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「相続税対策」だけが目的の不動産投資は危険 5つの注意点から解説

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「相続税対策」だけが目的の不動産投資は危険 5つの注意点から解説

前回に引き続き相続財産としての不動産および、投資用不動産のお話です。

「相続税評価額の算出方法」、「借地権割合と借家権割合」、「基礎控除額の引き下げ」を理由に不動産が相続税対策に有効であることを述べてきました。


ワンルームマンションなどの投資用不動産のセールス文句に「相続税対策になる」というフレーズがあります。

確かにそのこと自体は事実なのですが、だからと言って相続対策だけのために不動産投資をするというのは、ひと握りの資産家の方々だけの話だと思います。

不動産を即キャシュで買える方々であれば別ですが、普通のサラリーマンにはキャシュフローを確保して経営を続けるという難題が待っています。

従って、「相続対策で不動産投資しませんか」などという勧誘には安易にのらないことです。

以降でこのことを説明したいと思います。

不動産投資は相続税対策になるの?

【注意点1】自分自身の現実を把握せよ

相続税評価額からの基礎控除額の引き下げにより、以前であれば相続人が配偶者と子供3人のモデルケースで、基礎控除額が9,000万円だったものから、改正により5,400万円と約6割程度になりました

評価額には預貯金や有価証券、株式なども含まれますから、このことからも相続税を収める対象者が増えることがわかります。

そこで提案なのですが、自分自身の資産明細を人生のある時点で作成すべきだと思います。

特に不動産投資の場合には、投資用不動産がある程度積み上がってきた40代後半から50代にかけて、自分自身の資産のポートフォリオを作っておくべきです。

相続税はあくまで相続税対象の資産全体にかかります。

不動産が突出して多い場合には一部を現金化しておくことも考えられますし、逆の場合には現金の一部を不動産投資に回して節税を図ることも考えられます。

人それぞれですが、特殊な場合を除けばいずれにせよある程度のバランスがとれた資産内容のほうが相続人(資産を相続する人)が相続しやすいと思います。

被相続人(資産を遺す人)はある程度の時期から自分自身の全資産については意識しておくことが必要です。

【注意点2】「相続」よりまずは経営が大事

投資用不動産を増やせば、全額をキャッシュで買わない限りキャシュフローを確保しながら経営を続けていかなければなりません

ワンルームマンションの場合、日頃の管理は管理会社に任せてもよいのですが、肝心な資金繰り等はどうしても投資家本人が行わなければなりません

さらに空室リスクや家賃滞納など物件を増やすとそれなりのストレスがかかります。

「相続」というその時を迎える前に資金繰りに困ったり、あげくのはてには物件を手放したりすることがないようにしなければなりません。

【注意点3】相続税は累進課税

国税庁のホームページを見てもわかりますが、相続税には累進課税法がとられています。

つまり、相続税対象金額が増えると税率も高くなります(10~55%)。

実際には一部の方々だけの話かもしれませんが、投資物件を増やすと相続税が高くなる可能性があるのです。

詳しくは国税庁ホームページかネット、書籍等でお調べください。

参照:国税庁 

【注意点4】やりすぎは禁物

令和元年に「通常の相続税対策に対して、相続税法での計算式ではなく他の評価方法を行うことを主張した税務署の処分を認める」判断が出ているようです(令和元年8月27日付東京地裁の判決【平29(行ウ)539号「相続税更正処分等取消請求事件」】)。

詳細はネット等で調べて欲しいのですが、このように節度なく相続税対策をした場合に否認されることもあるようです。

一部の方々しか該当しない話なのかもしれませんが、やりすぎには注意しましょう。

【注意点5】「相続」が「争続」にならないように

争続にならないために

不動産の場合には元の名義が共有であったり相続財産金額の大部分が不動産であったりすると、相続人を決めるための協議が長引くことが多いようです。

また、相続人が多い場合も同様で、不動産を簡単に共有名義にすることも難しい場合があります。

投資用不動産ではあまりないケースでも、自宅や既に相続している不動産では十分あり得る話です。

このようなケースでは遺言状を残すことも大きな解決策のひとつでしょうが、いずれにしてもその方法等も含めて事前に弁護士などの専門家に相談しておくことが必要でしょう。

相続税対策のリスクをよく考える

ある程度の資産をお持ちの方であれば、「相続税対策」と聞くと前のめりになってしまう気持ちは分かります。

不動産は相続税評価額を時価よりかなり低く抑えられるため、魅力的に映ります。

さらに相続人に一定の収入をもたらすわけなので、これ以上のものはないように思えます。

しかし、相続税対策のみを考えて収益率の低い価値のない不動産を買っても、それが本当の相続税対策になるとは思えません

遺された相続人が遺してもらってよかったと思えるような物件であるべきですし、そのためにはやはり相続税対策ではなく、純粋なインカムゲインを考えた物件を購入すべきです。

マンション経営はインカムゲイン獲得が王道

以上で述べてきたように相続税対策にもいろいろとリスクが伴います。

やはり、マンション経営はインカムゲイン獲得が王道です。

そして、結果的に相続税対策になるように意識しておくというマインドが大切ではないでしょうか。

マンション経営は長い道のりですが、そのポイントからは大きくずれないようにしなければならないと思います。(執筆者:不動産投資歴16年 堀江 優)

《堀江 優》
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堀江 優

執筆者:CFP、1級FP技能士 金 弘碩 堀江 優

40年余りのサラリーマン生活を経て、現在Webライターをさせていただいています。得意分野は不動産投資(投資歴約16年)などの資産運用から、年金などシニア向けの記事作成です。AFPの資格も保持しており、私がいままで経験したことを皆さんに分かり易く伝えることができたらと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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