少子高齢化が叫ばれる中で、地方都市では手ごろな物件があります。

また中古マンションなど、比較的安価な物件を手堅く購入する方もいらっしゃいます。

今回のご相談は、地方都市で新築戸建2,000万(建物1,500万、土地500万)の物件を、手持ち資金で購入されたいという、「堅実」な方です。

でも周りの方は、住宅ローン減税で得しているように見えます。

住宅ローンを組む必要はないけども、税金を安くするために住宅ローンを組むべきでしょうか。

「1%控除」見直し前に解説

住宅ローン「1%控除」見直し前に駆け込むべきか

税額控除額が、利息や諸費用より多ければ「利益」を得られます。

今回のシミュレーションでは、それなりに利益を得ることができました。

本年度は、消費税増税、コロナ禍の影響で、10年でなく13年間控除となります(要件有)

しかし住宅ローンを借りるにも、諸費用と手間が必要です。

シミュレーションで明るみに出たのは、選んだ住宅ローンによっては、控除より諸費用が多くなる恐れがあることです。

そして13年間の間、コロナ禍のようなイベントで生活(収入)が変われば、諸費用を回収できない恐れがあることです。

「リスクの割には益が少ない」が本音です。

この種の住宅ローンの借り入れは、しっかりしたシミュレーションが必要ですが、HPのソフトをうまく使えば、自身でも行うことができます。

ぜひ参考にしてください。

物件概要

新築戸建て 建物1,500万(税込)、土地500万。

合計2,000万の物件

住宅ローンの内容

ジャパンネット銀行(2021年1月30日現在の商品)

・ 2,000万円 利息0.5%10年固定(13年間同じ利息と仮定します)

・ 年収は500万程度

13年間収入は維持できるとし、減税分満額を所得税と住民税から控除できるとします

参照:ジャパンネット銀行

税額控除と住宅ローンの利息

税額控除と住宅ローンの利息を考えます。

税額控除

13年分の税額控除額=年末の住宅ローン残高分となり、合計200万7,260円が税額控除となります。(価格ドットコムのシミュレーションを参考)

価格ドットコムのシミュレーションを参考
≪画像元:価格ドットコム

初年度の税額控除は19万4,757円、10年目は14万6,373円、13年目は10万円でした。

住宅ローンの利息

住宅ローンの利息分は13年間で109万1,723円です。

初年度の返済利息は10万円、10年目は7万5,929円、13年目は6万7,662円でした。

税額控除額から合計から、利息合計を除いた「利益」は91万5,537円です。

住宅ローンを借りる際の諸経費

住宅ローンを借りる際には、諸経費が必要です。

今回は所有権保存登記など、住宅ローンを組まなくても必要な諸費用は含んでおりません。

住宅支援機構シミュレーションを参考にしました。

フラット35
≪画像元:フラット35
・ 印紙税(ローン契約) 2万円

・ 登録免許税(抵当権設定) 2万円

・ 抵当権設定の為の司法書士報酬 6万円

・ 融資手数料 44万円

・ 全額繰上返済手数料 3万3,000円

合計57万3,000円

「利益」から住宅ローンの諸費用を除いた額は34万2,537円です。

ちなみに10年間の減税だと25万3,817円です。

90万円程あった利益が、かなり少なくなりました。

メリット・デメリット

今回のシミュレーションを通して、減税適応のためにローンを組むことについて、メリット・デメリットを考えます。

メリット

メリットは3つです。

1. 手残りがある

利益がありました。

2. 手元に現金(物件購入用の2,000万円)が残り、有事に利用することができる

13年後の繰り上げ返済予定のお金を運用すれば、より利益を出せます。

新築購入資金2,000万を毎月の返済にあてると、13年後に1,297万5,694円を一括繰り上げ返済することになります

これを元手に13年間で運用できれば、その分は利益となります

3. 団体信用生命保険に無料で加入できる

今回参考としたジャパンネット銀行の住宅ローンは、団体信用生命保険料は金融機関の負担となっております。

フラット35は任意(自己負担)の場合がほとんどです。

メリット3つ

デメリット

考えられるデメリットは7つあります。

1. 手続きが必要で手間

まず住宅ローン契約を行わねばなりません。

また住宅購入時はやらなければならないことがたくさんあります

2. 住宅ローン減税の申請

確定申告が必要です。

給与所得のみの方(源泉徴収で納税が終了する人)は、1度のみ確定申告が必要です。

あとは源泉徴収時の手続きで完了します。

3. 住宅ローン減税より、投資型減税の方がメリットの可能性

今回は比較的安価な住宅を想定しています。

もし住宅が長期優良住宅や低炭素住宅に対応している場合は、投資型減税の対象になります

これは最大65万円の控除があります

こちらは住宅ローンの諸費用はかかりません。

4. 住宅ローンによっては、より諸費用が必要な可能性

今回のシミュレーションでは、住宅ローン時の保証料がありませんでした。

他の住宅ローンでは、他の費用が必要な場合があります

5. 諸費用は一括で初めに必要、減税は後から

住宅ローン契約時(住宅購入時)に諸費用を現金で払わねばなりません。

その後に税額控除されますが、現金がもどってくるわけでありません

6. 転職などで収入に変化があれば回収できない恐れ

住宅ローン減税は、元来納税せねばならない税金が控除される仕組みです。

収入が減って税金を納めなければ、税金は戻ってきません

7. 変動金利の利用時

今回のシミュレーションでは10年固定の金利を利用して、13年利息が変わらない前提としました

もし利息が上がると、返済が増える可能性があります。

シミュレーションはしっかりと

住宅ローン費用は購入前にすべて必要なのに、減税分は分割です。

出金は大きく、入金は実務的に初年度のみの可能性があります。

現金が手に入る「ボーナス感」は少ないです。

ライフイベントで収入に減少があると、税額控除は受けられません。

かならず利益がでるわけではなく、手続きも必要です。

シミュレーションは紹介したHPでできますが、諸条件が絡みます。

「駆け込み」はお勧めできません。

しっかりしたシミュレーションをしてください。(執筆者:金 弘碩)