※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

定年退職時に訪れる年金の疑問に答えます 60歳以降の働き方3つ 

税金 年金
定年退職時に訪れる年金の疑問に答えます 60歳以降の働き方3つ 

今後定年退職時に増えることが予想される質問については長く働くべきか、年金カットを回避すべきかなど多くの悩みがあるでしょう。

今回は、定年退職時に訪れる疑問について、年金分野にフォーカスして解説します。

60歳以降の働き方について

働き方1(定年後再雇用)

例えば60歳定年の企業であればその後の働き方についてはいつくかの選択肢があります

現行の法律では65歳までの継続雇用が義務付けられ、2021年4月からは70歳までの継続雇用努力義務化が企業に課されます。

よって、再雇用職員などで就労する場合は在職老齢年金により年金が支給停止される場合の給与額はどの程度かを把握しておくことも有用です。

在職老齢年金について詳しく知りたい方は以下の記事が参考となります。


働き方2(厚生年金の被保険者にならない働き方)

厚生年金適用事業所に勤めていても被保険者でなければ在職老齢年金の対象ではありません

すなわち自営業の場合も在職老齢年金の対象ではないことから、働きながらでも満額の年金を受給することができます

よって、自営業となり一定の固定的収入を得ながら年金も満額受給したい場合の選択肢となります。

働き方3(パートに変更)

定年退職後にパートになる場合です。

現在500人以下(※法改正により今後段階的に人数要件が縮小)の企業の場合は1日の労働時間が正社員の3/4未満または1か月の労働時間が正社員の3/4未満ならの場合は被保険者として扱われません。

よって、在職老齢年金の適用はなく、年金は全額支給、被保険者となりません。

年金がカットされるかどうかは厚生年金の被保険者になるか否かによって変わります

※法改正の内容を詳しく知りたい方は以下の記事が参考となります。


長く働くメリット

長く働くメリットを紹介します。

長期加入者の特例

「長期加入者の特例」とは、60歳から64歳の間に受給する「特別支給の老齢厚生年金」の受け取れる金額に上乗せ支給される特例のことです。

「厚生年金」に44年加入した場合に「報酬比例部分」の支給開始年齢に達していれば「定額部分」もあわせて受給できます。

詳細は下記記事をご覧ください。


よって、あとどの程度で44年に到達するかにもよりますが、44年特例の恩恵は小さくないことから十分検討に値する部分です。

年金額増額

単純に長く働くことで、年金額(老齢厚生年金)は増額します。

定年退職後は給与が減額することが多く、平均の給与額は下がることから、逆に年金は減るのではないかとの意見もありますが、加入月数を乗じることから必ずしも減額するわけではありません

(1) 平均標準報酬月額 × 7.125/1,000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数

(2) 平均標準報酬額 × 5.481/1,000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数

(1) + (2) =老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額

第3号被保険者のメリット

定年退職後も引き続き働くことで妻(または夫)が60歳未満であれば第3号被保険者になることができます。

第3号被保険者のメリットは保険料の納付が発生しないにも関わらず、老齢基礎年金の計算においては保険料を納めた期間と同様の扱いとなります

メリットもあります

障害厚生年金

障害を支給事由とする年金は障害基礎年金と障害厚生年金があります。

端的には障害基礎年金は障害等級1級から2級であるのに対して、障害厚生年金は障害等級1級から3級までと幅広く、同一の支給事由である場合、障害基礎年金と障害厚生年金は65歳を待たずに併給が可能です。

しかし、障害厚生年金は初診日において厚生年金の被保険者であることが要件です。

よって、厚生年金の被保険者資格を喪失後の初診日については、障害厚生年金の支給事由となる初診日としては扱えないことから障害厚生年金を受給できないこととなります。

遺族厚生年金増額

長く働くことの恩恵として自身の老齢厚生年金が増額することは先にも触れています。

自身が亡くなった後に配偶者に支給される遺族厚生年金は死亡した者の老齢厚生年金の3/4となります。

よって、遺された遺族への収入増加の観点からも長く働くメリットはあると言えます。

なお、65歳以降の遺族厚生年金は自身の老齢厚生年金を優先的に支給し、老齢厚生年金に相当する部分は遺族厚生年金を支給停止するという仕組みが導入されています。

総合的に判断しよう

在職老齢年金での年金支給停止とはその間だけ支給が停止され、後になってさかのぼって支給されるという意味ではなく、その時に支給されなかった場合は将来的にも支給されることはありません

また、在職老齢年金での支給停止回避と長く働くことで年金を増額させるという選択は必ず同時に恩恵を享受するということは難しいことからあらかじめ総合的に判断していきたい部分です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集