日経225やTOPIXに代表される株価指数は年初水準近くまで戻しているものの、なかなか昨年を超える上昇とはいかない見通しです。
コロナ禍が収まらない状況では本格的な経済回復も見通せず、株式投資は下がっても仕方がないとお考えの方には、今こそ業種別に的を絞ったアクティブ投資がおすすめです。
ここ数年は非接触型の経済活動が活発化するなど、これまでとは違う「ウイズコロナに適合した企業」が台頭してきます。
一方で、空運業や鉄鋼業など当面はコロナショックが続くであろう業界もあり、株価も極端な二極化が進みそうです。
この「K字」型の株価回復局面で、どのような業種に的を絞ればよいかを解説したいと思います。

目次
K字回復に適合する業種とは
株式投資の手法には、
があります。
新型コロナ感染が長期化するなかで、業種毎に優勝劣敗がはっきりとしている状況になり、インデックス投資では株価の波を捉えきれなくなっています。
そこで、個別銘柄までは絞らないものの業種まで絞ったアクティブ投資の回復具合を検証します。
年初来の業種別騰落率
まずは、TOPIX(東証一部上場企業全銘柄が対象)における業種別株価推移を見てみましょう。

※TOPIXおよび33業種の業種別終値(2020.8.19)を昨年末(2019.12.30)と比較
コロナショックで3月が底値となったものの、TOPIX全体では-6.3%の水準まで回復しています(2020.8.19時点)。
しかし、業種別に見ると、年初来プラスになっている業種は6業種のみです。
反対に-20%以上も下落している業種は8業種あり、二極化の株価推移であることが見てとれます。
また、輸出を中心とした製造業がTOPIX以下の水準となっているものの、同じ製造業でもパソコンなどの出荷が増えている精密機器業界は年初来プラスとなっています。
投資対象は製造業や非製造業などの大項目からトップダウンで選ぶより、
という環境なのです。
中でも非接触やテレワーク、ネット通販(EC)やデジタルトランスフォーメーション(DX)といったウイズコロナに適合した単語が当てはまる情報・通信業は抜群の伸びで、上場来最高値を更新しているうえに社会変革に沿ってさらなる上昇を見込める企業も出てきました。
K字回復の見通し
次に、業種別株価を上位3業種と下位3業種に絞って見てみましょう。

※TOPIXおよび各業種の業種別終値推移(2020.1.6-8.19)を昨年末(2019.12.30)と比較
今年3月の底値からの株価推移は正に二極化しています。
新型コロナ感染症に対して「無症状陽性者でも入院勧告を行う」とする方針を政府が解除しない限り、これまでのような経済活動には戻れず、業種に関わらず株価全体が回復する「V字」ではなく「K字」型の株価推移が続きそうです。
業種を絞ったアクティブ投資
では、これから投資を始める場合には、どの業種に絞って投資すべきでしょうか。
社会生活が変わることを考えると、情報・通信や医薬品業界はまだまだ伸びると想定されます。
「高値圏だからもう手を出さない」ではなく、調子の良い業界にはさらに資金が集まり、安値圏の業界には資金が集まらない傾向が続くことでしょう。
そういった局面では、
ことをおすすめします。
安値圏にある空運業や陸運業はそもそもが公共交通機関であり、ワクチンや治療薬の開発が発表されれば株価が急回復する期待があるからです。
投資先の具体例
投資先の具体例を挙げるとすれば、次の「ETF(上場投信)」です。
【大本命】
情報通信・サービス・その他製品に分類される銘柄で構成、通信キャリア3社や任天堂が上位組入銘柄です。
【逆張り】
陸運・海運・空運・倉庫・運輸関連業に分類される銘柄で構成、JR3社やANAが上位組入銘柄です。
【変化球】
日本株ではなく、米国NASDAQ100を投資対象とした投資信託です。
為替変動リスクはありますが、情報通信業で日本よりも儲ける米国企業に集中投資でき、かつ東証市場に上場している「ETF」なので取引しやすいのが特徴です。
下がったら買いの方針でコロナショック後の相場を乗り切る
日本の4~6月GDPが史上最大の下落幅となりましたが、7月以降は急回復している業種とそのまま下降線の業種とが二極化しています。
11月には米国大統領選挙もあり相場の乱高下が想定されますが、下がったら買いの方針でコロナショック後の相場を乗り切りましょう。(執筆者:銀行・証券・保険業界に精通するシニアプライベートバンカー 中野 徹)