令和2年の年末調整では、「基礎控除申告書」の新設により多くの方に所得見積作業が必要となったり、また年収850万円超で介護・子育て世帯にあたる場合は「所得金額調整控除申告書」を記載しないと増税になったりするなど、手続きが煩雑になりました。

自動計算を行い控除対象の判定も行える年末調整のソフトウェアを、国税庁がリリースしています。

以前より存在した確定申告書作成コーナーの年末調整版とも言えますが、勤務先がこのソフトに対応していないと従来通り手書きで提出が必要です。

もっともダウンロードして入力作業を行うのは誰でもできるので、手書きでの計算や判定に困った場合は、チェック用には使えます。

ソフト利用の大まかな流れ

作成準備から提出までの流れ
≪作成の流れ画面≫

アプリ内でも作成の流れは確認できますが、もっとおおまかに言えば、

ダウンロード・インストール
→ ソフトで入力
→ データ出力または書面印刷

の3段階です。ブラウザ上で使用できる確定申告書等作成コーナーとは使い方が大きく異なります

年末調整アプリは、国税庁HP年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)よりダウンロードできます。

対応OS

WindowsとMacに対応していますが、Windowsは10しか対応しておらず、8以前のままですと使用できません

MacはOS X 10.13・10.14・10.15に対応しています。

電子手続は勤務先でXMLファイル受入が前提

年末調整アプリを使って、紙を使わず電子手続で完結させたい場合は注意点があります。

電子手続で完結させるには、手続きの最後に出力するXMLファイルを、勤務先の給与計算・年末調整システムで受け入れられる環境が必要です。

申告書の書面印刷も可能

年末調整控除申告書の作成方法
≪書面印刷の選択可能≫

電子手続ができなくとも、各種申告書の書面印刷も可能です。

ただし表形式の出力で、手書きの書式と異なります。

国税庁は有効な申告書と認めているものの、年末調整の手続きを行うのは勤務先(各企業)なので、職場によっては認めてくれない可能性もあります。

それでも以下に解説する自動計算機能があることから、手書き申告書の検算用には使えます。

XML取り込みによる完全自動化が大きな特徴

生命保険料控除・地震保険料控除・住宅ローン控除に関しては電子データ(XMLファイル)取り込みにより、各種情報の取り込みを行い、控除額の自動計算も行ってくれます

このXMLファイルは、保険会社などから取り寄せる必要があります

マイナンバーカードとカードリーダにより利用できるマイナポータルの民間送達サービス(「e-私書箱」など)より取り寄せることも可能な仕様になっています。

なおXMLファイルがなくとも、各種情報の手入力により控除額の自動計算は可能です。

令和二年分保険料控除申告書の画像
≪生命保険料控除の結果表示画面≫

例えば生命保険料控除では、数値としては年間保険料支払見込額さえ転記できれば、数式を使った控除額の計算は不要です。

画像のように旧一般生命保険料の年間保険料額が9.6万円なら、手書きの申告書ですと控除額を9.6万円 × 1/4 + 2.5万円 = 4.9万円と数式を使った計算をしなければいけませんが、アプリでは自動計算されます。

住宅ローン控除の申告書作成に関しては、令和元年が初年度でないとこのアプリが使用できないのでご注意ください。

手書きのチェックにも使える

令和2年から新設・変更され多くの方にとって手続きが煩雑となった、基礎控除・配偶者(特別)控除の金額計算も、合計所得金額の見積ができれば自動的に行ってくれます

ひとり親の選択はできません
≪合計所得金額500万円超では寡婦・ひとり親を選択できない≫

また所得制限のある寡婦・ひとり親控除についても、合計所得金額見積が500万円を超えると選択できないようになっています。

具体的な使用方法については(2)で説明します。(執筆者:石谷 彰彦)