものでした。

物理的に可能だったという理由もあることでしょうが、家族で過ごすなかでお金の話をする時間ができたことも大きいようです。

会社員の古川暁さん(33歳)と実和子さん(34歳・パート)のご夫婦は、変化球タイプの「ブラックボックス家計」でした。

家計を握っているのはご主人の暁さんで、実和子さんは月々生活費を渡されて家計をやりくりしています。

実和子さんのパート収入は自分のお小遣いと、4歳の子供の習い事代などに使っているそうです。

「マジックミラー家計」

先日のこと、筆者はNHKの朝の情報番組、あさイチの「老後お金特集」に呼んでいただき、その際に華丸さんが「うちはマジックミラーだ」とおっしゃっていました。

一方が家計を握り、お小遣いをもらっている方から家計の中身は見えないということです。

さすが、うまいこと仰います。

まさに、古川さんのご家庭が「マジックミラー家計」です。

ちなみに、華丸さんは芸人さんには珍しくお小遣い制なのだそうです。

さて、この「マジックミラー家計」の場合、管理している側がしっかり貯蓄をしていければよいのですが、そうでない場合が少なくありません

古川さんの場合もそうでした。

コロナ禍の影響でボーナスが大幅に減ったことで、ボーナス払いで買い物をしていた分の支払いができなくなり、貯蓄がほとんどないことがわかりました

古川家に提案した今後の改善策

「ガラス張り家計」で貯蓄スピードを上げる

しっかりと話し合いをして「ガラス張り家計」にし、今後、毎月確実に貯蓄をしていくことにしました。

「必要貯蓄率」を決める

まず最初にするのは、「必要貯蓄率」を決めることです。

「人生設計の基本公式」を使って求めました。

今後かかる子供の教育費を700万円と想定して、現在貯蓄額から子供の教育費を差し引き「(4) 現在貯蓄額(A)」は-670万円とします

6つの数字を入れると次のようになりました。

【古川家の人生設計の基本公式】
人生設計の基本公式

「必要貯蓄率(s)」は約14%です。

現在の

家計の手取り年収は約460万円ですので、年間64万4,000円を貯蓄していく

ことになります。

今後、収入が増えればその分多くなり、減れば少なくなります。

必要貯蓄率を守れば、老後に月額27万円で生活できます

将来、実和子さんが働く時間を延ばし、厚生年金の被保険者になれば年金受給額も変わってきますので、その際には計算し直します

確実にお金を貯めるには、貯蓄分を先にとりわけて、残りで生活すること

です。

また、お金を増やすためには「iDeCo」や「つみたてNISA」を適切に利用しましょう。

夫婦でお金について話す時間を持つ

「ガラス張り家計」にすると、貯蓄のスピードは間違いなく上がります。

これからは、夫婦でお金について話す時間をぜひとも持ってください。

大げさなことではなく、食事をしながら、

・ 毎月の必要貯蓄額は守られているか

・ 想定外の支出など、困ったことはないか

・ 計画を変更する必要はないか

などを確認し合ってください。

夫婦の円満は、「お金の使い方」と密接なのです。(執筆者:CFP® 認定者 岩城 みずほ)